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主要PaaSベンダー10社、ツールの長所と短所を総比較AWS、Microsoft、Google、Red Hat、Pivotalなど(1/2 ページ)

「どのPaaSプロバイダーが自社の開発ニーズに最適か」。悩んでいる皆さんが判断しやすいように、主要なベンダーとその特徴を一挙に整理して紹介する。

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 PaaS(Platform as a Service)は、クラウド市場の中でも特にユニークなセグメントだ。プロバイダーによってサービスが大幅に異なるからだ。コストやターゲット市場、サポートされている技術スタックなど、さまざまな要素を踏まえて適切なPaaSプロバイダーを選ぶのは大変だ。

 大きなIT購入の決定には、ロックインのリスクが常につきまとうが、PaaSではそのリスクが高まる。新しいプロバイダーに乗り換えると、特にコストが高くつく可能性があるからだ。そのため導入候補のPaaSの長所と短所を注意深く比較検討し、自社の現在のニーズを満たすだけでなく、将来の要件にも対応できるものを見極めることが極めて重要になる。

 こうした判断に役立つように、現在市場に出回っている主要なPaaSとベンダーの概要を総ざらいをする。取り上げるのは以下のPaaSだ。

  1. Amazon Web Services
  2. Microsoft
  3. Google
  4. Engine Yard
  5. Red Hat
  6. Heroku
  7. Pivotal
  8. Oracle
  9. IBM
  10. Jalastic

1.Amazon Web Services

コスト 利用の仕方によって変動が大きい
ライセンス 商用
市場 スタートアップ(新興企業)/SMB(中堅・中小企業)/エンタープライズ(大企業)
サポートするプログラミング言語 .NET、Go、Java、Node.js、PHP、Python、Ruby

 「Amazon Web Services」(AWS)の主要なPaaSである「AWS Elastic Beanstalk」は、AWSの巨大なエコシステムに直接統合されている。自動デプロイ、キャパシティープロビジョニング、負荷分散、自動スケーリング、アプリケーションモニタリングといった機能を提供する強力なサービスだ。

 Elastic Beanstalkは、スタートアップ(新興企業)とエンタープライズ(大企業)の両方をターゲットとする無料プラットフォームだが、開発者がアプリケーションの構築、実行に使用するAWSには従量課金を適用する。Elastic Beanstalkについては、デプロイやロールバックに時間がかかるという不満の声が多い。だがElastic Beanstalkでは、PHPやRubyなど人気のプログラミング言語のネイティブサポートや、Dockerサポート、他のAWSツールに直接アクセスできる機能のおかげで、アプリケーションインフラを必要に応じて微調整できる。

2.Microsoft

コスト 利用の仕方によって変動が大きい
ライセンス 商用
市場 スタートアップ/SMB/エンタープライズ
サポートするプログラミング言語 .NET、Java、Node.js、PHP、Python、Ruby

 Elastic Beanstalkと同じスタイルの従量課金モデルを採用する「Azure App Service」は、AWSと同様に大手クラウドプロバイダーであるMicrosoftのPaaSだ。ユーザーはAzure App Serviceをオンプレミスとクラウドの両方にデプロイできる。Azure App Serviceの機能には、自動スケーリング、マネージドOSパッチング、キャパシティープロビジョニング、負荷分散などがある。

 Azure App Serviceは、幾つかの人気プログラミング言語をWindowsおよびLinux環境でネイティブにサポートする。ユーザーはそのサポートをカスタムコンテナ構成で拡張できる。Elastic BeanstalkとAWSエコシスエムの場合と同様に、App Serviceも大規模な「Microsoft Azure」のクラウド環境に直接統合されている。そのおかげでユーザーは、コンテンツ管理システムフレームワークや継続的インテグレーション(CI)パイプラインなどの追加機能を統合できる。

