診療所向け電子カルテ製品紹介:富士通
将来の地域医療連携にも対応する電子カルテ「HOPE/EGMAIN-CX」
地域医療連携に向けた政府の新しい取り組みが始まった。その実現の手段として電子カルテが果たす役割は大きく、診療記録の電子化だけではない機能が今後求められることになる。
地域医療連携の基盤となる電子カルテ
日本政府のIT戦略本部は2010年5月、国家のIT戦略である「新情報通信技術戦略」を発表した。この戦略では「国民本位の電子行政の実現」「地域の絆(きずな)の再生」「新市場の創出と国際展開」の3つを重点項目に掲げており、その具体的な取り組みとスケジュール(工程表)が6月に発表された。その中には「2015年までに“シームレスな地域連携医療”を実現すること」が含まれている。
政府が考える地域連携医療とは「情報通信技術を活用した、地域医療支援病院を中心とする地域連携クリティカルパスや、医療・介護などの施設間におけるデータの共用などを可能にする体制」のことを指す。日本政府は今後、内閣官房や厚生労働省、経済産業省、総務省などが連携して具体的な方針を2010年度中に固め、2011年度から「地域連携医療情報ネットワークモデル」の構築に着手するとしている。
診療所における地域連携には、地域の中核病院との紹介状のやりとりや患者の診療情報の共有、検査予約などの連携などが挙げられる。そうした情報連携をスムーズにする手段として、電子カルテが果たす役割は大きい。
富士通のヘルスケアソリューション事業本部 本部長代理 山口智久氏によると「将来の地域連携に備えて、これからの電子カルテでは診療録の電子化だけでなく、ほかの医療機関との情報共有や患者へのインフォームドコンセントのためのコミュニケーションツールとしての機能も求められている」という。その上で、同社が提供する無床診療所向け電子カルテは「地域連携の機能を標準搭載しており、病院診療所間の連携がスムーズである。また、患者への情報提供を容易にする機能を備えた“開かれたカルテ”を実現できる」と説明する。今回は、富士通の無床診療所向け電子カルテシステム「HOPE/EGMAIN-CX」を紹介する。
富士通のシステム構築ノウハウを生かした電子カルテ
富士通は電子カルテが市場に登場し始めた1999年から、大規模病院から診療所までの製品を提供。現在は、大規模病院向け「HOPE/EGMAIN-GX」、中堅病院・有床診療所向け「HOPE/EGMAIN-NX」、無床診療所向けHOPE/EGMAIN-CXなどの電子カルテを提供している。山口氏は「医療機関の規模を問わず、電子カルテを提供している点も強み」と語る。HOPE/EGMAIN-CXは、そうした同社の電子カルテシステムの構築ノウハウを生かし、診療所向けに特化した機能を提供しているという。
HOPE/EGMAIN-CXは、医療事務システム「HOPE/SX-J」と連動するクライアント/サーバ型の電子カルテシステム。診察室・処置室などにHOPE/EGMAIN-CXを、診療所の受付にHOPE/SX-Jをそれぞれ配置して、患者情報や受付情報、診察・会計情報などを送受信して処理を行い、診療所の運営を支援する。HOPE/EGMAIN-CXの主な機能は以下の通り。
| 機能 | 機能詳細 |
|---|---|
| 患者情報管理 | 血縁図作成 経過項目管理 バイタルデータの管理・グラフ化 成長曲線表示 周産期管理 |
| 患者管理 | 受付患者一覧 患者検索 |
| カルテ作成 | 統合入力ツール(所見入力、テンプレート入力、処置・処方・検査などの診療行為入力、病名入力) 処方チェック 点数表示 指示歴表示 処方せん、指示せん、2号紙印刷 診断書・紹介状の作成および印刷 医学辞典参照 |
| レセプトチェック | レセプトチェック機能 チェック結果表示 |
| カルテナビゲータ | カルテ見出し表示機能付き診療歴 マーキング(付せん)機能 |
| 医事会計機能 | ― |
| 検査系業務 | 検査結果参照・時系列表示・グラフ化 検査センター連携(依頼・取り込み) |
| 画像系業務 | 画像時系列表示 |
