「2010国際医用画像総合展(ITEM)」イベントリポート
ITEMに見る、診療所におけるPACS普及への取り組み
2010年4月9日から11日までの3日間、パシフィコ横浜にて「2010国際医用画像総合展」が開催された。本稿では、医用画像システムや医用画像表示モニターなどの関連ブースを取材した内容を紹介する。
医用画像機器および周辺機器の総合学術展示会である「2010国際医用画像総合展」(以下、ITEM)では、X線撮影装置やCT/MRI、超音波診断装置、医療画像装置などの最新機器が展示されていた。
今回の総来場者数は2万977人となり、2009年の1万9074人を上回った。TechTargetジャパンでは、医用画像管理システム(以下、PACS)や医用画像表示モニターの関連ブースを中心に取材した。
診療所のPACS導入
2008年度の診療報酬改定から新設された「電子画像管理加算」。CTやMRIなどの検査画像をモニターに出力して診断する場合に診療報酬点数の加算が認められたことで、従来のフィルム出力から画像のデジタル化およびその一元管理が可能になるPACSへと移行するケースが増えている。今後は大規模な病院だけでなく、中小規模の病院や診療所などでもその導入が進むと予想される。今回のITEMでも診療所向けのPACS関連製品が展示されていた。
透析支援機能を備えた「NEOVISTA I-PACS EX」
コニカミノルタヘルスケアの「NEOVISTA I-PACS EX」は、1台で画像ファイリング機能と画像参照機能を備えた画像診断専用端末だ。その最新版では、透析に必要な心胸郭計測を支援する「自動心胸郭非算出」機能が搭載された。この機能では自動CTRボタンによって計測線の入力が簡素化され、計測データをCSV形式に変換して外部出力することが可能になった。また、同社は診療所向けの製品として、CRコンソール機能と参照/ファイリング機能が一体化した省スペース型の「REGIUS Unitea」も提供している。
電子カルテと連携した迅速な画像検索が可能「Plissimo AR」
パナソニック メディカルソリューションズの「Plissimo AR」は、1Tバイトの大容量を持つ画像保管システム。検査画像の検索機能に優れており、電子カルテで患者IDを入力するだけで、すぐに該当する画像データの検索や表示を行える。ネットワーク上の複数の端末から画像検索や表示ができ、拡張性が高いクライアント/サーバ型の「TYPE S」と、省スペース性に優れたスタンドアロン型の「ARシリーズ TYPE P」の2種類が用意され、各診療所の環境や形態に応じたPACS導入が可能だ。
機能を限定し導入コストを抑えた「DICOM mini-PACSシステム」
日本バイナリーの「DICOM mini-PACSシステム」はDICOM規格のデータ閲覧、DICOM対応のデータをCDで読み込んだり、ビュワー付きのCDを作成できるシステムだ。機能を限定することで導入コストを抑え、49万8000円という価格を実現した。
フィルムレス運用の注意点とは
日本光電工業は、X線やCTなどの画像検査情報と心電図検査情報などを統合して一元管理する画像情報システム「Dioram」を展示。ハンギングプロトコル機能によって、画面構成はモダリティや部位といった単位や、過去画像比較などのよく使う表示レイアウトに柔軟に変更できる。
同社によると、画像検査情報の電子化によってフィルムレスの運用を進めても、心電図などの検査情報と連携できなければ業務の効率化は難しいという。
地域医療連携のためのPACS
PACS導入によるメリットは、フィルムレスによる省スペース化もさることながら、その情報共有がしやすい点にある。PACSは医療機関同士がネットワークを経由して診断画像を共有して専門医による読影を可能にする「遠隔画像診断」や日本政府が進める「地域医療連携」における重要な基盤となる。ITEMでは、そうしたPACSを利用した連携の取り組みを紹介する企業も参画していた。
遠隔医療を支援する基盤「Viewsend」
ViewSendは、「遠隔医療支援機能付PACSシステム」を展示。同システムは、ネットワーク上で診断画像を送受信して、その情報を医療機関同士で共有することができる。このシステムは、2010年4月から総務省が進めている「ユビキタスタウン構想推進事業」の1つとして全国の23都市における地域医療連携の基盤としての運用が開始されている。
自宅での読影を可能にする画像配信システム
ドクターネットは、柔軟な画像配信によって遠隔画像診断を支援する画像配信システム「Flex view」を展示。同社のPACSシステム「ドクターPACS」のデータを院内や連携医療機関の端末だけでなく、医師の自宅のPC端末からでも読影可能にするシステムだ。
幅広い用途に適応する医用画像モニター
PACS構築において重要な位置を占めるのが「医用画像表示モニター」だ。一般に、X線画像表示用として3Mピクセル以上の解像度を持つモニターが用いられることが多く、特にマンモグラフィなどの高精細な表示が要求される場合は5Mピクセルの解像度が必要となる。その一方で、患者への説明に用いる電子カルテ参照用として1Mピクセルのモニターのニーズもある。しかし、高性能モニターは導入コストが多く掛かることもあるため、用途やコストに見合った最適なモニターを選択する必要がある。ここからは、医用画像モニターを展示していた企業を紹介する。
医用画像の種類に合わせた最適なモニターを提供
ナナオは、電子カルテ画像表示モニター「RadiForce MX」シリーズ、PACS向けモノクロ液晶モニター「RadiForce G」シリーズ、カラー表示モニター「RadiForce R」シリーズ、マンモグラフィ表示モニター「RadiForce G」シリーズなどを展示。1Mピクセルから5Mピクセルまで、取り扱う医用画像の種類に応じた幅広いモニターを選択できる。
また同社は、端末ごとの品質管理を行う品質管理ソフトウェア「RadiCS」およびセンサー「UX1 Sensor」、ネットワーク経由で院内の端末を一括管理し、問題の検知や補正指示が可能な品質管理ソリューション「RadiNET Pro」なども提供している。それにより、時間の経過によるモニターの表示品質の低下を防ぎ、医用画像の品質管理を支援する。
診療所では省スペース化の要望が多い
医用画像のデジタル化に伴い、院内のネットワークを介して電子カルテ画面でも読影リポートなどとともに医用画像を参照できるようになった。
NECディスプレイソリューションズは、診療所向けの電子カルテ表示用モニター「MultiSync HR」シリーズを展示。縦に2つの画面を並べることで省スペース化を図った製品だ。同社によると、診療所の医師の診察用デスクに大きなモニターを設置することが難しく、こうした省スペース製品への要望が多いという。
より原画像に忠実な表示を可能に
多くの医用画像が高性能となったことで、原画像とモニターの解像度差から画像情報の欠落が生じる。東京特殊電線はそうした情報欠落を減少させ、より忠実な表示を実現する液晶モニター「MS」シリーズを展示。MSシリーズは解像度の3倍化技術「ISDテクノロジー」を搭載することで、より原画像に忠実な表示を可能にする。同社によると、こうした製品を活用することでコストを抑えた医用画像表示モニターを導入できるという。
先述したように、診療報酬の加算や遠隔診断を含めた地域連携への活用など、PACS導入がもたらすメリットは大きい。しかし、その構築には導入費用や維持費といったコスト面もある。PACS運用を成功させるために必要なことは何か。TechTargetジャパンでは今後もその動向に関する取材を続けていく。
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