検索
特集/連載

HDDやSSDで大人気の「RAID」とは? RAID 3からRAID 5の違い変化するRAIDの仕組み【第4回】

ストレージのデータを保護し、パフォーマンスと可用性を向上させる仕組みである「RAID」には、要件に応じてさまざまな仕組みがある。そのRAIDレベルについて個々の特徴や、人気の仕組みを解説する。

Share
Tweet
LINE
Hatena

 「RAID」(Redundant Array of Inexpensive Disks)とは、複数台のHDDやSSDを1台のストレージとして運用する仕組みだ。データ読み書きのパフォーマンスや可用性の要件に応じて、さまざまなRAIDの種類(RAIDレベル)が定義されている。「RAID 3」から「RAID 5」までを含めて、基本的な特徴や、人気の仕組みを紹介しよう。

RAIDレベルの違いと“人気のRAID”は?

RAID 3の長所・短所、用途

 RAID 3は、データを複数のHDDに分散させて書き込む「ストライピング」と、専用HDDを使った「パリティ」(2進数の誤り検出符号)を使用する。RAIDコントローラー(RAIDを制御する装置)が生成したパリティは、データを保存しているHDDとは別の、パリティ専用のHDDに保存される。構成には最低3台の物理ディスクが必要だ。

  • 長所
    • スループット(データ転送速度)が高く、大量のデータを一括転送するのに適している。
  • 短所
    • パリティ専用のHDDを使用するため、データベースなどリクエスト(要求)が頻発するアプリケーションではパフォーマンスの低下が課題になる。
    • パリティ専用のHDDが単一障害点(障害を起こすとシステム全体が停止してしまう可能性がある部分)となる可能性がある。
  • 用途
    • 映像を配信するビデオサーバなど、長いシーケンシャル(連続した)なデータを一度に転送するアプリケーションに適している。

RAID 4の長所・短所、用途

 RAID 4は、データを固定長に分割する「ブロック」の単位でストライピングを実施する。ストライピングとは、データを複数のHDDに分散させて書き込む処理を指す。複数のHDDにまたがるストライピングされたデータから生成したパリティは、パリティ専用のHDDに保存される。そのパリティは、HDDが故障した際のデータ復旧時に必要になる。

  • 長所
    • ストライピングを実施していることから、データの読み出しが高速になりやすい。
  • 短所
    • パリティ専用のHDDを用意するので、書き込みデータのパリティがその専用HDDに集中する。それがボトルネックになって書き込みのパフォーマンスが低下する可能性がある。
  • 用途
    • RAID 5のような代替手段があるため、RAID 4はあまり使われていない。

RAID 5の長所・短所、用途

 RAID 5は、データとパリティのストライピングを実施する。ストライピングを使用する他のRAIDレベルと同様、データはRAID内の全てのHDDに分散して書き込まれる。HDDの故障時にRAIDをリビルド(再構築)するために必要なパリティも、RAID内の複数のHDDに分散して保存される。

 RAID 5は、パフォーマンスと可用性のバランスが取れており、最も使用されているRAIDレベルの一つだと言える。構成には最低3台のHDDが必要だ。

  • 長所
    • パリティとストライピングの併用により、1つのHDDがボトルネックになることを回避できる。
    • 単純なストライピングである「RAID 0」とほぼ同等の優れた読み取りパフォーマンスを実現する。
    • パリティがRAID内の複数のHDDに分散しているため、1つのHDDが故障してもストレージは機能し続ける。RAID 5では基本的に、電源を落とさずに障害が発生したHDDを交換する「ホットスワップ」ができる。
  • 短所
    • パリティ生成用の計算があるため、読み取りよりも書き込みのパフォーマンスが低下する。
    • RAIDのリビルドに要する時間が長い。リビルド中に別の物理ドライブが故障した場合、データが失われる可能性がある。
    • 他のRAIDレベルよりも高機能なRAIDコントローラーが必要になる。
  • 用途
    • 使用できるHDDの数が限られているアプリケーションサーバやファイルサーバに適している。

 次回は、「RAID 50」以降のRAIDレベルを解説する。

TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス

米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る