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DX推進で「IBP」「EDM」が果たす役割とは? PepsiCo幹部が語るメーカー幹部が語る「DXの全貌」【第4回】

大規模な組織がDXを進めるのは簡単ではない。PepsiCoはDXを推進するために、どのような計画を立て、具体的にどのような取り組みを進めているのか。

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 食品や飲料品のメーカーPepsiCoで進む、5カ年計画のデジタルトランスフォーメーション(DX)。ERP(統合基幹業務システム)を含むシステムやデータは組織が大規模になるほど複雑になり、DXの障害になりがちだ。同社はDXを推進するために、どのような計画を立てているのか。最高戦略責任者(CSO)兼最高変革責任者(CTO)のアシーナ・カニョーラ氏に話を聞く。

DXを進める“水平”と“垂直”の視点とは

 カニョーラ氏によると、PepsiCoでのDXは水平と垂直、2つの方向性を持った取り組みによって進んでいる。垂直方向の取り組みは「統合事業計画」(IBP:Integrated Business Planning)のシステムを使った事業の可視化。水平方向の取り組みは「エンタープライズデータ管理」(EDM:Enterprise Data Management)による、部門横断のデータ一元管理だ。

 EDMの取り組みには、3段階に分かれた計画が待ち受けているという。1つ目は、データ管理用のシステムの改善点を洗い出し、解決すること。2つ目は、基幹システムの最新化だ。カニョーラ氏が率いるチームでは、SAPのERP(統合基幹業務システム)「SAP S/4HANA」を利用するための取り組みを実施している。PepsiCoはSAP S/4HANAを本格利用するに当たり、社内全体のさまざまなERPをまとめてクラウドサービスに移行しようとしている。「ご想像の通りこれは大掛かりな取り組みで、当社のような規模の企業では大量の作業が発生する」と同氏は述べる。

 3つ目は、社内で使用するアプリケーションを、クラウドサービス活用によって最新化すること。具体的には、社内で使用しているさまざまなアプリケーションを2024年までにクラウドサービスに移行する。カニョーラ氏は「レガシー化したアプリケーションが多数あり、この取り組みも大規模なプロジェクトになる」と語る。

 PepsiCoはこうした水平方向の取り組みを足掛かりとして、2024年までに企業としての強みを創出することを視野に入れる。同社の製品は、通常は小売店で販売されている。「それとは別に消費者とのつながりを生み出し、顧客体験を強化する方法を模索したいと考えている」(カニョーラ氏)


 第5回は、DXを通じた顧客体験強化の取り組みと、従業員向けシステムについて紹介する。

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