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Windows Vistaの仮想化――入門編
Vistaを試すなら仮想マシンで――Virtual PCとVMwareでのインストールの注意点を紹介しよう。
Windows Vistaが世界中のデスクトップに徐々に登場してきている中、人々はこのOSに実際に触れて体験したいと考えている。そして多くの人は、できれば高度に管理された環境で、つまり、仮想マシン(VM)上でVistaを動かしたいと考えている。
どのOSについても言えることだが、VM上でVistaを動作させるに当たっては、一連の落とし穴や、特別なコツを頭に入れておく必要がある。本稿では、その中でも最も重要なものを幾つか紹介しよう。
VistaをVM上で動かす理由はたくさんある。例えば、利用できる限られたテストマシンすべてで既にWindowsが動作していて、デュアルブートは使用していない場合、Windows XPが動いているマシンにVistaをインストールすると、問題が生じる。XPのブートローダがVistaのブートローダに置き換わってしまい、簡単には元に戻せなくなるという問題だ。具体的には、XPのブートローダであるNTLDRの実行ファイルが、VistaのブートローダであるWindows Boot Manager(BOOTMGR.EXE)に置き換わる。後者は、新しいEFI(拡張ファームウェアインタフェース)ベースのコンピュータと、従来のBIOSベースのシステムの両方に対応している。まとめると、既存のXPシステムにVistaをインストールすると、デュアルブート構成にした場合も含めて、元に戻すのは困難だ。元に戻すには、サードパーティーツールを使うか、回復コンソールを実行して修復するか、システム全体のバックアップから復元する必要がある。Vistaの仮想インスタンスを使用すれば、この問題は完全に回避できる。
一般的なアドバイス
どのエミュレーションシステムを使う場合でも、Vistaを適切に動かすには、以下のような一般的なガイドラインに従わなければならない。
Vistaを快適に使うための最小ディスク容量は、15Gバイト
このため、仮想ディスクを作成する目的で、ホストのディスクに最低でもそれだけの空き容量を必ず用意する。実際に使われるディスク容量はこれよりも少ないが、Vistaは、セットアップに使われるシステムイメージからファイルを展開し、コピーするためのスクラッチ領域を必要とする。
VistaはXPよりも多くのメモリを必要とする
これは周知の事実だが、少なくとも1つの点で、必要容量は端的に分かる。Vistaは、RAM容量が512Mバイト未満のシステムにはインストールできないからだ。そうしたシステムにインストールしようとすると、インストーラがRAM容量不足を知らせるエラーメッセージを表示する。VM上でVistaを動かすには、ホストPCからVistaの各インスタンスごとに最低512MバイトのRAMを割り当てることができるようにする。
なお、Vistaはメモリが512Mバイト未満でも動作する。512Mバイトのメモリが割り当てられたVMにVistaをインストールして成功した後で、VMのメモリを384Mバイト、さらには256Mバイトに減らすことは可能だ。ただ、わたしはこのトリックを試してきたが、結果は必ずしも満足のいくものではない。Vistaは動作することはするが、円滑には動作しない。このため、メモリはやはり512Mバイト以上が必要不可欠だ。
Vistaの仮想インスタンスではAero Glassは動作しない
これからもしばらくは動作しないだろう。詳しくは下記の「Aero Glassは使用不可」を参照。
Virtual PC上でのVista
Virtual PCで作成した仮想マシンにVistaをインストールするのは、多くの人にとって厄介な作業だ。VistaのRC(リリース候補版)はVirtual PC 2004上では、ホストハードウェアの処理能力や、Vistaへのメモリの割り当て量にかかわらず、動作が非常に遅かった。
だが、Virtual PCの最新版であるVirtual PC 2007(VPC2007。本稿執筆時点で公開βが提供されている)上では、従来版と比べて、Vistaの動作が大幅に改善されている。以下の要因のおかげだ。
- VPC2007には、Vistaに対応した仮想マシンオプションが標準で用意されている。新しく作成するVMのOSとしてVistaを選択すると、そのVMの最小メモリ容量が自動的に512Mバイトに設定される(これは適切な設定だ)
- VPC2007のVirtual Machine Additions(VMA:バーチャルマシン追加機能;VPC2007の公開βでは、ディスクイメージのボリュームラベルはバージョン13.724)は、Vistaに対応するようにアップデートされている。Virtual Server 2005 R2のVMAイメージも、Vistaの動作を大幅に向上させることが知られていたが、VPC2007が公開βとしてリリースされてからは、VS2005 R2からVMAイメージをコピーするよりも、VPC2007のβを使う方が楽な選択肢だ
Virtual PCで作成したVM上でVistaを動かす場合には、できるだけVirtual PC 2007を入手して使用すべきだ。VPC2004で作成した既存の仮想マシンと仮想ディスクは、VPC2007上でも従来とほぼ同様に動作する。つまり、下位互換性の問題はなさそうだ。
