それなりの効果はある
セカンドライフで就職フェア──優れた人材は採用できるか
MicrosoftやEMCなどの大手が、Second Lifeでの人材採用活動に乗り出している。
面接している相手が宙に浮かんでしまった場合はどうすればいいのだろう。
IT職の求人に応募してくれる人材を何とかして増やしたいと思う企業は、仮想面接を含めどんなことにもチャレンジするのを厭わない。そして仮想世界に行ったことがある人は、この世界での採用が現実のものとなりつつあり、効果が表れ始めているとの見方で一致する。
Accenture、EMC、GE Money、U.S. Cellularの大手4社と、この4社への就職を目指す求職者が、インターネットで面接を行った。この仮想就職フェアは、求人広告代理店のTMP Worldwide Advertising & Communicationsが、人気仮想世界Second Lifeにある自社のスペース「TMP Island」で開いているもので、今回が2度目となる。
2007年5月に開かれたTMPの第1回仮想就職フェアに参加したMicrosoftの採用担当責任者、ウォーレン・アシュトン氏は、Second Lifeは採用の場として将来性はあるが、成果があったと言い切るのはまだ時期尚早だと認めている。それでもMicrosoftは5月のイベントで少なくとも1人を採用し、アシュトン氏によると、今後も恐らく仮想就職フェアのイベントを実施するだろうという。
「本当にいい経験だった。われわれが面接した応募者の質も良かった」
Second Lifeは3次元仮想空間に作られた広大なマルチプレイヤー世界で、「住人」の生活、労働、社交、起業、そして何百万ドルもの金銭が実際にやりとりされる場となっている。ただ、この世界に対しては批判もある。
同サイトは信頼すべきでないと主張するのはコンサルタント会社の米Gartner。同社アナリストは最近の報告書で、仮想世界の活動に従事している企業は、ブランドと評判を傷つける危険を冒しており、セキュリティ問題に見舞われる可能性もあると指摘した。しかもSecond Lifeは不公正な事業慣行を行っているとの批判もあり、仮想の性的関係をめぐる訴訟まで起きている。
それでもSecond Life人気を疑う余地はない。850万人の「住人」がいて、50万人は毎週ログインしている。ハイテク大手はニッチなハイテクマニア向け製品やサービスの宣伝にSecond Lifeを利用してきた。例えばIBMは、主要ビジネスプロセスの仮想研修とシミュレーション用に、Second Life内で広大な島を購入している。
もう1つの採用手段
批判はさておき、ソーシャルネットワーキングやインターネット技術は求人側と求職者を結び付ける上で「極めてに役に立つ」というのがCIOリクルーターの見方だ。Z Resource GroupのITリーダーシッププラクティス担当マネージングディレクター、マーサ・ヘラー氏は「Second Lifeが効果的なツールにならないと言い切る理由はない」と話す。
CIOの職探しの場としてSecond Lifeが最高だとは言えないかもしれないが、CIOが求職者をリクルートする場としては優れているとヘラー氏は言う。参加ベンダー各社も同じ意見で、探しているのは主に初心・初級レベルのIT技術者だが、もっと経験を積んだ人材も応募してくるという。
Second Life住民の平均年齢は30歳。応募者の年齢にもこの状況がかなり反映されていると、TMPの双方向戦略副社長、ルイス・ボング氏は話す。
アシュトン氏によると、Microsoftは当初技術者の採用を目指していたが、応募者のほとんどは「それよりもやや若い層」だったという。ある程度の経験は持っているが「比較的経験が浅い」人が大部分を占めた。それでもベテランから学生まで幅広い応募者が集まったという。
一方、SunterraのCIO、ノーバート・クビラス氏は「面白いやり方だとは思うが、(経営幹部級の)人材をSecond Lifeで探そうとは思わない。今のところ、個人的なネットワークの方が貴重であり効果的だ」と話す。
もっとも同氏は、Webを使った求人や地元の就職フェア、軍から民間に転じる予定の人材を対象とした求人など、これまで通りのやり方で「素晴らしい成功」を収めているとしながらも、初級・中級レベルの職種なら仮想面接は検討してもいいとの姿勢だ。
シャツとネクタイはなし
ボング氏の会社では、潜在的な求職者を引き付ける革新的なやり方を求めているという。仮想世界の利用は新しい発想だと同氏は言い、TMPではSecond Lifeを、求職者と採用側を結び付ける技術ツールと見ていると語った。「求職者に対し、リクルーターとメタフィジカルに出会える場だとアピールしている」
ボング氏によると、応募者ふるい分けのプロセスは、現実社会とは少し異なる。求職者はまずマイクロサイトに案内され、TMPがそれぞれの希望を聞く。Second Lifeに住民登録しアバター(自分の分身となる仮想人格)を作成済みの求職者は、興味があれば履歴書をアップロードして面接を申し込める。応募者は「テレハブ」経由でTMP Islandの各参加企業に割り当てられた場所に送られ、仮想オフィスでリクルーターと会って面接を受ける。
ふるい分けと30分の面接のスケジュール調整はリクルーターが行う。5月のイベントでは求職者872人が登録して750人が面接を申し込み、209人の面接が認められた。
「少なくともこのイベントで3人が採用されたことは確かだ」とボング氏。
ただ、仮想面接の難しさは誰も否定しない。面と向かって会うことがないのでやりにくいとMicrosoftのアシュトン氏は言う。仮想世界での操作方法を習得する必要もある。
「その場で操作方法を習得していくのは大変だった」とアシュトン氏は言い、ある応募者は、面接室で宙に浮かんでフワフワと漂い始めてしまったと明かした。「奇妙だが新しい経験だった。大笑いしてそこから話が弾む。誰でも常に話の取っ掛かりを探しているものだ」
2日間のイベントを終えるころにはすっかりアバターを使いこなせるようになったと同氏は話す。
グローバルマネジメント/アウトソーシング企業のAccentureは、今回のイベントに初めて参加する。グローバル採用担当責任者のジョン・カンパニーノ氏は、まだ実績が定まらないこのやり方に対し、同社は現実的な期待を抱いていると説明する。「Second Lifeは市場に多数ある採用手段の1つであることを念頭に置いている。当社にとっては比較的新しいものであり、それほど高い期待は持っていないが、メッセージの発信はできると期待している。そこから(Accentureに対する)関心を持ってもらえればと思う」
ヘラー氏によると、仮想人材採用に対する最善のアプローチは、基準と測定可能な成果を定め、「時間を有効に使ったと思える」ことだという。
結局のところ、仮想面接はまだ1次面接の段階だ。「その場で内定を出すところはない。その後2次、3次、4次面接まで行われる」とボング氏は話している。
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