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SSDが「期待ほど速くない」と感じたら試してみるべき“あれ”とは?SSDを上手に使う4つの方法【後編】

SSDのデータ読み書き速度のパフォーマンスを最大限に引き出し、SSDをできるだけ長く使い続けるには、その特性を理解して運用をしなければならない。具体的な方法とは。

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SSD | 半導体ストレージ | 運用管理


 SSDのデータ読み書き速度は、HDDよりも総じて高速になる。ただしSSDの特性を理解していないと読み書き速度の低下を招いたり、過度な摩耗を引き起こしたりすることがあるので、単にSSDを導入しただけでその価値を最大限に享受できるとは言えない。読み書き速度をはじめとしたパフォーマンスを最大限に引き出すためには、「やるべきこと」と「やってはいけないこと」を理解しておく必要がある。

SSDの「やるべきこと」と「やってはいけないこと」 まず理解すべき基本

 企業がSSDを運用する上で、念頭に置いておかなければならない特性がある。データを書き込む際に一度古いデータを消去する必要がある点と、一定回数以上の書き込みで消耗する点だ。こうした特徴がSSDやシステム全体に悪い影響を与えるのを防ぐために、システム管理者が把握しておくとよいSSDの運用ベストプラクティス4つのうち、3つ目と4つ目を紹介する。

ベストプラクティス3.trimコマンドを活用する

 「trim」は、ブロックの消去を許可するコマンドだ。trimを実行しないと、SSDはOSやアプリケーションの動作を予測できず、データを消さなければならないページを見落とし、SSDの処理速度低下を招く恐れがある。

 SSDは、データが上書きされたことを追跡したり、どのページが無効になっているのかを把握したりするための手掛かりが必要だ。SSDにはホストマシンの意図を理解する仕組みがないため、動作を推測することになる。データ損失は容認できないため、推測アルゴリズムは慎重な動作を採用している。その結果、SSDは無効データを含むページを見落とし、データを書き込む領域として認識できなくなることがある。

 この問題を解決するため、ATAコマンドセット(ストレージデバイスとシステム間で、データ転送やデバイス制御を実行するためのコマンド群)にtrimコマンドが導入された。trimコマンドを活用することで、アプリケーションやOSはSSD内部の管理、特に不要なデータを削除して空き容量を増やす「ガベージコレクション」をより効率的に実行できるようになった。trimの登場により、ガベージコレクションが必要になる頻繁は低下した一方、trimコマンドを使用しないレガシーソフトウェアは、SSDに無用な負荷を掛け、処理速度低下を招く。

ベストプラクティス4.SSDのS.M.A.R.T.属性を定期的に確認し、オーバープロビジョニングを検討する

 「オーバープロビジョニング」は、SSDの実際の物理容量に対して、OSやホストマシンに提示する論理容量を少なくする動作だ。いつオーバープロビジョニングを実行すべきかは、バックアップのタイミングなどに応じて判断する必要がある。このとき、SSD内部の状態を表す「S.M.A.R.T.(Self-Monitoring, Analysis and Reporting Technology)属性」を監視することで、SSDの消耗状態やオーバープロビジョニングの余地を把握できる。

 SSDのパフォーマンスを向上させる手段の一つがオーバープロビジョニングだ。オーバープロビジョニングを実行すると、SSDには余剰領域ができる。余剰領域が十分にあれば、コントローラーはガベージコレクションなどのタスクを円滑に実行できる。つまりコントローラーが、データを書き込めるブロックを見つけやすくなるということだ。

 ただしオーバープロビジョニングはコストの増加の要因になる。オーバープロビジョニングを実行するには、SSDに余分な容量が必要であり、これがコストを押し上げている。SSDのコストの大半は、SSDの記録媒体であるNAND型フラッシュメモリだ。オーバープロビジョニングは、コストに余裕のある企業にとっては有効な選択肢だと言える。

 オーバープロビジョニングを実施すると、エンドユーザーがSSDの消耗具合を把握しづらくなることも問題だ。内部で高負荷な書き込みを繰り返せばハードウェアが摩耗することになるが、内部処理であるためエンドユーザーはその状況を把握しづらい。そのため、システム管理者が書き込み負荷を意識せずにSSDを運用し、S.M.A.R.T.属性の監視を怠れば、「突然の故障」に見舞われる恐れがある。

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