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徹底解説:ハイパーコンバージドインフラ(HCI)を構成する新技術をチェックするITインフラを変える新潮流【前編】(1/2 ページ)

ハイパーコンバージドテクノロジーは、ディスクストレージが抱えていた問題を解決し、さらなるメリットをユーザー企業にもたらす。それは構成する要素技術の組み合わせで可能になる。

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依然として関係者の関心は高く導入も増えているハイパーコンバージドインフラは、ストレージやネットワークなど最新規格の組み合わせで実現している

 SSDがプライマリーストレージとして長年使われてきたHDDに取って代わるにつれて、RAIDアレイモデルで抱えていた多くの欠陥が明らかになっている。

 ローカルストレージと比較した場合、RAIDアレイでは全ての書き込みと読み出しの操作で1ミリ秒の遅延が発生する。この遅延は、アクセス時間が数十ミリ秒のHDDでは許容できるが、100マイクロ秒以内にデータを配信できるローカルのNon-Volatile Memory Express(NVMe)SSDでは大きな問題になる。加えて、HDDで障害が発生した場合の再構築時間は、同じアレイの他のドライブで障害が起きたときの平均的な再構築時間よりも長いことが実証されている。これは、最終的にデータの損失につながる恐れがある。RAID 6では、セカンドパリティドライブによってこの問題を緩和できた。しかし、HDD容量が4TBを超えるようになり、デュアルパリティでもデータの損失が起こりやすくなってしまった。

 ここで挙げた欠陥がストレージ業界の方針を変え、ハイパーコンバージドテクノロジーに導くことになった。

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ハイパーコンバージドインフラ


ハイパーコンバージドへの道のり

 フラッシュメモリの導入によって明らかになったストレージのパフォーマンスと互換性の問題に対する反応は、大量の低速なディスクで構成するアレイから、非冗長なコントローラーがアタッチした8〜10個のSSDを搭載したコンパクトなストレージアプライアンスへの移行だった。この移行により、複数のアプライアンスにデータを複製することで、RAIDを構成するストレージ間でデータを複製するより高いレベルでデータの整合性が確保できるようになる。

 小型のアプライアンスを利用する手法のメリットは、ネットワークのパフォーマンスとドライブのパフォーマンスを容易に合わせられる点だ。2016年にNVMe接続ストレージの転送速度が単独のドライブで10Gbpsに達したため、これは非常に重要な要素になる。

 このような流れにより、ストレージソフトウェアベンダーは、「SDS」(ソフトウェア定義ストレージ)と呼ぶ新しい仮想化の概念を探り始めた。SDSとは、実際のストレージプラットフォームからストレージサービスを切り離して、一般的な仮想インスタンスプールでストレージサービスを実行する考えだ。ストレージをサービスレベルで機敏かつスケーラブルなリソースにしようとするこのアイデアは、既にクラウドで実現していたサーバの仮想化およびオーケストレーションと密接に対応している。

 ストレージアプライアンスで仮想ストレージサービスを実行するのは理にかなっている。なぜなら、仮想ストレージサービスは、既に製品として市場に出回っている何らかの商用オフザシェルフ(COTS)プラットフォームをコントローラーとして採用しているからだ。現用のストレージコントローラーには演算処理の余剰能力があるという認識と、コンパクトストレージアプライアンスと標準的なラックサーバの形態と構成が本質的に同等という認識が、ハイパーコンバージドテクノロジーという概念が生まれる直接的な要因となった。コンパクトストレージアプライアンスとラックサーバを統合し、ストレージ側でハードウェアの複雑さを軽減して、幅広いスケーリングを可能にすべきタイミングが来たのは明らかだった。

現在のハイパーコンバージドインフラ

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