VMwareの“インフラ管理ツール”を理解する(前編)
複雑化するvSphere環境を高度に管理 vCenter Serverの上位製品登場
2012年1月にリリースされた、vCenter Serverの上位製品「VMware vCenter Operations Management Suite」を紹介する。vCenter ServerがvSphere環境から収集したメトリクスをより視覚的に見せてくれるのが特徴だ。
ヴイエムウェアのインフラ管理ツールは従来、仮想化プラットフォーム製品「VMware vSphere」(以下、vSphere)の“付属”的な位置付けだった。だが、vSphereが大規模に運用される今、管理ツールの重要性は非常に高まっており、同社もてこ入れを始めた。そこで2回にわたって注目すべきVMwareインフラ管理ツールを取り上げる。前編では、2012年1月にリリースされたばかりのインフラ統合管理スイート「VMware vCenter Operations Management Suite」(以下、vCenter Operations Management Suite)だ。
仮想化、クラウド分野でプラットフォーム製品のみならず、管理製品にも力を入れ始めたヴイエムウェア。2011年10月には、単品提供してきた多くの管理ツールを「インフラ」「アプリケーション」「ITビジネス」の分野に整理して使いやすくした、3つの管理スイートを投入すると発表している。
その第一弾が今回取り上げるvCenter Operations Management Suite。パフォーマンス、キャパシティー、構成管理を基本とする、仮想化、クラウドインフラ向けの統合管理スイートだ。インフラ管理の自動化、効率化に役立つという。
ヴイエムウェアは2011年3月にも同類の製品「VMware vCenter Operations」を発表している。今回のvCenter Operations Management SuiteはvCenter Operationsの機能を磨き、バンドルするツールを増やしたものだ。また、vSphereに必須の管理ツール「VMware vCenter Server」(以下、vCenter Server)の上位アプリケーションの位置付けとなる。vCenter Operations Management Suiteを使えば、vCenter ServerがvSphere環境から収集するメトリクス(指標データ)がよりビジュアルに表現され、活用しやすくなるのだ。
異種の仮想化環境も管理できる最上位版
vCenter Operations Management Suiteには、最大構成で次の5つのvCenterファミリーが含まれる。コアとなるのは、パフォーマンス、キャパシティー、構成管理の基本機能をそなえる「vCenter Operations Manager」だ。さらに、本格的な構成管理ツール「vCenter Configuration Manager」、アプリケーション間の依存関係を可視化する「vCenter Infrastructure Navigator」、コスト管理ツール「vCenter Chargeback Manager」をバンドルする。
おわびと訂正(2012年3月21日17時00分)
【訂正前】
vCenter Operations Management Suiteには、最大構成で次の5つのvCenterファミリーが含まれる。コアとなるのは、パフォーマンス、キャパシティー、構成管理の基本機能をそなえる「vCenter Operations Manager」と、分析に基づく高度なキャパシティー管理を可能にする「vCenter CapacityIQ」だ。
【訂正後】
vCenter Operations Management Suiteには、最大構成で次の5つのvCenterファミリーが含まれる。コアとなるのは、パフォーマンス、キャパシティー、構成管理の基本機能をそなえる「vCenter Operations Manager」だ。
【理由】
vCenter CapacityIQは販売終了のため削除しました。
下図で示す通り、4つのバージョンごとに利用できる機能はかなり異なり、利用目的に応じて使い分けられるだろう。
おわびと訂正(2012年3月21日17時00分)
【訂正前】
4つのバージョンごとに利用できる機能はかなり異なる。各バージョンで管理できる仮想マシン(VM)の上限は決められているが、最下位版でも1500VMと余裕を持って上限が設定されており、利用目的に応じて使い分けられるだろう。
【訂正後】
4つのバージョンごとに利用できる機能はかなり異なり、利用目的に応じて使い分けられるだろう。
【理由】
最下位版の1500VMという上限設定は、現バージョンからなくなったため削除しました。
まず、vCenter Operations Manager単体のStandard版では、パフォーマンス管理、簡易的なキャパシティー管理機能が利用できる。次にAdvanced版では、旧CapacityIQを機能統合したvCenter Operations Managerが提供され、先を見通したプロアクティブなキャパシティー管理までが可能になる。Enterprise版とEnterprise Plus版は、Advanced版の内容に加えて、vCenter Configuration Manager、vCenter Infrastructure Navigator、vCenter Chargeback Managerをバンドルし、一気に機能が増える。
