診療所向け電子カルテ製品紹介:セコム医療システム
いつでもどこでも使えるASP型電子カルテ「セコム・ユビキタス電子カルテ」
市場調査によると「新規開業医の約70%が導入している」という電子カルテ。市場に多数ある中から最適な選択をするためには? 本連載では診療所でも導入しやすい電子カルテを紹介する。今回はセコム医療システムを取り上げる。
導入が進む電子カルテ
医師や歯科医師が患者の診療経過を記入する「カルテ」。医師法・歯科医師法によって、その診療録を5年間保存することが義務付けられたため、従来の紙ベースのカルテを電子化してデータベースなどに記録し、一括保存・管理が可能な「電子カルテシステム」の導入が進んでいる。
市場調査会社のシード・プランニングが2009年8月に発表した「2009年版 電子カルテの市場動向調査」によると、電子カルテ市場の規模は「2013年には病院向けが1070億円、診療所向けが160億円、歯科診療所向けが94億円となり、全体で1324億円に達する」という。また、「新規開業の約70%が電子カルテを導入しているが、未導入の診療所は8万7000件になる」との分析もある。
電子カルテを導入する診療所は、今後確実に増えていくと予想される。しかし、市場には多くの製品が存在するため、「自身の診療スタイルに合致する電子カルテを選択することは難しい」と考えている現場の医師もいることだろう。
本連載では主要なベンダー企業を取材し、その製品概要を紹介していく。今回は、セコム医療システムが提供する電子カルテシステム「セコム・ユビキタス電子カルテ」を紹介する。
いつでもどこでも使えるASP型システム
セコム・ユビキタス電子カルテは、Webブラウザ画面から利用できるASP(Application Service Provider)型のシステムだ(※)。ユーザーは、インターネットや専用回線からセコムの医療情報専用ネットワーク「セコムヘルスケアネット」を通じて、データセンターにアクセスする。レセプト機能と一体型の電子カルテシステムであり、以下の機能を提供する。
(※)ASP:インターネットなどのネットワーク経由でアプリケーションソフトなどの機能を提供するサービス。
| 担当別 | 機能 |
|---|---|
| 医師向け | メディカル・テンプレート シェーマ(図式記載) 定型文・定型単語、コピー機能、追記機能 病名登録(ICD10分類、フリー入力、文字列検索、医師別頻用病名) 予約登録(診療予約、入院予約、検査予約、手術予約) オーダー登録(処方オーダー、検査オーダー、処置オーダー、病理検査オーダー、注射オーダー、画像・生理検査オーダー、食事オーダー、細菌検査オーダー) 手術記録(スケジュール調整、術中記録、手術検索機能、術前記録、術後記録) 文書作成(診療情報提供書、主治医意見書、医師意見書(自立支援)、入院治療計画書、訪問看護指示書、生活習慣病治療計画書、診断書、身体障害者意見書) 検査結果参照(時系列表示、グラフ表示、H/L・正常値範囲表示、結果入力画面) 各種システム連携(PACS画像連携、心電図システム連携、眼科画像ファイリング連携) |
| 医療事務担当者 | 患者基本情報管理、患者保険情報管理、外来受付、予約管理、外来会計、Webレセプト点検 |
| 看護師 | 問診票入力機能、ワークシート、看護指示、実施入力、温度板、食事オーダー |
| 眼科医 | 検査機器接続(眼底カメラ、スペキュラー、視野、視力、眼圧など)、シェーマ入力、手術システム、眼鏡・コンタクト処方 |
セコム・ユビキタス電子カルテの特徴は、ASP型という提供形態にある。セコム医療システム ソリューション部の中嶋 剛氏は、そのメリットを「例えば、診療報酬の改定もセンターサーバ上で対応するため、すぐに新しい改定後のデータを活用できる。また、患者の自宅などの往診先でも、インターネットVPNによってノートPCから簡単に情報を参照できる点にある」と説明する。
従来の電子カルテでは、病院内にクライアント端末とサーバを用意してパッケージソフトウェアを利用する方法が一般的だ。その場合、5年間のリース契約を組むことが多く、リース期間が終了すれば、継続する場合でも切り替える場合でも再投資が必要になる。しかし、「セコム・ユビキタス電子カルテは売切りの商品ではなく、セコムと利用契約を結び、月額利用料金を支払うことで、常に最新のシステムを利用できる。そのため5年後の高額な再投資も必要ない」と中嶋氏は説明する。
