Column
ベンダーとパートナーを組むのは難しいが、苦労は報われる
CIOは、サプライヤーとの重要な関係を強化して貴重なパートナーシップへと発展させる戦略を取るべきだ。
パートナーとしてのサプライヤーという考え方は、実際のビジネスの厳しさを経験したことがない学者の唱える絵空事に聞こえるかもしれない。だが、サプライヤーと対等の協力関係を結ぶことにはメリットがある。
企業とサプライヤーがパートナーシップを築けば、サプライヤーは企業の業務の進め方に対する理解を深めることができ、両者はコスト削減や、サービスと品質の向上、さらにはイノベーションを通じて連携協力することができる。
そして業務のアウトソーシングを進めると、企業はサプライヤーにより大きく依存することになる。重要なサプライヤーと距離を置いて付き合っていてはうまくいかない。成果の質を確保するには、信頼できるパートナーが必要だ。だが、どのようにパートナーシップを築くべきなのか。以下の3つの問いを考えることで見えてくるだろう……
ベンダーとパートナーを組むのは難しいことだが、その苦労は報われる。
わたしのビジネスヒーローの1人は、医療品卸販売・サービスを手掛けるオーエンズ&マイナーの会長、ギル・マイナー氏だ。マイナー氏は、顧客にとっての製品とサービスのコストを引き下げながら、自社の利益を拡大することを目標に掲げている。共存共栄のパートナーシップを目指す素晴らしいビジョンだ。だが、ほとんどの業界では、サプライヤーはパートナーではなく、最も有利な価格で取引するための交渉の相手として、ドライな目で見られている。
パートナーとしてのサプライヤーという考え方は、実際のビジネスの厳しさを経験したことがない学者の唱える絵空事に聞こえるかもしれない。だが、サプライヤーと対等の協力関係を結ぶことにはメリットがある。ここで言うサプライヤーには、物流サービス会社から、PCを販売するハードウェア会社まで、すべての供給業者が含まれる。
今日のネットワーク経済の中では、すべてを自社でまかなえる企業はまずない。サプライヤーは企業がより良い商品やサービスを生み出す手助けをしている。実際、大手PCメーカーのデルは、サプライヤーとの関係なくしては、現在の受注生産のビジネスモデルを維持できないだろう。
また一方では、取引するサプライヤーを極力絞り込むことがコストの削減につながる。このことは事実に裏付けられている。取引先が多過ぎると、経費がかさんでしまう。フォードのような企業でさえ、より少数のサプライヤーと緊密な関係を構築する戦略に移行している。
企業とサプライヤーがパートナーシップを築けば、サプライヤーは企業の業務の進め方に対する理解を深めることができ、両者はコスト削減や、サービスと品質の向上、さらにはイノベーションを通じて連携協力することができる。
そして業務のアウトソーシングを進めると、企業はサプライヤーにより大きく依存することになる。重要なサプライヤーと距離を置いて付き合っていてはうまくいかない。成果の質を確保するには、信頼できるパートナーが必要だ。だが、どのようにパートナーシップを築くべきなのか。以下の3つの問いを考えることで見えてくるだろう。
互いにプロセスとコストを透明にしているか?
企業は概してこれらを透明にしない。だが実のところ、隠しておくべきものはほとんどない。大部分の企業は魔法の手法ではなく、業務の方法で競争しているのだから。
サプライヤーに業務の方法とコスト構造をオープンに公開し、サプライヤーにも同じことを求めることが、すべての当事者の業績向上につながる連携協力の準備になる。また、サプライヤーの業務のやり方が分かれば、購入する商品の設計に意見を反映させることもできる。
互いの財務業績について利害を共有しているか?
真のパートナーシップを築くには、すべての当事者が実質的なメリットを得ることが必要だ。ビジネス上のメリットとは、一般に利益を意味する。透明性の確立は重要だが、次に――マイナー氏がそうしたように――財務目標を設定する必要がある。例えば、自社のコスト削減とサプライヤーの利幅拡大といったものだ。具体的な作業としては、自社とサプライヤーが共有するビジネスプロセス(調達、請求処理、サプライチェーン管理、サービス提供)をそうした財務目標に合わせて再構築すべきだ。
トラブルが起きたときに犯人探しをするか、それとも問題解決に取り組むか?
こうした場合に責任の所在を追及したくなるのは無理もないが、それでは問題は解決しないし、なくなりもしない。それに、技術的な問題では、当事者にだけ責任があるということはほとんどない。
真のパートナーシップでは、当事者は協力して問題の原因を究明し、解決策に合意し、その実行責任者を決定する。ハイテク機器メーカーのソレクトロンは納品トラブルを追跡し、顧客と定期的に話し合いを行っている。企業はトラブルを追跡することで、業務の構造的な問題の原因、例えば、特定のサービスが常に遅れたり、その提供コストが予想以上に膨らむ原因などを発見することもできる。
要約しよう。パートナーシップは、多大な労力を費やさなければ構築できないが、その苦労以上の価値をもたらす。
本稿筆者のジェームズ・チャンピー氏は、ペロー・システムズのコンサルティング部門会長兼同社戦略責任者。また、ベストセラーの『Reengineering the Corporation』(邦訳:リエンジニアリング革命―企業を根本から変える業務革新/日本経済新聞社)、『Reengineering Management』(邦訳:限界なき企業革新―経営リエンジニアリングの衝撃/ダイヤモンド社)、『The Arc of Ambition』、『X-Engineering the Corporation』の著者でもある。
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