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止めてはいけないデータセンターの3本柱「電源」「防火」「監視」の基本データセンター設備の進歩【後編】

データセンターのサーバが安定的に稼働するのを支える存在として、電源設備や火災対策、監視ツールなどがある。それぞれどのような役割があるのかを含めて、その基本を押さえておこう。

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 人工知能(AI)技術の活用拡大などより強力なコンピューティング能力が求められていることを背景に、データセンターの設備に求められる機能や要件も変化している。必要なのはサーバやサーバルームを適温に保つための冷却設備だけではない。以降で紹介する電源供給や火災対策、IT機器の監視ツールなど、データセンターの安定稼働の基盤となる設備も欠かせない役割を果たしている。

電力モニタリング

 サーバラックに電源を供給する装置である「インテリジェントPDU」(電源分配ユニット)は、各コンセントの負荷だけでなく、電源タップ全体の各相(三相電力システムの中で供給される3つの相)の負荷も監視できる。各相に電力の供給を均等に分ける相バランスを維持することは、「無停電電源装置」(UPS)の容量とエネルギー効率の両方を最大化するために重要だ。

 電源監視は、電源の冗長性を維持するためにも欠かせない。冗長構成の一種で、必要な分に対して倍の容量を確保する「2N構成」では、1台が故障したときにもう一台のUPSが全負荷を引き受けることができるように、各UPSの負荷を50%以下に保つ必要がある。

 ただし「N+1」の設計に関しては、UPSの“モジュール構造”に関する知識が必要になる。各20キロワットのモジュールで構成された100キロワットのUPSの場合、N+1は“20キロワットのモジュール6個”を意味する。その総負荷は100キロワット以下に保たれなければならない。

防火装置

 データセンターでは、火災検知と消火の法令に準拠するために「吸引式煙検知器」が必要だ。そのシステムでは、施設全体の空気を常にサンプリングし、高感度に設定することができる。これにより、従来の火災報知器よりもはるかに早い段階で、人の介入や煙発生源の特定、手持ち消火器による消火が可能になる。

 非常事態の火災警報を発生させるリスクを減らすためには、IT運用とセキュリティのチームの両方に早期警告通知をしなければならない。消防隊が現れて電源が遮断されれば、システムの稼働や業務に重大な支障が生じる恐れがある。そうならないように早期に警報を発し、対処することが求められる。

DCIM

 データセンターの設備やシステムを監視するためのソフトウェアとして「DCIM」(Data Center Infrastructure Management)がある。データセンターには多数の監視ポイントがある。データセンターの規模が大きくなるほどその監視ポイントから生成されるデータ量は多くなる。その全てを人間が監視することは現実的ではなくなるため、データを有用な情報に変換するにはDCIMが必要になる。

 DCIMがあれば、データセンター設備の適切な設置とメンテナンスをすると同時に、稼働状態のデータを人間が簡単に把握できる情報に変換することができる。設備や機器の発注から設置、廃棄に至るまでのライフサイクルの管理をDCIMで実施することもできる。ソフトウェアが最新の状態にあるかどうかや、電源や冷却の設備に故障が発生する可能性があるかどうかをDCIMで把握することも可能だ。データセンターの規模が大きくなり、抱える設備が多岐にわたるほどそうした管理は重要になる。

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