Windowsで「ディスクの完全消去」や「ブート可能USBの作成」をする方法:Windowsディスク管理とコマンド【第5回】
Windowsでは、「diskpart」のコマンドを使用することでデータを完全に消去したり、ブート可能なUSBメモリを作成したりできる。コマンド実行時の注意点と併せてその方法を紹介する。
MicrosoftのOS「Windows」では、PCのディスク(ストレージ、記憶領域)を効率的に利用できるようにするためのコマンド「diskpart」を使うことによって、データを完全に消去したり、ブート可能な(システムを起動できる)USBメモリを作成したりできる。diskpartの利用でよく起こりがちなトラブルへの対処方法と併せて、その操作方法を紹介する。
ディスクのデータを完全消去
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連載:Windowsディスク管理とコマンド
- 第1回:Windowsの「ディスク」「パーティション」「ボリューム」は何が違う?
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Windows運用のノウハウ
ディスク全体のデータを完全に消去する場合は、「clean all」というコマンドを使用する。これによって保存されている全てのデータを空き領域に変換できる。この操作では、各ディスクにゼロデータを上書きすることで、ディスク上の全てのデータを削除する。さらに、選択したドライブ上の全てのパーティション(物理的なディスクを分割した区画)とボリューム(パーティションにファイルシステムを適用した1つの論理的な記憶領域)を削除する。
以下の手順でディスクをクリーンアップする。
- コマンドプロンプトで、「diskpart」と入力する
- 「select disk」と、その後にデータを消去したいディスク番号を入力する
- ディスク番号「1」を選択するのであれば「select disk 1」
- 「clean all」と入力する
- 「exit」と入力する
ブート可能なUSBメモリの作成などその他の使用方法
メンテナンス用にブート可能なUSBメモリを使用したい場合、diskpartを使用してUSBメモリのパーティションをフォーマットし、ファイルシステムを設定できる。機能限定版のOS「Windows Preinstallation Environment」(WinPE)、およびリカバリー専用OS「Windows Recovery Environment」(WinRE)でdiskpartを使用して、ディスクの問題を修正したり、デプロイ(配備)用にマシンを構成したりすることも可能だ。
コマンド「diskpart /s」を使用すると、スクリプト(簡易プログラム)を実行して、Windows搭載PCの設定に関するタスクを自動化できる。例えば、複数のPCのディスク構成、回復パーティションの追加、ディスク上の全てのデータを消去して工場出荷時の状態に戻すなどのタスクの自動化が可能だ。
Microsoftの公式Webサイトには、diskpartからの呼び出しと自動実行が可能なスクリプトのサンプルが掲載されている。IT担当者は任意のdiskpartスクリプトを実行できるが、Microsoftはトラブルを避けるため、スクリプト実行後に15秒間の遅延を組み込むよう推奨している。
diskpartのトラブルシューティング
diskpartを使用してディスクに変更を加える操作は、大抵の場合は管理者権限を必要とする。予期せぬトラブルを避けるためには、必ず管理者権限でdiskpartを実行するようにしよう。
ディスク、ボリューム、パーティションに対して何らかの操作を実行する前に、diskpartの「list」コマンドを使用してディスクの状態を確認するとよい。listコマンドで、ディスク、ボリューム、パーティションなどの情報を一覧表示できる。
コマンド「attributes disk」を使えば、ディスクのプロパティを表示し、ディスクが読み取り専用に設定されているかどうかを確認できる。書き込みを許可する場合、diskpartを実行し、ディスクを選択して、コマンド「attributes disk clear readonly」を実行する。
diskpartを実行しようとした際に「仮想ディスクサービスエラー」が表示された場合は、ディスクが使用中の可能性がある。この場合は、実行中のアプリケーションを全て終了するか、PCを再起動する。仮想ディスクサービスは、ディスクの管理や構成、ボリューム(ファイルシステムを利用する際の論理的な記憶領域)の作成や管理、仮想ディスクの管理など、ストレージ関連の操作を実行するためのサービスだ。
diskpartの実行中にI/Oデバイスエラー(I/Oはデータの入出力)が発生した場合は、ハードウェアの故障など、幾つかの原因が考えられる。トラブルシューティングの最初の一手として、コマンド「chkdsk /f /r」を実行して、ディスクにエラーがないことを確認し、不良のセクタ(データを読み書きする最小区画)から読み取り可能な情報の回復を試みることができる。
diskpartコマンド実行時の注意点
diskpartを使用する際は注意が必要だ。間違ったオブジェクト(操作を実行する対象)を指定してしまったとしても、変更を元に戻す機能がないからだ。例えば、ディスクをフォーマット(初期化して使用可能な状態にすること)すると、ディスク上のデータは全て失われる。
仮に破壊的なコマンドであったとしても、実行前に確認が求められないという注意点もある。間違ってパーティション(ディスクを論理的に分割した単位)の削除を実行してしまった場合、サードパーティー製のデータ復旧ツールを使用するなどして、バックアップからデータを復元する必要がある。
コマンドを上書きすることはできない。「Ctrl」キーと「C」キーの同時押しか、コマンドのウィンドウを閉じることにより、実行中のdiskpartを強制停止できるが、データが破損したり、ディスクに問題が発生する危険性もある。
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