「ストレージクラスメモリ」に関する5つのQ&A【前編】
次世代メモリ「ストレージクラスメモリ」(SCM)とは? 利点と用途を解説
ストレージとメモリの“いいとこ取り”を目指す「ストレージクラスメモリ」(SCM)。SCMが自社に適しているかどうかを判断する基準として、その技術的特性やメリット、用途などを紹介する。
変更履歴(2020年4月17日17時45分)
記事掲載当初、タイトルおよび本文の一部でストレージクラスメモリの略称を「CSM」と記載していましたが、正しくは「SCM」です。おわびして訂正します。本文は修正済みです。
「ストレージクラスメモリ」(SCM)は、注目に値する新タイプの不揮発性メモリだ。既存のストレージ技術とメモリ技術の性能差を埋めることを目指し、両者の“いいとこ取り”を実現しようとしている。
コンピュータのメインメモリに利用されてきた「DRAM」(Dynamic Random Access Memory)は、高速かつ効率的だが高価だ。データを永続的に保持できず、拡張性も限られている。一方で従来のストレージは安価であり、データを永続的に保存でき、大量のデータも扱える。ただしDRAMと比べて速度と耐久性が劣る。
最近では機械学習などの人工知能(AI)技術やメモリを大量に使用するアプリケーションが、メモリの需要を押し上げている。SCMは、少なくとも一部のアプリケーションでは、メモリとストレージに関するストレスを解決する技術の有力候補になる可能性がある。前後編にわたり、SCMを理解するための主要な5つの質問に答える。
目次
- 1.SCMがもたらすメリットとは(会員限定)
- 2.SCMが適している用途は(会員限定)
- 3.SCM導入前に考慮すべき点は(後編で紹介)
- 4.主要ベンダーによるSCM製品化の動きは(後編で紹介)
- 5.「MRAM」とは(後編で紹介)
1.SCMがもたらすメリットとは
SCMは前述の通り、メモリとストレージのいいとこ取りを目指す新興技術だ。SCMの重要なメリットの一つとして「永続性」が挙げられる。SCMは、コンピュータの電源を切ってもデータを保持できるので、メモリとストレージの両方に使える製品の開発に道を開く。一部の新しいSCMは、ほぼDRAM並みに高速で、容量の拡張性も高い。SCMが量産体制に入れば、DRAMより安価になる可能性もゼロではない。
ストレージ用途で考えると、SCMはNAND型フラッシュメモリよりデータの読み書きが速い。NAND型フラッシュメモリに対するSCMのもう一つの重要な優位性は、バイト単位でデータにアクセスする「バイトアドレス指定」も、ブロック(データを記録する最小単位である「メモリセル」を複数まとめた塊)単位でデータにアクセスする「ブロックアドレス指定」も可能なことだ。OSやアプリケーションはバイト単位でデータにアクセスすることで、I/Oオーバーヘッドを削減できる。
SCMはメモリとストレージの区別をなくし、両方を包含する単一の手段を提供する。その結果、業務で頻繁に利用するデータへのアクセスから保存まで、単一のデバイスでまかなえる可能性がある。
2.SCMが適している用途は
ストレージアレイ用としては、SCMは低レイテンシ(遅延)を要求するアプリケーション向けのキャッシュメモリとして導入できる。サーバ用ではDRAMに代わる役割を果たすことが可能だ。
SCMはDRAMより容量単価が安いため、DRAMを代替するという見方が広がっている。DRAMにはない永続性を提供でき、データ読み書きの速度もDRAMに匹敵するからだ。メモリ使用量が多いAIアプリケーションやデータ分析アプリケーションに特に役立つと期待されている。長期的に見ると、ハイパーバイザーがSCMを仮想マシンでも利用できるようにすると考えられる。
後編は残る3つの質問と、その答えを示す。
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[スパイスファクトリー株式会社] レガシーに消えるIT予算8割 「刷新か延命か」をAIと人で見極めるための手順 -
製品資料
[JetBrains s.r.o.] ソフトウェア開発は「コーディングエージェント」でどう変わるのか? -
事例
[テクバン株式会社] 太陽ホールディングスは国内外拠点の端末5000台をどう管理しているのか? -
事例
[株式会社キーエンス] PCが苦手でも自動化できる ポポラマーマなど4事例に学ぶ「ナビ搭載型RPA」活用 -
製品資料
[株式会社キーエンス] 自分ひとりでデスクワークを効率化 「AI&ナビ搭載RPA」で実践する業務自動化
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
Microsoft 365侵害企業の9割はMFA導入済み 1002人調査で見えた盲点
-
2
「GitLab」に最高深刻度の脆弱性 2014年以降の全版に影響を及ぼす恐れ
-
3
PHPはそもそも必要か? 脆弱性で問われる自社サイト安全性と保守負担のバランス
-
4
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
5
テザリングにも「限界」がある モバイルルーターを選んだ方がよい基準は?
-
6
Copilotを使うほど請求が膨らむ? Microsoftが仕掛けるAIエージェント課金
-
7
「プログラマー不要論」にThe Linux Foundationが示した答え
-
8
「Copilot」がIT予算を食いつぶす? 高額請求を招く課金体系と節約術
-
9
京王電鉄・東京メトロの被害から学ぶ境界防衛 ITの侵害はどこまで波及するか
-
10
身代金110億円「史上最悪級のランサムウェア被害」を防げなかった理由
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
3
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
4
10G回線の真価をフルに享受するには? 導入前にチェックしたいポイント
-
5
SCS評価制度時代の「SASE選定」ガイド
-
6
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
7
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
8
「EDR」選定ガイド:比較・検討フェーズで整理すべきポイントを解説
-
9
MDMだけでは防げない? Appleデバイスに潜む5つのセキュリティギャップ
-
10
情報セキュリティ対策早分かりガイド:25の自社診断で弱点と解決策を理解
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー