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データセンターの効果的な冷却を実現する5つの指針
重要なIT機器の過熱のリスクを最小化するとともに、データセンターを長期にわたって効率的に安定稼働させる標準的手法を改善するのに役立つ5つの指針を紹介する。
サーバなど重要なIT機器の過熱のリスクは、エンジニアやIT担当者、オーナーにとって常に頭の痛い問題だ。この問題は広く認識されているが、データセンターの安定性と信頼性を長期的に確保するための対策を立てるのは、まだなかなか難しい。
業界は、データセンターの冷却アプローチの統一に向けて予備的な試みを幾つか進めている。そうした試みとしては、例えば、ホットアイル(暖気通路)とコールドアイル(冷気通路)を適切に確保するためのキャビネット配置や、キャビネット前面から背面への空気の流れに関する取り決め、VUF(Vertical Under-Floor:垂直下向き)およびVOH(Vertical Overhead:垂直上向き)送風システムの標準化などがある。しかし、まだ多くの取り組みが必要とされている。
以下では、重要なIT機器の過熱のリスクを最小化するとともに、データセンターを長期にわたって効率的に安定稼働させる標準的手法を改善するのに役立つ指針を紹介する。
1. 柔軟性を考慮した設計
ミッションクリティカルなデータセンターの大半では、ライフサイクル全体でコンピュータ機器の全面交換が4~5回行われる。そこでこうしたデータセンターでは、これらのアップグレードプロセスのコストとリスクを最小化しながら、機器の連続稼働を維持するのに役立つ柔軟な設計が必要になる。設計の柔軟性を確保するために重要な要素としては、余裕のあるサイズの配管を設置することや、コンピュータ機器、機械設備、電気設備を追加するためのスペースを設けておくことなどがある。
2. 設計エンジニアとの連携
IT担当者はコンピュータルームのレイアウトを計画するに当たって、設計エンジニアと連携しなければならない。そうすれば、機器ラックのレイアウトを工夫してホットアイル/コールドアイルを目的の配置にする方法や、冷気の供給を最適化できるように有孔タイル(フリーアクセスフロアの下から冷却空気を送るために使われる、穴の開いたフロアタイル)を配置する方法をよりよく理解できる。また、IT担当者は設計エンジニアとの連携を通じて、もし連携を怠った場合には、長期にわたってスペースの制約に悩むことになるのが分かるだろう。
3. 公開されているガイドラインの活用
米国冷暖房空調工業会(ASHRAE)や7x24エクスチェンジ、アップタイムインスティチュートなど、幾つかの専門家団体は、スペースプランニング、負荷増大の予測、機械/電気システムの設計を支援する一般的ガイドラインの公開を始めている。こうしたガイドラインは、データセンター設計の優れた標準的手法を確立する過程で必要になる、設計手法の評価基準を整備するためのベースになる。
4. 計算流体力学(CFD)の利用
CFDモデリングは、以下のように行われる。まず、設計エンジニアが物理スペースの詳細情報(壁、天井、フリーアクセスフロア、設備配置、設備荷重など)を入力し、コンピュータルームを記述する。次に、CFDソフトウェアがコンピュータルームの立体表現を膨大な「セル」に分割する。エネルギー、質量、運動量の保存方程式が、各セルごとに反復的プロセスによって同時に解かれ、各セルの温度、圧力、速度といった状態が計算される。このプロセスで利用される物理学と数学の法則はよく知られており、このプロセスにより、実際の状態を的確に予測できる。
データセンターの初期設計段階でCFDモデリングを利用することは重要だが、このプロセスは、初期設計から各種アップグレード、拡張まで、データセンターのライフサイクル全体を通じて、機器の過熱と不要なダウンタイムを未然に防止する手段として、適宜再利用しなければならない。
5. 冷却システムの代替設計/レイアウトの検討
コールドアイルにホットスポットが発生した場合にそれを抑制するには、CFD分析を行った上で、天井送風や空調装置の増強など、データセンターの代替設計/レイアウトを検討する必要がある。代替方式の効果を比較するには、冷却システムの効果を定量化する幾つかの指標を利用するとよい。
例えば、ヒューレット・パッカード(HP)が開発した指標であるSupply Heat Index(SHI)とReturn Heat Index(RHI)は、コールドアイルへの高温空気の再循環の程度と、空調ユニットに対する戻り空気への冷気の迂回の程度を記録するために利用できる。マグナス・ハーリン氏が開発したRack Cooling Index(RCI)では、任意の環境仕様に対する冷却システムの適合性を記録できる。
機器の過熱リスクはITコミュニティーに依然として重くのしかかっているが、このリスクを踏まえて安定性の高いデータセンターを設計し、ライフサイクル全体にわたって維持するための手法をより標準化し、そのコスト効果を高めるためには、これら5つの指針を実行することが不可欠だ。
本稿筆者のクリストファー・ジョンストン氏は、シスカヘネシーグループの副社長として、基幹データセンターに関する研究開発の責任者を務めている。バリ・ソレル氏は、24時間稼働の基幹データセンターの概念/詳細設計、プロジェクト管理、性能/調整テスト、事業開発に20年携わっている。
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