基礎から分かるAPI管理【第1回】
UberやKDDIのAPI活用とは 主要5社のビジネスモデルを解説
API活用には、APIの提供者と利用者の双方にとってメリットがある。APIを活用したビジネスモデルや主要な事例について紹介する。
APIエコノミーとは
自治体、企業を問わず、幅広い組織がAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)を介したデータの公開やサービス提供に積極的に取り組んでいる。APIを公開することで、企業にとっては新規顧客の獲得といった自社サービスの普及拡大が期待できる。一方で利用者の観点では、公開されているさまざまなAPIを組み合わせ、迅速なサービス開発(「マッシュアップ」ともいわれる)が可能になるため、自社の競争力を高められる。加えてAPIの組み合わせを工夫すれば、新たなサービスの創造にもつながる。
APIによって、提供者と利用者双方のサービス普及拡大や競争力強化が実現できる環境を「APIエコノミー」と呼ぶ。
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APIを利用する目的
APIエコノミーでは、APIを公開する「API提供者」、公開されたAPIを利用する「API利用者」といったプレイヤーが存在し、これらのプレイヤーはさまざまな目的でAPIを利用している。プレイヤー別の主要なAPI活用目的は、以下の通りだ。
API提供者
- 自社サービスの利用促進、新規顧客の獲得
- APIを公開して多くの組織や個人に利用してもらうことで、自社サービスの利用促進、新規顧客の獲得につなげる
- API利用料収入による収益拡大
- 公開しているAPIの利用を有償にして、APIのコール数やトラフィックに応じた利用料を得ることで、収益拡大につなげる
- 自社サービスの品質向上
- APIを公開してAPI利用者からのフィードバックを得て、それらのフィードバックを迅速に反映することで、自社サービスの品質向上につなげる
API利用者
- サービス開発の効率化
- 自社サービスに必要な機能の実現のために公開されているAPIを利用することで、サービス開発の迅速化、開発コストの低減につなげる
- 新ビジネスの創造
- 公開されているAPIを複数組み合わせることで、新たなマッシュアップサービスの創造につなげる
- デジタルトランスフォーメーション(DX:デジタル化によるビジネス変革)の実現
- 情報システム部門に属する従業員だけでなく、事業部門の従業員でも容易にAPIを利用できるようにすることで、事業部門主体での新たなサービス創造、APIを利用した業務効率化を実現できる
APIエコノミーを実現するための4つのビジネスモデル
APIを活用したビジネスモデルとして以下の4点を紹介する。
1.既存サービスの利用拡大
1つ目は、APIを自社サービスの呼び水にするというAPI提供者側のビジネスモデル。APIだけでなく、リクエスト/レスポンス仕様やサンプルコードなどをまとめた「APIレファレンス」を公開し、一般的なプログラミング言語でAPIを利用できるようにするSDK(ソフトウェア開発キット)やクライアントライブラリも提供することで、利用促進につなげる。
本ビジネスモデルでは、API利用者に不利益を与えないよう注意深くAPIのライフサイクル(API仕様の変更、バージョンアップ、旧バージョンの廃止など)を管理、運用する必要がある。
2.新たなマッシュアップサービス創造
2つ目は、公開されているAPIを複数組み合わせて、新たなマッシュアップサービスを提供するAPI利用者側のビジネスモデル。自社で全ての機能を作るよりも、市場に新たなサービスを速く提供できる。自社サービスの市場競争力を高めることにもつながる。
他社が公開しているAPIに依存せざるを得ないため、他社APIのSLA(サービスレベル保証契約)への準拠、API仕様変更への追随が必須となる。
3.APIマーケットの提供
3つ目は、API提供者とAPI利用者をつなぐAPIマーケットを提供するビジネスモデル。APIマーケットはAPI提供者からAPI登録料を得ることで収益を上げる。API提供者は、登録済みAPIの利用者からAPI利用料(API提供者が設定した利用料)を得る。
APIマーケットは、API提供者には販路拡大の機会を、API利用者は多数のAPIを一元的に利用できるメリットを提供する。自身で複数のAPI提供者と契約しているAPI利用者にとっては、利用料の支払いをAPIマーケットに一元化でき、API利用料を個別に支払うという煩雑な手続きから解放されるメリットがある。
4.APIプラットフォームの提供
4つ目は、「2.新たなマッシュアップサービス創造」を支援するためのAPI連携の仕組みや開発実行環境をまとめた「APIプラットフォーム」を提供するビジネスモデル。APIプラットフォームは、他のAPIとの接続機能、API提供者が提供しているAPIの仕様差分を吸収した共通API、API連携に必要な認証機能などで構成される。
API利用者はAPIプラットフォームを利用することで、新たなサービスを迅速かつ低コストで開発できる。
API活用事例
前項で挙げた4つのビジネスモデルを実現している事例を紹介する。
Amazon.com、Google(既存サービスの利用拡大)
Amazon.comとGoogleは、APIを公開することで、既存サービスの利用拡大を実現している。自社サービスにアクセスするためのAPIだけでなく、APIレファレンスとSDK/クライアントライブラリも提供しており、個人/企業問わずAPIを利用しやすくしている。
既にさまざまなマッシュアップサービスで両社のAPIが利用されており、自社サービスの価値向上にもつながっている。
Uber Technologies(新たなマッシュアップサービス創造)
Uber TechnologiesはAPI利用者として、新たなマッシュアップサービス創造の効率化を実現している。タクシー配車アプリ「Uber」や出前アプリ「Uber Eats」は、複数のAPIを組み合わせて作られている。
これらのアプリは、地図情報APIを利用することでタクシーや出前配送者、自社サービスの利用者がどこにいるのかを特定する。ドライバーとサービス利用者間の連絡(通話、SMS)には通話代行API、利用者のクレジットカード決済にはクレジット決済APIを活用している。
KDDI(APIマーケットの提供)
KDDIは、APIマーケットを実現している。ヘルスケア、地図情報、天気情報、IoT(モノのインターネット)、画像認識など、さまざまな機能のAPIをマーケットで提供しており、API利用者は、これらのAPIを一元的に利用できる。
マーケットに登録されているAPIの提供者からはAPI登録料や、売り上げに応じた手数料を得ることで収益を上げている。API利用者は、API提供者が定める利用料を支払うことでAPIを利用できる。
NTTデータ(APIプラットフォームの提供)
NTTデータはAPI利用者向けに、金融機関が持つAPIの活用を支援するAPIプラットフォームを提供している。個人やFinTech(金融とITの融合)関連企業が、金融機関のデータやサービスを活用した新たなサービスを迅速かつ安価に創造できるよう支援している。
以上、APIを駆使したビジネスモデルと活用事例を紹介した。次回は、API利用者の観点から具体的な活用法について扱う。
岡野隆也(おかの たかや)
元データベースエンジニア。これまで、システム障害時の技術サポート、データ分析、クラウドサービスの開発、セキュリティ関連システムの開発など、さまざまな業務に従事。現在はSoE領域のビジネス拡大に向け新技術の検証・評価、PoC実施に従事中。国内外問わず旅行に行くのが趣味。まだ南半球に行ったことがないため、近年中の実現を画策している。
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基礎から分かるAPI管理
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