脱HDDのススメ、データセンターの“オールフラッシュ化”にもう制約はない:耐用期間やコストの問題もクリア
企業にはHDDを捨て、フラッシュストレージを完全に備えたデータセンターを設けることをお勧めする。耐用期間やコストなどSSDの昔からの課題をストレージベンダーは既に解決している。
黎明期(れいめいき)のフラッシュは高価であり、ドライブの耐用期間はわずか数年であった。現在、ドライブは格段に安価になり、事実上、耐用期間の問題も解消した。従って、全ての企業にオールフラッシュのデータセンターを設けることを提案したい。
現在、SSDはランダムI/Oおよび帯域の広さにおいてHDDよりも処理能力が高い。また、SSDの容量はHDDの容量を大きく上回る。すでに16TB、2.5インチSSDがあり、100TB、2.5インチSSDが登場するのもそう遠い話ではない。一方でHDDの容量は2.5インチSSDよりずっと大きな3.5インチのフォームファクターでも12TBが上限だ。
SSDの耐用期間はまだ短いが、メーカーは書き込みをつかさどる電子回路からエラー訂正、内部の冗長性に至るまで、全てを向上させてきた。現在では重い書き込み作業負荷を掛けて連続使用してもほとんどのドライブは約5年間、正しく機能する。
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なぜオールフラッシュのデータセンターが必要か?
TB当たりのSSDの価格はHDDよりも依然、高価である。1テラバイトのドライブが約250ドルで売られているのに対し、HDDは50ドルだ。しかし、これは同一条件で比較したことにはならないだろう。フェラーリをゴルフカートと比較するのと同じようなものだ。
1TBで250ドルのSSDは高速だ。このSSDは40万IOPSの処理能力を誇るのに対し、HDDの処理能力はたった15万IOPSだ。実際にSSDは、450ドル程度の価格の消費者向けHDDよりもずっと処理速度の遅い企業向けHDDに取って代わりつつある。オールフラッシュのデータセンターでは、ストレージはより高速であり企業にとっての費用対効果もより高い。
超高速のNVMe SSDは250ドルを超えるコストがかかるが、実際に企業向けHDDに取って代わるだろうという人もいる。しかし、NVMeが必要なのは、NVMeがサポートしているアプリケーションが200万IOPSの範囲で動作する必要がある場合だけだ。ほとんどの場合、250ドルのSSDで十分である。
RAIDは減少している。データの完全性に対する従来のアプローチは、10TB以上のドライブの出現とも相まって制御装置の性能ボトルネックや柔軟性の欠如の影響を受けて無力化している。ソフトウェア定義されたストレージが登場し、RAIDは小型の仮想化ストレージ装置に取って代わられ、ストレージとサーバの境界が不明確になってきた。
RAIDアレイをやめてハイパーコンバージド機器を使おうという動きの中で、デュアルポートドライブはデータ可用性モデルと無関係になりつつある。NVMeまたはSATAが好まれ、SASは廃止される傾向だ。NVMeの導入やパッケージ化の向上により、2.5インチのSATAに近い価格でM.2フォームファクターの同容量のコンパクトフラッシュドライブが誕生している。
フラッシュをどこに用いる?
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