一般向けFacebookで培った“使いやすさ”
甘く見てはいけないWorkplace by FacebookとAmazon Chime、コラボツール市場は波乱の展開へ
Facebookがユニファイドコミュニケーション(UC)の一団に加わった。負けじとAmazonも参入し、UC市場は巨大な2つのディスプラプター登場により波乱の展開を迎えつつある。
Facebookによると、2017年10月時点で、世界中の3万社以上の企業がビジネス向けFacebook「Workplace by Facebook」を利用しているという。この利用社数は2017年4月の2倍以上とのことだ。米に本部を置くスーパーマーケットチェーンWalmartやオランダのビール醸造企業Heineken、音楽のストリーミング配信サービスを運営するSpotify、米運輸ネットワーク企業Lyftをはじめとする幾つかの有名な顧客企業がWorkplace by Facebookを利用している。Facebookはビジネス用ではない一般消費者向けサービスの月間アクティブユーザーが20億人を超えるため、その影響範囲は膨大なものだ。特に230万人の従業員を擁する世界最大規模の企業の1つであるWalmartが本サービスを利用していることは注目すべき事実だ。
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ビジネス用Facebookについて詳しく
「FacebookとWalmartの両社は、それぞれの市場規模の大きさにより、両社に並ぶ企業はほぼ皆無である」とユニファイドコミュニケーションアナリストであるジョン・アーノルド氏が語った。世界で最大規模の小売業者の1つである企業が、このサービスを利用するようになったことで、Workplace by Facebookは、企業が導入を検討するに値する本格的なサービスだと印象付けた。
メッセージングアプリの有用性、無料版での活用も
Workplace by Facebookは一般消費者向けのFacebookとは異なり、利用する従業員は自分のペットや子ども、好きな料理の写真を投稿しているわけではない。しかし、Workplace by Facebookは、既にユーザーが慣れ親しんだ一般消費者向けのFacebookと同じ使い勝手を実現している。これは他のコラボレーションサービスと比較してかなり優位な立場に立っている。
企業のIT担当グループは展開と利用が簡単なサービスを好むと推測している。というのは、その方がエンドユーザーに導入しやすいからだ。またWorkplace by Facebookのようなソフトウェア形式のメッセージングアプリ(メッセージ機能を持ったサービス)であれば、各事業部門が自身でサービスを簡単にダウンロードし、コラボレーション(共同作業)を開始できる。IT担当者を初期設定や問い合わせ対応といったサポートの手間から解放できる。
Workplace by Facebookには無料版もあり、メッセージングや音声通話、ビデオ通話、ライブ動画の配信、ファイルストレージ、ワークグループ作成機能などがある。企業版は、権限の管理やシングルサインオン、カスタム用のAPI、bot機能などを備えている。他にも、e-ディスカバリー(電子証拠開示)や、外部のユーザーアカウントとの連携機能、、Googleが提供するグループウェアツールG Suite、Microsoftが提供するID管理ソフトウェアMicrosoft Azure Active Directoryとの連携が挙げられる。
Workplace by Facebookに加えて、SlackやCisco Systemsが提供するメッセージングアプリ「Cisco Spark」、Microsoftの「Microsoft Teams」などの類似サービスはメッセージングコミュニケーションの人気に便乗しようとしている。また、現在、求人市場に殺到している若い世代の就職希望者は音声通信よりもメッセージングを好んでいる。
新たなディスプラプションの波
ビジネス界のメッセージングは3つの波を経て進化してきたとアーノルド氏は言う。第1の波として登場した代表的なものは、Slackやオーストラリアのソフトウェア開発会社Atlassianが提供するコラボレーションチャットツールHipChat、米ソフトウェア開発企業Redboothの同名サービスだ。これらのアプリケーションは、途切れない短文式のメッセージングサービスの提供にしきりに焦点を当てることでコラボレーションの問題に取り組んだ。
次に第2の波として、老舗のUCサービス提供企業がメッセージングツールを改良し販売したり、獲得したりした。レガシーアプリケーションに大きく依存していた企業は、メッセージングの導入に遅れた。
そして現在第3の波としてFacebookやAmazonなどの企業の参入によって、新たな進化(ディスラプターの登場)が表面化してきている。業界でも大手であるこの2社の参入は注目だとアーノルド氏は言う。2017年初め、AmazonはAmazon Chimeを発表した。このUCサービスは、オンラインミーティングやビデオ会議、通話、チャット、コンテンツの共有などの機能を備えている。
Walmartはディスカウントストアとして、オンラインショップであるAmazonと競争状態にある。前者は、店舗内購入の魅力をより高めることでオンライン購入を抑制する必要がある。これを実現するための方法の1つが、店舗の従業員に顧客に合わせた接客をするようにさせることだとアーノルド氏は言う。モバイルメッセージングのデバイスやアプリを使用すれば、従業員は顧客のために情報収集ができるようになる。
従来、Walmartのような小売店は技術を導入するのが遅いとアーノルド氏は言う。しかし小売店こそ、使いやすく、エンドユーザーへの導入を簡素化する技術を導入する必要がある。Workplace by Facebookは、ユーザーになじみのあるインタフェースを利用することでその使いやすさを提供する。
「Walmartに利用してもらえればもっと他の小売店でも利用してもらえる」と同氏は語る。
コラボレーション環境を標準規格化
既存のUCサービス提供企業に比べてFacebookやAmazonのUCサービスは圧倒的に使いやすい。この強みはビジネス市場においても両社の一助となるはずだ。また、FacebookとAmazonは顧客との関わり方も知っている。両社は一般顧客向けの市場を既に飽和させているため、成長戦略を進めるためにビジネス市場を開拓する必要がある。
今後、FacebookやAmazonが企業向けコミュニケーション基盤として好まれるようになり、コラボレーション環境を取り巻く特定のプロトコルやプログラムを標準規格化してしまったらどうなるだろうか。両社の規模は大きいため、その他のUCサービスはFacebookやAmazonのモデルに合わせる必要性が出てくる。あるいは既にその兆候は見えてきているのかもしれない。
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