Enterprise版とEnterprise Plus版のメリットは、vCenter Operations ManagerとvCenter Configuration Managerの機能において、サードパーティーの主要な統合運用管理ツールやストレージ管理ツールに専用アダプターを介して接続し、物理サーバやストレージの他、異種の仮想環境も管理できること。例えば、マイクロソフト「Microsoft System Center」を介してHyper-V環境も管理可能だ(※1)。
※1 Enterprise Plus版には標準でアダプターが付いている。一方、Enterprise版はオプションでアダプターを購入可能だ。ただし、VMware製品に接続するためのアダプターは無償で使える(追記:2012年3月21日17時00分)
また、vSphere環境に限定される他のバージョンは“ターンキーソリューション”なのに対し、外部環境と接続するEnterprise Plusではコンサルティング、SIが必要となるだろう。
vCenter Serverとの違いは自動学習型のパフォーマンス分析
vCenter Operations Management Suiteの最大の特徴は、vCenter Operations Managerのビジュアルな構成済みGUIといえる(Enterprise版以降ならGUIのカスタマイズも可能)。vCenter Serverを使っている管理者ならかなり驚くのではないか。
vCenter Serverは膨大な数のメトリクスを収集しており、特に最新のvSphere 5では種類が増えている。ただ、表示されるのは生データのため、経験のある管理者が解釈・判断をしなければならず、十分に生かすのはなかなか難しい。それが同スイートなら要約データをビジュアルに表現する。管理の手間がかなり省けるわけだ。
メイン画面のダッシュボードは、システムの「健全性」「リスク」「効率性」を“総合点”で表示し、それぞれの判断材料となる項目もグラフィカルに示す(下の画像を参照)。管理者はこの画面を見れば、システムの状態とやるべきことがすぐに分かる。
健全性では、CPU、メモリなどのリアルタイムな負荷、異常なメトリクス数の推移、可用性と構成上の問題が示される。リスクの場合、潜在的な問題が起こるまでの時間とキャパシティーの余裕の他、曜日・時間帯別にシステム全体のストレス状態、ストレス過剰な状態にあるホストやVMの数が分かる。つまり、現状から将来にわたる問題を見通し、計画的に対処できるわけだ。
そして効率性では、ムダなvCPU、メモリ、HDDが定量的に明示され、その内訳としてアイドル状態、電源オフ、サイズが過剰なVMの割合も示される。さらに、最適なVM密度と現状との隔たりも分かるのでリソースを最適化しやすくなるだろう。「あるシナリオが発生したらどうなるか」の“What-If分析”も可能だ(Advanced版以降)。
特筆すべきは、監視対象の各コンポーネントの振る舞いを学習、ダイナミックにしきい値を設定した上で、vCenter Serverからメトリクスを取得して要約表示していることだ。加えて、スマートアラート機能によって、障害が顕在化する前にプロアクティブに警告する。人手で個々のメトリクスにしきい値を設定する必要はなく、障害を未然に防げる。一方、ダッシュボード上で異常を示すアイコンや数字を“ドリルダウン”していけば、根本原因を特定できるのだ。
スイート製品ならではの多機能性
パフォーマンス問題は構成変更によって起こることが多いが、vCenter Operations Management Suiteは、vSphereの変更イベントとメトリクス変化を関連付けて表示する。Enterprise Plus版ではVM全体の変更イベントも対象となり、構成変更の自動ロールバック、修正により問題の変更イベントを即座に取り除ける。
さらに、vCenter Configuration ManagerをバンドルするEnterprise版以降では、設定した構成、セキュリティポリシーと実際に抽出した構成情報を比較し、差異を指摘する。そのため、管理者はシステム上のコンプライアンスを維持しやすくなる。Enterprise版はvSphereホスト、Enterprise Plus版はVM全体が対象となる。あらかじめポリシーを設定したテンプレートも提供される。
最近の仮想環境では、複数のVMにまたがるアプリケーション同士が複雑に連携し合う。ただ、一般にインフラ管理とアプリケーション管理は分かれており、この分業体制が問題を引き起こすことが多々ある。その点でvCenter Infrastructure NavigatorをバンドルするEnterprise版以降は、アプリケーションのコンポーネントとバージョン番号を自動的にリストアップし、アプリケーション(VM)間の複雑な依存関係を視覚的にマッピングする。この依存関係を把握しておくことでインフラの管理性も高まる。
同じくvCenter Chargeback ManagerをバンドルするEnterprise版以降では、高度なコスト算出、リポート機能を提供する。パフォーマンスとキャパシティーの最適化とコスト管理を連動できるのがスイート化のメリットだろう。後編で取り上げる「VMware vCloud Director」との連携によって自動課金も可能になる。
このようにvCenter Operations Management Suiteは、仮想化、クラウドインフラを効率的に管理する上で欠かせない機能を網羅する。vCenter Server単体での管理に比べてどれぐらい便利なのか、評価版も提供されているので試してみる価値は十分ある。
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VMwareの“インフラ管理ツール”を理解する
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