限られたリソースの有効利用のために
資産管理がネットワークにもたらすメリット
ネットワークとデータセンターの管理者が、誰がどのリソースを、何の目的でどの程度使っているかを監視・把握・報告することを資産管理と呼ぶ。
資源をめぐる国際競争が原因で、資産管理が脚光を浴びている。地球温暖化と二酸化炭素排出権をめぐる最近のパニックバブルを見れば、一目瞭然だ。データセンターが広大な土地を占有し、大量のエネルギーを消費することに論議の余地はほとんどない。業界団体AFCOMの最近の報告書「Trends in Data Center Design and Construction」(California Data Center Design Group刊)によると、5万平方フィート(約4600平方メートル)のデータセンターの年間電力消費額は300万ドル以上。これは、1平方フィート当たりの平均消費量80ワット、キロワット時の平均価格8.68セントで計算した数字だ。エネルギー価格高騰に伴い、値下げ、サービス向上、真価の実証を求める経営陣からのプレッシャーはかつてなく高まっている。ITが大量のエネルギーと電力を消費することははっきりしており、ネットワークとデータセンターの管理者は誰がどのリソースを、何の目的でどの程度使っているかを監視・把握・報告したいという欲求に駆られている。これを技術用語で資産管理という。
実際のところ、資産管理はなぜ関心を集めているのだろうか。ITによってアクセスできる情報や物事は、かつてなく増えている。ただ、リソースがどこでどう誤用され、非効率的に運用されているかを突き止めるには、こうしたデータに相当手を加えないと役に立たないという不都合な真実がある。
情報を集めて正確で一貫したデータベースを構築する取り組みは、手作業でやらなければならないのが常だ。構築したデータベースを基に作成するスプレッドシート、データ表、手作業での分析から情報を得るプロセスは時間がかかり、退屈で、精度は相当低い。資産管理のためのツールは以前からあるが、複雑化した現代企業の状況に対応するためには、自動発見、自動フェデレーション、知的分析、および目的に応じたリポートが必要だ。タイムリミット寸前の質問に答えるため「もしこうなったら」を想定したカスタム分析を即座に実行してくれる機能も欠かせない。
現在IBMなどが提供している資産管理ソフトでは、データの収集と関連付けを行って、ビジネスサービス提供に使われている全オペレーションと機器をエンド・ツー・エンドで概観できる。ネットワークトラフィックとネットワークインフラ利用に関する詳しい情報を、部門、アプリケーション、個人、グループごとにそれぞれ収集できるおかげで、ネットワーク運用の貢献について経営陣に理解してもらい、機器の拡張や入れ替えがいつ必要になるか納得してもらうためのデータを示すことが可能になる。
財務計画、運用管理、契約管理、調達の分野では、アプリケーション利用についてのデータを調整すれば大幅な経費節減につながることもある。会社が実際のアプリケーション利用状況を把握していて、ライセンスの購入に過不足があるかどうかが分かれば、契約交渉の準備も万端になり、それが値下げやコスト削減につながったり、契約違反に伴う違約金を避けることができる。経営陣が既存インフラ、作業負荷傾向、サービスへの潜在的影響について詳しい情報を持っていれば、インフラ(ネットワークやデータセンター)刷新のための支出について、より良い判断を下すことが可能だ。
ネットワーク・IT運用要員は責任を持って、資産管理ツールがどのように役立つのかを理解する必要がある。優れた情報は、予算・支出交渉、拡張・リロケーション計画の理由付けと実行、導入済み資産およびその配置と実際に認められている内容との比較・調整の助けとなる。ネットワークの運用管理は、ただ「配管」を修理しておくことだけには到底とどまらない。ネットワークは、効率的な機器とコスト管理を通じて業務効率を向上させる生命線になり得るのだ。
ITは会社のデータを保有し、コントロールする。ネットワークは分散したデータと資産すべてを結び付け、リポートとアラートの道筋を提供する。ネットワークは分析、リポート、アラート、修復のために必要なツールへのアクセスを提供する。資産管理は組織の隅々に至る業務を組み合わせ、影響を与える。インフラインベントリの自動検出では、そこに何があるかを正確に割り出し、「失われた」資産や十分利用されていない幽霊資産を見つけてくれることも多い。
「グリーン」であることもテーマになる。資産情報を適切に利用すれば、エネルギー消費と経費削減の大きなチャンスが訪れる。十分活用されていないインフラ(配置を見直して効率を高めたり、予算負担を軽減できるかもしれない)の特定、電力消費が多く効率の悪い機器の省電力機器への入れ替え、作業負荷管理によるオフピークの運用、リソースの仮想化、エネルギー監査の実施、リサイクル・再利用プログラムなどの支えとなるデータが、これにより提供されるのだ。運用効率が上がれば、消費電力と二酸化炭素排出を削減できる。ネットワークはデータへのアクセスを提供し、インテリジェントな資産管理の基盤となる情報の分析と配信を支えている。
本稿筆者のリチャード・プタック氏は、IT分野を専門とする調査会社Ptak, Noel & Associatesの創業者でパートナー。システムプロダクトマネジメントの分野で30年以上の経験を持つ。Hurwitz GroupとD.H. Brown Associatesの副社長、Western ElectricのElectronic Switch Manufacturing DivisionとDECの勤務を歴任。著書に「Manager's Guide to Distributed Environments」(Wiley刊)がある。
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