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“脱Web会議ツール”後の「Zoom」は何のツールなのか?脱コラボレーションツール化するZoom【第2回】

Zoom Video Communicationsは、「Web会議ツールのベンダー」というイメージからの脱却に取り組んでいる。その一つがWorkvivoの買収だ。具体的な狙いを整理する。

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 「Zoom」を単に“Web会議用のコミュニケーションツール”と捉えている企業は珍しくない。Zoom Video CommunicationsでEMEA(欧州、中東、アフリカ)地域の責任者を務めるフレデリック・マリス氏は、「10人のうち9人は、当社を『Web会議ツールのベンダー』だと考えている」と話し、そのイメージから脱却する必要があると指摘する。2023年4月、同社は組織内コミュニケーションを活性化するためのツール群を提供するWorkvivoを買収した。今後、Zoomは何のツールになるのか。

Zoomが目指す「脱Web会議ツール」

 Workvivoの強みは、従業員のコミュニケーションとエンゲージメント(組織との信頼関係)の分野にある。これを基にZoomを強化し、「Web会議ツールだけのベンダーから、優れたコラボレーションツール群のベンダーへと生まれ変わることを目標としている」とマリス氏は言う。

 Zoom Video Communications の創設者兼CEOのエリック・ヤン氏は2023年5月、2024年度第1四半期(2023年2〜4月)の決算発表で、今後の方針を語った。Workvivo買収の狙いは、「『オールインワンコラボレーション製品』を目指すZoomにWorkvivoの機能を取り込むことで、Zoomに変革をもたらすことにある」とヤン氏は述べた。従業員同士が情報を交換したり共有したりするために集う「ソーシャルイントラネット」と業務用のアプリケーションを1カ所にまとめる。これによって従業員同士がつながり、協力し合うコミュニティーという組織の心臓部を構築することが目的だ。

 マリス氏は、今後のZoom Video Communications にとっては2つの点が重要だと指摘する。1つ目は、さまざまな場所で働く従業員のエンゲージメントと生産性をどのように維持するか。2つ目は、従業員エクスペリエンス(業務における従業員の体験や経験)に可能な限り境界を設けず、シームレスな状態にするようにするにはどうすればよいかだ。これらの分野に注力する戦略の中に、Workvivoの買収があると同氏は説明する。


 第3回は、Zoomが単なる会議ツールから生まれ変わるために開発されたツール群を紹介する。

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