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ベンダーの債務不履行を見越した救済策
ベンダーの債務不履行が起きた場合に備えて対応を契約で定めておけば、痛手を和らげる一助にはなり、裁判沙汰にもならずに済む。
ベンダーの債務不履行というよくある話で最近顧客から電話がかかってきた。プロジェクト完了のために、時間と金の積み増しをベンダーから要求されたという。顧客とベンダー間の契約(私が起草したものではない)をチェックしてみると、ベンダーが契約を果たさなかった場合どうするかが両者の間で明確に定められていないことが分かった。この契約ではベンダーの契約違反を想定しておらず、顧客がそれ以上の時間と金をかけることなくプロジェクトを完了させるための救済策を盛り込んでいなかったのだ。ベンダーの債務不履行の結果生じる損害の金銭的補償についても、何も規定していなかった。
顧客は不本意ながら、以下4つの選択肢から選択を迫られた。
- ベンダーを提訴する
- ベンダーの要求をのんでプロジェクトの完了を祈る
- 契約を修正して適切な救済策を盛り込む
- 別のベンダーを見つけてプロジェクトを完了させる
どの選択肢を取っても経費がかさみ、プロジェクトが完了するという保証はない。どの筋書きでもベンダーが履行できなければ時間と金がかかるが、不履行が起きた場合の対応を契約で定めておけば、顧客の痛手を和らげる一助にはなり、裁判沙汰にもせずに済む。
契約上の救済策を検討する際は、ベンダーが契約を果たせなかった場合、自分の会社にどんな影響が出るかをまず洗い出し、次に債務不履行が発生した場合に要求する内容を決める。第2に、金銭的補償が適切かどうか、ベンダーによる何らかの対応(履行の強制など)が必要かどうか、あるいは金銭と履行の組み合わせが適切なのかを検討する。
救済策の要素
どんな契約でも救済策の要素は2つある。
- 救済に至る原因となった出来事
- 救済策
例えば次のような例を検討するといい。「当事者の一方が本契約の条項に違反し、30日以内に回復できない時は、いずれの当事者も本契約を解除することができる」。この場合、救済に至る原因となった出来事は契約違反であり、救済策は契約解除権となる。救済策を起草する際は、ベンダーの契約違反に対する適切な対応を定め、契約違反が起きた場合に自社が要求する内容を具体的に記載する。契約の破棄が必ずしも正解とは限らない。
救済条項の3要件
適切な救済条項は、次の3つの要件を満たすものでなければならない。
- ベンダーの不履行によって損害が生じる分野に適用される
- 救済に至る原因となった出来事について記載する
- 救済策について記載する
手元にあるITサービス契約から例を引いておく:「ベンダーは、時宜にかない、かつ作業範囲記述書に定められた全目標と期日に沿ったサービスの履行を保証する。サービスが前述の保証を満たさない場合、ベンダーは直ちに顧客に対し無償で、保証内容に沿う形でサービスを再履行する」
債務不履行が発生した場合でも、ベンダーを法廷に引っ張り出すより当事者が紛争の解決に向け協力し、プロジェクトを完了させることを望む場合も多い。ベンダーの契約違反を想定してその場合の具体的な救済策を定めておけば、ベンダーの契約履行と、結果的に金銭的損害が起きた場合の賠償を保証する一助となり、裁判にもつれ込む事態も避けられる。
本稿筆者のマット・カーリン氏は法学士、経営学修士で米シカゴにあるニール、ガーバー&アイゼンバーグ情報技術プラクティスグループの会員。
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