価格比較の落とし穴 「オールフラッシュとHDDは同じ値段」に隠れた課題とは:ハイブリッドストレージではダメ?(1/2 ページ)
フラッシュ技術のコストが安くならないと、利用を制限せざるを得ない場合もある。データセンターにおいてフラッシュシステムはどのように使用されているのか。オールフラッシュを購入すべき理由とは。
2017年までの数年間に、オールフラッシュデータセンターという概念は広まっている。フラッシュメディアのコストが低下の一途をたどっていることが、この流れを生み出している。また、フラッシュを中心とするテクノロジーが継続的に改善されていることも、この流れを後押ししている。その結果、ほぼ全てのオールフラッシュベンダーが、HDDベースのシステムと同等の価格で製品を提供していると主張するようになっている。
オールフラッシュシステムとHDDシステムの価格が同等であるという主張の裏付けが取れて、フラッシュを惜しみなく利用できるとしたらどうだろうか。その場合、企業がオールフラッシュに移行しない理由はない。データセンターで全てのI/O要求に対する応答がデータの種類を問わず即座に返ってくるなら、データ管理やパフォーマンス調整で頭を悩ませることは永久になくなるだろう。オールフラッシュシステムの未来は明るい。フラッシュメディアのGB当たりのコストは下がり続けているが、このようなシステムを管理するソフトウェアテクノロジーの信頼性のレベルは上がっている。また、ストレージシステムソフトウェアも進化し、CPUコアからパフォーマンスを更に引き出すために、マルチスレッド化が進んでいる。そうすることで、よりコスト効率が高い方法でフラッシュのパフォーマンスに対応している。
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「オールフラッシュ」を警戒する説も
オールフラッシュデータセンターの課題
実のところ、価格が同等だという主張には幾つかのただし書きが付く。そして、そうした注意事項がオールフラッシュ層の構築を難しくしている。第1に、価格の比較対象はハイパフォーマンスHDDシステムになっている。つまり、コスト効率の高い大容量システムと比較しているわけではない。第2に、ほとんどのオールフラッシュベンダーが、ブロックベースデータ向けにアレイを設計している。また、NAS機能を組み込んでいるベンダーもあれば、オブジェクトストレージと統合しているベンダーもある。オブジェクトストレージは、非構造化データやコンピュータで生成されたデータの保管先として、急速に最適なストレージ手法になっている。一部の例外はあるものの、非構造化データのユースケースではフラッシュ性能の利点を生かせないのが一般的だ。フラッシュがブロックストレージに最適な選択肢であることは、ほぼ間違いない。だが、NASストレージやオブジェクトストレージでは、フラッシュが必ずしも理想的なストレージの種類だとは限らない。多くの場合、HDDを選ぶ方が適切でコスト効率に優れている。第3に、フラッシュというカテゴリーには、複数の種類のフラッシュメディアが存在する。それも、フラッシュメディアごとに適切なユースケースがある。
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