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銀行がクラウド活用を諦める“最大の原因”とは?銀行のクラウド活用の実情【後編】

銀行はクラウドサービスを利用する上で、どのような課題を抱えているのか。全世界の金融機関を対象にしたクラウドサービス利用動向調査の結果から探る。

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 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の混乱で対面での銀行取引やショッピングが制限される中、銀行はデジタルサービスを充実させるためにクラウドサービスの利用を余儀なくされた――。これは経済誌『Economist』の調査部門Economist Intelligence Unit(EIU)が、金融調査レポート「Capturing value in the cloud」に記した見解だ。同調査はEIUが金融ソフトウェアベンダーTemenosの出資を受け、世界200人以上の金融機関幹部を対象に実施した。

 「パンデミックが明らかにクラウドサービス導入の導火線になった。銀行はデジタルサービスを迅速に提供し、その拡大を急がなければならなくなった」。Temenosでクラウド責任者を務めるアンドリュー・リーブス氏は、こう語る。

銀行のクラウド導入を阻むのは“あの問題”

 EIUの調査レポートは大きな課題を浮き彫りにした。クラウドサービス導入の最大のリスクが何かを問う設問(2つまで回答可)では、クラウドベンダーのインフラで保管されるデータのセキュリティやプライバシー、コンプライアンスに対する懸念を挙げる銀行が59.5%に上ったのだ。クラウドインフラを規制、統制する方法の不明確さ(43.9%)、サードパーティーが保管するデータの法的責任とコンプライアンス(41.0%)、複数のクラウドサービスを組み合わせたマルチクラウド導入時のデータやサービスの相互運用性(38.0%)がそれに続いた。

 「データセキュリティの課題は、クラウドインフラにどのようなデータを置くべきかという問題を生じさせる」。シンガポールの銀行DBS BankでCIO(最高情報責任者)を務めるジミー・ング氏は、こう話す。

 現在、世界有数の銀行がクラウドサービス活用に大規模に取り組んでいる。例えば米国の銀行であるJP Morgan ChaseはThought Machineのクラウド勘定系システムを採用している。Thought MachineはGoogleの元技術者が設立し、Googleサービスから着想を得たクラウド銀行業務システムを提供するベンダーだ。同ベンダーのシステムは英国のLloyds Banking GroupやAtom Bank、スウェーデンのSkandinaviska Enskilda Banken(SEB)などの金融機関でも採用されている。

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