VMware vSphere 5特集(後編)
ユーザーが物議を醸す、VMware vSphere 5の新しいライセンス
VMware vSphere 5の新しいライセンス体系を中心に、VMware vSphere 5のVDIとしての可能性や、VMware vSphere 5のハイパーバイザー「VMware ESXi」への移行について紹介する。
前編「VMware vSphere 5の新機能」では、VMware vSphere 5の主な変更点や新機能を紹介した。後編では、VMware vSphere 5のライセンスモデルと、VDI専用の別バージョン「VMware vSphere Desktop」、VMware vSphere 5のハイパーバイザーについて議論する。
VMware vSphere 5のライセンスモデル
米VMwareは、購入したエディションおよび物理CPUの数に応じて、起動中のVMに対して割り当て可能なメモリの量を制限するという条件をVMware vSphere 5で導入した。この新しいライセンスモデルに対してユーザーは当初、強い不満を表明した。今でも多くのユーザーが自分たちにどんな影響があるのか探りあぐねているのが実情だ。別の記事(VMware vSphere 5 licensing demystified)では、新ライセンスモデルに対するユーザーの対処方法も紹介している。
VMware vSphereのライセンスに関する記事
VMwareの価格変更で高くなるクラウドのコスト
VMwareが発表したVMware vSphere 5の新しい価格設定が物議を醸している。今回の変更では、プールしたメモリもライセンス対象となる。これは一部のユーザーにとってはライセンスの簡素化になるが、大量のワークロードを処理する強力なサーバを使っているIT部門などではコストアップになる可能性もある。こういった制約は、VMwareのクラウドプラットフォームの普及を妨げ、ユーザーが他社のハイパーバイザーによる仮想化を採用するという事態を招くかもしれない。
VMware vSphere 5のライセンス方式:VMwareは他の選択肢も検討したようだが……
VMware vSphereの新ライセンス方式では、仮想メモリのプールという考え方が採用された。だが同社は、プロセッサのサイズやホスト上の物理メモリの量などに基づくライセンスなど、他の選択肢も検討したようだ。
VMware vSphere 5のライセンス方式をめぐる混乱は収まったが問題は残る
ユーザーおよびVMwareのパートナー各社は、落ち着いて考えれば、ほとんどのIT部門にとってVMware vSphere 5のライセンス方式はコストアップを招くものではないという認識に至ったようだ。VMwareも、95%の顧客にとってコストは変わらないとしている。とはいえ、それは全く問題がないことを意味するわけではない。
VMware vSphere 5のライセンスコストを節約するには
VMwareによると、VMware vSphere 5のライセンス方式は、従量課金型コンピューティングへのトレンドを反映したものであり、大多数のIT部門は新方式で悪影響を受けることはないという。いずれにせよ、1つだけ確実にいえるのは、あらゆるユーザーが自分に割り当てられた仮想メモリの量を気にしなければならなくなるということだ。VMware利用企業はライセンスコストの削減方法を模索する必要がありそうだ。
スケールアップ vs. スケールアウト
VMware vSphere 5は、延々と続いているスケールアップかスケールアウトかという論争に新たな切り口を与えるものとなりそうだ。同製品のライセンスでは、メモリがCPUソケットに結び付けられているため、IT部門は少数の強力なサーバを購入するか、メモリ量が少ない多数のサーバを購入するかを決断しなければならない。どちらのアプローチにも一長一短があり、また隠れたコストにも目を向ける必要がある。
VMware vSphere 5のライセンスモデルの変更を希望するユーザーも
VMware vSphere 5のライセンスモデルを多くのユーザーが歓迎しているわけではない。ソケットに縛られないバージョンをVMwareは用意すべきだと考えるユーザーもいれば、全てのライセンスレベルで割り当て量を増やしてもらいたいと考えているユーザーもいる。どのような形であれ、VMwareに何らかの変更を求めているという点は共通している。
VDI用としてのVMware vSphere 5
VMware vSphere 5のライセンスモデルは、必ずしも仮想デスクトップインフラ(VDI)に適しているとはいえない。このためVMwareはVDI専用の別バージョンとして「VMware vSphere Desktop」をリリースした。
VMwareのVDI戦略は低価格と新しいVMware vSphere Desktop
VMwareの新しいライセンスモデルは、VMware vSphereを利用する多くのVDI運用企業にショックを与えた。ライセンスモデルの発表の翌日、同社はVDI用に仕立てたVMware vSphere 5バージョンとしてVMware vSphere Desktopをリリースした。VMware vSphere Desktopではライセンス方式も異なり、VMwareのVDI戦略をめぐる不安は多少解消されると思われる。
VMware vSphere Desktopを使うべきか
「VMware vSphere Desktopは、VDI用に他のVMware vSphere 5エディションを使用するよりも安くつくかもしれないが、既存のユーザーの場合はコスト面で不満が残るかもしれない」──ブライアン・マッデン氏はvSphere Desktopのコスト分析でそう指摘する。
VMware ESXiのみを用意
VMware vSphere 5には、VMwareが当初から提供してきたVMware ESXハイパーバイザーは含まれない。このため管理者はVMware ESXiへの移行準備を始める必要がある。VMware ESXiの管理には、リモートスクリプティングインタフェースであるVMware vSphere CLI(vCLI)を使用する必要がある。VMware ESXiでは、多くの管理者が慣れ親しんだLinuxベースのESX管理コンソールが使われないからだ。管理者はvSphere PowerCLIおよびVMwareのスクリプトとコマンドを復習する必要がありそうだ。
VMware vSphere PowerCLI──VMware管理者のためのPowerShellトレーニング
VMware vSphere PowerCLIを使うには、ワークステーションにWindows PowerShellをインストールする必要がある。PowerCLIは、VMware vSphereのAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)を通じてPowerShellと通信する。幾つかの基本的なPowerCLIスクリプト(VMの起動やVMストレージの検索用のスクリプトなど)をマスターしてしまえば、自分でコードを作成できるようになる。
VMware vSphere PowerCLIスクリプト
VMware vSphere PowerCLIでは、コマンドレット、実行形式ファイル、スクリプトなどが用意されている。VMware vSphere PowerCLIスクリプトを任意の時間に実行するよう設定することも可能で、これによって浮いた時間を他の作業に振り向けることができる。例えば、仮想インフラの利用状況の日報を管理者にメールするリポート作成スクリプトなども可能だ。誰がいつVMを作成したのかを検出し、仮想スイッチのポート数を調べて、Microsoft Wordにレポートを書き出すといった機能もスクリプトで実現できる。5つの便利なスクリプトをこちら(Five must-have vSphere PowerCLI scripts)にまとめた。
VMware ESXiコマンド
VMware ESXiコマンドは、パフォーマンスリポートやVMware ESX/ESXiホストへのパッチ適用など、数多くの機能を実現できる。vmkfstoolsコマンドでは、仮想ディスクファイルのコピー、変換、リネーム、インポート/エクスポート、リサイズなどが行える。esxtopコマンドは、CPU、メモリ、ディスク、ネットワークの利用状況のリアルタイムデータおよび履歴情報で検出されたパフォーマンス問題を診断する。Storage vMotionを起動し、ホストからストレージ装置への経路を表示するコマンドもある。
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