使っているのは5社中1社
3分の1はMS Projectユーザー――SMBにおけるPPMツール利用の実態
TechTargetの調査の結果、8割のSMBがPPMソフトを使っていなかった一方、ハイエンドなツールを使いこなしている企業もあった。
米TechTargetの最近の調査によると、何らかのPPM(プロジェクトポートフォリオ管理)ソフトウェアを使っている中堅企業は約5社に1社の割合にとどまり、そのうち3分の1がMicrosoft Projectのユーザーだ。しかし、ビジネスやITプロジェクトの複雑化に伴い、より高価なPPMソリューションの優れた機能性を求めるIT部門もあり、その中には中堅企業のIT部門も含まれる。
PPMとITガバナンスに関するこの調査によると、PPMソフトウェアの導入理由の最上位は、69%の回答率を得た「プロジェクト管理機能の必要性」で、「リソース管理機能の必要性」が67%とわずかな差で続いた。それに次いだのが「プロジェクトの実施後評価の基準と方法論を作成する必要性」で、「コスト見積もりの必要性」も回答率が高かった。この調査は2009年5月に実施され、社員100~1000人の中堅企業236社が回答した。
この調査の回答結果は、社員1000人超の大企業に対する同様の調査と少し異なっている。例えば、大企業の場合は最もよく使う機能として財務分析が挙げられている。
PPMソフトウェアユーザーに取材したところ、ほとんどの企業はPPMツールとしてMicrosoft Projectをまず利用するか、あるいは少なくとも利用を検討するが、環境が複雑になるとエンタープライズクラスのPPMアプリケーションに移行することが分かった。
カーペットなど床製品メーカーのShaw Industriesは、Microsoft Projectほか各種のプロジェクトプラットフォームをCompuwareのChangePointに一本化した。Shawは買収を通じて成長してきた企業で、10カ所の事業所で10種類のPPMソフトウェアを使っていたと、IS計画・システム開発担当ディレクター、グレッグ・リビングストン氏は語った。これらのソフトウェアにはMicrosoft Projectのほか、Evernote version 1.0(Scrumプロジェクトの管理に使われるツールで、同氏は「良い製品だが、エンタープライズ向けPPMソリューションではない」と評した)、Jira(オープンソースアプリケーション)、IBM Lotus Notesなどが含まれていた。
このようにさまざまなシステムが使われていたため、プロジェクトの一貫性が確保されておらず、ビジネスパートナーはリポートの内容を把握するのに苦労していた。
「リポートの体裁がどれもばらばらなほか、優先順位付けのプロセスもまちまちに見えることが、ビジネスパートナーと仕事をするときに問題になっていた。誰も先が読めなかった」とリビングストン氏は語った。
プロセスと手続きの標準化の必要性が高まり、ツールを包括的なものに統一することも必要になったため、ShawはPPMソフトウェア投資を1種類の製品に絞ることを決断した。リビングストン氏は、Shawが求めていた機能として、財務分析、網羅的なプロジェクト要求管理、開発サイクル管理、アプリケーションポートフォリオ管理を挙げた。
「われわれのMicrosoft開発環境で使われていたMicrosoft Team Foundation Serverも、一定のPPM機能を備えていた」とリビングストン氏。「だがわれわれは、エンタープライズソリューションのためにプラットフォーム非依存の製品を必要としていた」
ハイエンドPPMソフトウェアのベテランユーザー
ミシガン州オークランド郡のCIO、フィル・バートリニ氏は、1996年からPPMソフトウェアを利用している。2002年にCAとの契約終了に際して、オークランド郡は最初の導入時と同様にMicrosoft Projectなど複数製品を評価したが、引き続きCAのClarity製品を使うことを決め、現在に至っている。
「Microsoft Projectにはまだ足りない機能があった」とバートリニ氏。「あのときMicrosoft Projectに乗り換えたら、われわれはそれまでより一歩後退することになっていただろう」
バートリニ氏は、Clarityを利用してプロジェクトに優先順位を付け、150万ドルの予算削減に成功したと語った。同氏とチームは財務分析機能を活用し、リソース配分を行うとともに、すべての財務上の義務の履行を確保している。これらのためにデータのレビューが毎週行われている。
「われわれの取り組みに関していえば、リソースとその配分計画の実施状況を会計的に把握していなければ、つまり、われわれが何にどのように取り組んでいるかを、常に数字で把握することができていなければ、結果を出すことはできなかっただろう」とバートリニ氏。「サービスを提供する上で、こうした数字の管理は極めて重要だ」
プロジェクトスケジューリングや週次追跡・分析なども重要な機能だ。「こうした機能でスケジュールが検証される」と、オークランド郡の郡政府向けITサービス責任者、ジャネット・マッケナ氏は語った。「われわれにとって最も優先順位が高いのは、スケジュールと予算を守ることだ」
PPMソフトウェアなしで済ます
しかし、本格的なPPMツールが多くの中堅企業においてプロジェクトポートフォリオ管理の解決策になるとは限らない。実際、非常に多くの中堅企業がこうしたツールを使わずに済ませている(TechTargetの調査では、回答企業の約83%がPPMソフトウェアを使っていない)。
会員制高級リゾートクラブのExclusive Resortsもそうした企業の1つだ。同社は本格的なPPMソフトウェアに頼らずに、アジャイル方法論、ScrumMasterダッシュボード、スコアカーディングを利用して、プロジェクトをスケジュール通りに予算内で運営している。同社は通常、6つのプロジェクトを並行して進めている。
技術担当上級副社長のチャールズ・リビングストン氏によると、Exclusive Resortsは本格的なPPMツールを検討したが、利用可能な選択肢は高価だった。従業員200人の同社では、既にアジャイル方法論が効果的に機能していたため、本格的なPPMツールの導入は見送られた。
同氏は、小規模な短期プロジェクトを積み重ねていくことが、プロジェクトチームにとっても経営幹部にとっても好ましいと語った。目に見える前進が継続的に達成されやすいからだ。
「あらゆる観点から見て、そうしたプロジェクトのやり方の方が健全だ」とリビングストン氏。「プロジェクト担当者は焦点を明確にして仕事に当たることができ、ほかの人もプロジェクトの進ちょくを評価しやすい。ビジネス環境や景気は変わるだけに、このことは重要だ」
リビングストン氏は、現行システムが会社の収益に貢献しており、今の経済環境から慎重さが求められていることから、当分は従来のPPM手法を踏襲すると述べた。
「資金が限られている場合、適切な対象に投資を集中するのが得策だ」(同氏)
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