 MicrosoftのサービスであるAzure App Serviceは、Windows Server環境でホストするアプリケーションに特に適している。だが購入者は、一部の重要機能が利用できないことに注意しなければならない。そうした機能には、リモートデスクトップや、サードパーティーソフトウェアを自由にインストールする機能などが含まれる。こうした機能を使わずに済ませる方法もあるが、いずれにしてもIT管理者は、一定の学習が必要になることを覚悟しなければならない。

3.Google

コスト 利用の仕方によって変動が大きい
ライセンス 商用
市場 スタートアップ/SMB/エンタープライズ
サポートするプログラミング言語 C#、Go、Java、Node.js、PHP、Python、Ruby

 「Google App Engine」は、幅広いサービスを展開する「Google Cloud Platform」(GCP)に含まれるGoogleのPaaSだ。このサービスは、Elastic BeanstalkやAzure App Serviceと同様に、コンテナや人気のある広範な言語をサポートし、従量制料金を採用しており、あらゆる規模の組織に対応できるスケーラブルなプラットフォームとなっている。

 またAWSやAzureに含まれるPaaSの場合のように、Google App Engineは、GCPのエコシステムに直接統合されており、ほとんどのPaaSと同様に標準的なインフラ管理機能も提供する。App Engineの秀逸な機能として、トラフィック分割が挙げられる。この機能により、あまり手間を掛けずに、受信したリクエストをさまざまなバージョンのアプリに転送してA/Bテストを行い、機能を段階的に公開できる。

 Google App EngineはGoogleの技術力に支えられているが、Googleの独自機能は、企業をベンダーロックインのジレンマに直面させることがある。例えば「Google Cloud Datastore」は、プロプライエタリなNoSQLツールだが、GCP以外のクラウドサービスに移行する必要が生じた場合、代替ツールは簡単には見つからない。

4.Engine Yard

コスト 月額25ドルから
ライセンス 商用
市場 スタートアップ/SMB
サポートするプログラミング言語 Node.js、PHP、Ruby

 「Engine Yard」は、Ruby向けを中心としたPaaSであり、アプリケーション開発および運用支援に重点を置く。AWS上に構築され、DevOpsコンサルティングサービスと組み合わされているEngine Yardは、安定稼働とサポートが確保された本番アプリケーションを、高いコストをかけずに、かつチームの拡大に伴う成長の痛みを避けながら、迅速に拡張したいスタートアップやSMB(中堅・中小企業)に適している。

 Engine Yardのプログラミング言語サポートは、他のPaaSと比べて比較的限られている。だがEngine Yardは、自社サービスは確かなユーザビリティー、安定性、サポート機能を提供するとうたっている。管理されたネットワークセキュリティ、アプリケーションスタックパッチング、コラボレーションアクセス制御、環境の分離、スケールアウトとスケールアップ、DevOpsサポートといった機能が利用できるEngine Yardは、アプリケーション開発のオーバーヘッドをできるだけ抑えるための良い選択肢になりそうだ。

5.Red Hat

コスト 月額0ドルから
ライセンス Apache License 2.0、商用
市場 スタートアップ/SMB/エンタープライズ
サポートするプログラミング言語 .NET、Java、Node.js、Perl、PHP、Python、Ruby

 オープンソースのコンテナアプリケーションプラットフォーム「OpenShift Origin」をベースにした「Red Hat OpenShift Online」は、オープンソースを中核とした数少ないPaaSの1つだ。コンテナと幾つかの人気プログラミング言語をサポートし、中でもPerlについては、今回取り上げるPaaSの中で唯一、ネイティブにサポートしている。

 CI(継続的インテグレーション)機能が組み込まれ、Gitベースのデプロイやリリース管理が可能なOpenShift Onlineは、スタートアップとエンタープライズの両方に適したセルフサービスPaaSだ。

 だがOpenShift Onlineの真価は、Red Hatの「JBoss Application Server」を重点的にサポートしていることにある。この製品との統合に力が注がれていることから、「Red Hat Enterprise Linux」のエコシステムに既に投資している組織が、OpenShift Onlineから大きな価値を引き出せる。

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