銀行のCXでは「エンジニア」が大活躍の訳 顧客応対からのキャリア転換例も:銀行が取り組む「CX」【後編】
オーストラリアの銀行CommBankは「CX」(顧客体験価値)強化に取り組む。その中心を担うのが、同行のエンジニアリングチームだ。
オーストラリアの銀行Commonwealth Bank(CommBank)は、デジタルの「CX」(顧客体験価値)強化に力を入れる。その中心を担うのは、同行のエンジニアリングチームだ。
エンジニアの能力開発を推進
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DX時代のエンジニアに求められるものとは
CommBankで最高デジタル責任者(CDO)を務めるフレデリク・リンドストローム氏は、「当行では優れた人材確保に多額の投資をする他、エンジニアの昇進や能力開発に注力している」と話す。同行はオーストラリア国内とインドからエンジニアを複数人迎え入れた他、エンジニアリング関連のトレーニングを重点的に実施。幹部レベルも対象とした全行員の能力開発に力を入れる。中には、顧客応対の職務から、データ分析のリーダー職務に転身した行員もいるという。
重要なのは、CommBankのエンジニアリングチームに、顧客が抱える問題を解決する権限を与えていることだ。指示を待ち、定型的な業務を実施するのとは真逆の姿勢を求めている。その結果エンジニアたちの目的意識が高まり、CommBankの行員のエンゲージメント(組織との信頼関係)も向上しているとリンドストローム氏は話す。
「エンジニアに権限を与えることで、従来は見過ごしていた人材や技術の潜在能力を引き出し、生かせるようになった」(リンドストローム氏)
CommBankでデジタルバンキング担当の統括マネジャーを務めるサム・マクレイグ氏によれば、同行はエンジニアリングチームがCX分野の成果を上げることに専念できるよう、チームへの投資も実施している。その結果、同行が実践するCXの取り組みは利益を生み出しているという。
「市場には従来とは異なる競合相手がおり、状況は変化している。どの銀行も、CX分野の支配権を握り、顧客にとっての唯一の選択肢になろうとしている」(マクレイグ氏)
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