VMware上でのVista
VMware上でVistaを利用するのは少し面倒だ。VMwareはマイクロソフトの製品ではないからだ。VMwareとVistaの連携の仕方にはおかしな点があり、幾つかの注意点を理解しておく必要がある。以下はその一部だ。
VMwareのバージョンに注意
Virtual PCの場合と同様に、自分の持っているVMwareのバージョンに注意しなければならない。VMware Workstationは、実はバージョン5.0でもVistaをサポートするが、最良の結果を得るには、最新バージョン(5.5.3)を入手する必要がある。5.5.3では、「Windows Vistaサポートの実験的な改良」が施されており、VMware 6.0のβでは、ゲストOSおよびホストOSとして、Windows Vistaの32ビット版と64ビット版がサポートされている。
アクティベート前にVMware Toolsをインストール
Windows Vistaをアクティベートする前にVMware Toolsをインストールし、エミュレートするハードウェアの追加を行う。Vistaのアクティベーション期限である14日間(VistaのMSDNエディションでは30日間)の間に、ハードウェアをセットアップして調整を加えることができる。じっくり時間をかけられるということだ。
VMware 5.5およびそれ以前のバージョンの場合
Vista RTMのインストーラと、VMware 5.5およびそれ以前のバージョンの組み合わせには問題がある。仮想マシン用にVistaディスクの.ISOイメージをマウントして、インストーラを起動しても、CD-ROMのドライバが見つからないという状態になってしまう。
この問題を回避するには、仮想マシンに2つのCD-ROMをマウントする。一方のマウントポイントには実CD-ROMドライブを、もう1方のマウントポイントには.ISOをマウントするようにする。両方とも電源投入時に接続するように設定し、「実」ドライブについては、レガシーエミュレーションオプションを使用しない。物理ドライブにディスクを挿入せずに起動する(これにより、マシンは.ISOを起動する)。
Vistaのインストーラが、ドライバがないというエラーを表示したら、VMからホストに移動し、CD-ROM 1に物理ドライブではなく.ISOをマウントし、VMに戻ってインストールを続ける。Vistaのインストーラ(とVista自体)は、物理CD-ROMドライブを「見て」からでないと、そのドライバを適切にインストールできないようだ。
もう1つの問題回避策(より恒久的で巧みな回避策であり、この問題が修正されるまで、これに勝るものは現れないだろう)は、DAEMON Toolsのようなプログラムを使って、.ISOをCD-ROMドライブとしてホストコンピュータにマウントし、仮想マシンにアクセスさせるというものだ。
VMwareがVistaをゲストOSとして扱う仕組みに関するヴイエムウェアのドキュメント全体には、これら以外にも膨大な問題が解説されている。例えば、システム構成によっては、内蔵ネットワークアダプタドライバでトラブルが発生する可能性がある。
Aero Glassは使用できない
VistaをVirtual PCやVMware上で動かす場合の大きな欠点は、Vistaで導入された新しい視覚効果を提供するGUIであるAero Glassがサポートされないことだ。Virtual PCとVMwareがエミュレートするビデオカードはいずれも、Aeroをサポートするにはまったく力不足だ。Aeroをサポートするためには、エミュレートされたビデオハードウェアと、ホストシステム内のビデオカードの間で、現在サポートされているよりもはるかに高度な連携性が実現されなければならない。
それは不可能なことではないが、当分は望めそうもない。VMware 5.5と新しい6.0の実験的な機能の1つとして、Direct3Dによるビデオアクセラレーション(Aeroの主要な要素の1つ)のサポートがある。しかし、ピクセルシェーダーや頂点シェーダーなど、Aeroに必要な機能の多くが、まだVM上では提供されていない。つまり、Aeroを利用する必要があるなら、VistaをVM上で動かしてはならず、AeroがVM上で動作することは、すぐには期待できないということだ。
ライセンシングについて
わたしはこの記事の途中で、Vistaはアクティベーションを行わなくても、インストールメディアの提供元に応じて、14日間から最大30日間利用できると書いた。だが、これは、Vistaのライセンス契約をかいくぐる方法として言及したわけではない。実際、VistaのEULA(エンドユーザーライセンス契約)には、仮想マシン上で動作させる場合の条項が盛り込まれており、ごまかしは利かない。VistaのVM上でのライセンスについては、別の稿で詳しく取り上げるつもりだ。
本稿筆者のサーダー・イェグラルプ氏は、1994年から2001年まで、ITに関する幅広いトピックの記事をWindows Magazineに寄稿した。現在、Windows NT、Windows 2000、Windows XPに関する専門知識と経験を生かして、The Windows 2000 Power Users Newsletterを発行するとともに、TechTarget米国版に技術コラムを寄稿している。
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