また、従来の電子カルテでは院内独自のネットワークを構築することが多い。しかし今後、医療機関間のデータ連携を行う場合は、現在の環境に加えて、セキュリティを担保した安全なネットワークを構成する必要がある。
セコム・ユビキタス電子カルテでは、センターサーバへのアクセスにはUSB認証キーを用いて個人認証を行う。また、院外では電子証明書を利用し、インターネットVPNアクセスによって、セキュリティの高い環境で電子カルテを利用できる。
中嶋氏は「弊社のシステムではセンターサーバ上にある情報を閲覧するので、端末を紛失した場合でもデータが端末内に残らない」とセキュリティ面での優位性を強調する。また「患者の機密情報を扱う電子カルテは、単にコストメリットだけを考えればいいというものではない。どのように利用したいかが重要であり、例えば、電子カルテを院外でも利用する場合は、安全に持ち運べるかを考える必要がある。導入の際にはこうした点も考慮してほしい」とも語る。
セコム・ユビキタス電子カルテでは、先述したセコムヘルスケアネットを利用することで、病院間や診療所などを結ぶ地域医療ネットワークにも対応する。例えば、同一医療法人などである患者の電子カルテ情報を閲覧・共有できるような仕組みを構築できる。
さらに、24時間365日の対応が求められる在宅医療では、昼夜を問わず緊急時の呼び出しに応じる必要がある。場所を問わず、電子カルテの情報をすぐに参照できる体制を築くためにも、ASP型であるこのシステムのメリットが生かせるというのだ。加えて、既存のネットワーク環境を利用して、診療報酬のオンライン請求にも迅速に対応できる。中嶋氏は、こうした拡張性の高さも導入ユーザーが増えている要因の1つだと分析している。
その使いやすい点とは?
他社の電子カルテでは、セキュリティの観点からインターネット回線に接続できないものもある。セコム・ユビキタス電子カルテではインターネットへの接続が可能であり、表計算やワープロソフトなどをインストールした通常のPCを使用することができる。そのため、Webブラウザで閲覧している医薬品の情報をコピー&ペーストして活用することも可能。また、他社の音声認識入力ソフトやペンタブレットとも連携できる。
中嶋氏は「電子カルテは医師が診療を行う際の道具なので、自身が使いやすいように設定できることが重要だ」と説明する。セコム・ユビキタス電子カルテでは、「メディカル・テンプレート」機能によって医師ごとに固有のテンプレートを作成することもできる。さらに、ユーザー自身がテンプレートを作成することも可能だ。セコム医療システムでは稼働開始から3カ月間は重点的なサポートを提供している。
電子カルテは誰のもの?
中嶋氏は「より多くのユーザーの声を聞き、そのニーズに応える“古くならないカルテ”をこれからも提供していきたい」と語る。セコム医療システムでは、月一度の定期リリースによってそうした要望に応えているという。
また、電子カルテ導入のメリットは医療機関だけにとどまらない。セコム・ユビキタス電子カルテでは、公開カルテ機能を標準で装備しており、患者や患者の家族などとの情報共有にも活用できる。さらに、その日の診療行為の内容を患者本人に印刷して提供することも可能だ。中嶋氏は「このシステムは“1患者1IDの運用”が可能であるため、地域医療連携などの患者情報の共有にも役立つ。また今後、カルテの電子化が進むと、その情報をより有効に活用することで日本版EHR(※)構築の実現を支援できる」と語る。
※ EHR:医療情報のネットワーク化、情報の共有を目的とした「生涯医療電子記録」のこと。
災害対策や事業継続性の面でも、院内だけに閉じたネットワーク環境やデータ管理ではその運用が難しくなることもある。データセンターを活用するASP型システムへのニーズは今後ますます高まるだろう。
| 項目 | 詳細情報 |
|---|---|
| 初期導入費用 | 無床診療所(250万円から)、在宅医療機関(220万円から) ※ 有床診療所は別途問い合わせ |
| 入力方法 | キーボード(文字)、ペンタブレット(機器費用は別途)、音声入力(機器費用は別途) |
| 保守体制 | 月~土(9:00~17:00) |
| レセプト機能の有無 | 有(労災、自賠責、介護保険に対応) |
| 標準化対応 | ICD10、厚生労働省標準マスター、XML出力 |
| 納期(標準) | 2カ月~ |
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