「1G」「2G」「3G」は何が違う? モバイル通信はこうして変わった:“大成功した無線通信”の歴史と今後【第6回】
企業が利用する“2大無線通信”と言えば無線LANに加えて、移動通信システムによるモバイルネットワークを挙げることができる。モバイルネットワークは、世代を重ねるごとにどのように進化してきたのか。
「3G」(第3世代移動通信システム)といったように、「世代」(G:Generation)で違いを表現することに特徴があるモバイルネットワーク。初期の「1G」(第1世代移動通信システム)からビジネス向けとして利用が広がるに至るまで、モバイルネットワークはどのように進化してきたのか。
「世代」(G)を重ねて進化した「1G」「2G」「3G」の違い
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連載:“大成功した無線通信”の歴史と今後
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無線LAN技術の開発が進む一方で、通信事業者はモバイルネットワークの技術開発を進めてきた。モバイルネットワークにおける技術開発の焦点は、携帯電話端末におけるデータ通信機能の強化だ。
移動通信システムの主な目的は、スマートフォンでのデータ通信だ。それ以外にもノートPCにモデムを搭載して通信したり、固定インターネット回線の代替として使用したりする使い方がある。
モバイルネットワークの初期の世代である1Gは、アナログ変調方式を採用。その後、「2G」(第2世代移動通信システム)になってデジタル変調方式を採用した。2Gでは、テキストメッセージの送受信や、着信音のダウンロード機能といった初期のデータ通信サービスが可能だった。ほとんどの通信事業者は2023年現在、2Gのサービスを終了させている。
次第にモバイルネットワークにおけるデータ通信の需要は拡大し、通信事業者は新世代のデータ通信サービスを開始するようになった。3Gは、パケット(データを分割して伝送するための単位)による通信方式を採用した。この点から、3Gは企業がLANで使用するネットワーク技術の一部を、モバイルネットワークに適用したものだと言える。
モバイルネットワークの種別は世代で区別しているものの、技術の体系が込み入っており厳密に世代を区分けすることは簡単ではない。次の世代が体系化する前に、例えば「2.5G」といった形で、現行の一部を変更した技術が登場することがある。
新世代のサービスが開始した後もモバイルネットワークは、何年かは旧世代の利用を継続できる。だが基本的に旧世代のサービスが永続することはない。通信事業者がサービスを提供するための機器にはライフサイクルがあることが理由の一つだ。
企業においてモバイルネットワークのデータ通信サービスの利用が広がり始めたのは、3Gからだ。モバイルネットワークの通信が可能なデバイスを使ってPCをインターネットに接続する「テザリング」や、PCでモバイルネットワークによる通信を可能にするためのデバイス「セルラーモデム」などの利用が広がった。
3Gになると、データ通信の速度が2Gよりも大きく向上し、それもビジネスにおけるモバイルネットワークの利用を加速させる一因になった。
次回(第7回)は、「4G」(第4世代移動通信システム)や「5G」(第5世代移動通信システム)へと至るモバイルネットワークの進化を紹介する。
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