| 再診予約業務 | 医師別予約、予約票印刷 |
| 紹介情報管理 | 紹介状発信状況表示、返書状況表示 |
| 地域医療連携 | 診療情報提供書作成、処方・検査結果抽出 |
| 往診機能 | データのダウンロード/アップロード(※) |
| カルテ検索 | 条件指定検索 CSVファイル出力 |
| 外部システム連携 | 画像Web参照 透析連携(※) |
| セキュリティ機能 | 利用者認証 指紋認証(※) 帳票出力・操作ログ記録機能 |
統合入力ツールにより診察の効率化を支援する
診療所向けの電子カルテは数多く市場に存在し、類似した機能を持つことも多い。特に、電子カルテの操作性を高めるための工夫がなされている。HOPE/EGMAIN-CXにも、所見の内容やスケッチ、処置・処方などのさまざまな診療行為や病名などのカルテに記載する項目の入力操作を統合した「統合入力ツール」が用意されている。これにより、ツールナビゲータを参照しながら、必要なカルテ入力が容易に行える。
また、HOPE/EGMAIN-CXでは患者情報や過去の診療情報、処方や検査のオーダー情報を画面の左側に集約している。タブを切り替えてさまざまな情報を参照しながら、カルテを作成できる。
さらに利用者自身がより簡単に操作できるような環境設定が可能だ。例えば、メニューボタンやツールバーではよく使う業務の登録やボタンの配置変更ができ、画面全体のフォントや表示サイズを拡大・縮小したりすることもできる。
HOPE/EGMAIN-CXのカルテナビゲータ機能によって、カルテの所見として入力した文字列の一部をカルテ情報として診療日付一覧に表示したり、特徴的な症状や診療行為などに付せんを張るイメージでマーキングすることもできる。さらに処方内容だけを表示するなど、条件に応じた絞り込み検索や表示も可能だ。
そのほかにもHOPE/EGMAIN-CXには、同社の診療所向けの医事会計システムのエンジンが組み込まれており、カルテ入力中に各種自動算定結果の表示やレセプトチェックなどを行うことも可能である。
地域連携や患者とのコミュニケーションツールとしても活用
HOPE/EGMAIN-CXには、富士通の病院向け電子カルテシステムとの連携機能が標準で搭載されており、診療情報提供書や処方内容、検査結果などを電子情報でやりとりできるなど病診連携をスムーズに行うことができる。また、電子的診療情報交換推進事業「SS-MIX」にも対応しており、富士通だけでなくほかのベンダーのシステムとの接続も可能である。
同社は、中核病院同士の連携といった、より広域な連携基盤として「HOPE/地域連携」システムも提供している。山口氏は「地域医療連携のための情報共有を実現するためには、病院・診療所などの各医療機関がセキュリティの高い、安全な接続環境を構築する必要がある。富士通は「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に準拠したサービス(IPsec+IKE)を自社で提供することができる」と説明する。
また、HOPE/EGMAIN-CXは、往診時に必要な患者情報をノートPCから入力・参照したりできる機能も備えている。さらに、外注先の検査センターや院内の画像ファイリングシステムに蓄積されている検査結果などをカルテ画面に表示したり、診療情報をCD媒体に記録して患者に提供できるなど、インフォームドコンセントや患者とのコミュニケーションを円滑にする機能も活用できる。
| 項目 | 詳細情報 |
|---|---|
| システム構成 | サーバ/クライアント HOPE/SX-Jとの最小2台構成から |
| 費用(税込み) | 個別見積もり(販売パートナーによって異なる) |
| 入力方法 | マウス、キーボード、ペンタブレット入力 |
| 保守体制 | 全国180事業所の販売パートナー、70拠点のハード保守サポートを利用できる |
| レセプト機能の有無 | 有り |
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