SMB向けストレージ製品紹介:QNAP Systems
定期的なファームウェア更新で継続運用を可能にするSMB向け「QNAP TurboNAS」
台湾QNAP Systemsが提供する「QNAP TurboNAS」は、予算や目的に応じてHDDを組み合わせて搭載でき、各種サーバ機能も利用可能なNAS製品だ。
コストを掛けずに信頼性の高いNASを選びたい
QNAP Systems(以下、QNAP)は、NVR(Network Video Recorder)を活用した監視システムや家庭用ビデオや音楽などのメディアプレーヤーを開発する台湾の企業だ。2004年にNAS(Network Attached Storage)製品の販売を開始し、主に米国や欧州で展開してきた。日本には2009年に進出しており、国内ではテックウインドなどが正規代理店として製品を販売している。
テックウインド 営業本部 プロダクトマーケティング部 部長の木村 昇氏は「日本市場の参入当初はコンシューマー/SOHO向け製品が中心だったが、各種ソフトウェアの機能を豊富に搭載している点が企業向けとしても注目されるようになった。QNAPは台湾で組み込み向けマザーボードなどを製造するICPGroupであり、信頼性の高いコンポーネントでハードウェアを開発することで評価を得ている」と語る。
QNAPは2009年にIntel Xeonプロセッサーを採用したラックマウント型製品をリリースするなど、中堅・中小企業(SMB)から大企業の部門クラスまでをターゲットにした製品を市場に投入している。
テックウインド 営業本部 プロダクトマーケティング プロダクトマネージャーの野嵜太郎氏は、「SMBが初めてNAS製品を購入しようと考える際、コストは掛けたくないが信頼性の高い製品を選びたいと考える。その条件を満たす製品として、QNAP製品が最初に候補に上がるケースが増えている」と話す。
幅広いモデルを提供
QNAP TurboNASシリーズは、コンシューマー向けから中堅企業向けまでNAS製品の幅広いラインアップがある。企業向けとしてはタワー型「TS-x79Pro」「TS-x69Pro」「TS-x69L」の3シリーズと、ラックマウント型「TS-ECx79-RP」「TS-x79U-RP」「TS-x69U-RP」の3シリーズを提供している。この「x」はHDDの内蔵数を表している。
TS-x69ProとTS-x69Lでは「Intel Atom」を、TS-x79Proでは「Intel Core i3-2120」を採用。また、TS-x69LはTS-x69Proには設置されている前面の液晶表示パネルがなく、TS-x69Proの廉価版という位置付けだ。TS-x69Lは「TS-269L」(HDD2台内蔵)から「TS-669L」(同6台内蔵)まで、TS-x69Proは「TS-269Pro」から「TS-1069Pro」までの種類がある。
QNAPがマルチタスクやデータアクセスが集中する環境などでもパフォーマンスを発揮できる製品として挙げているのが、タワー型最上位シリーズのTS-x79Proだ。TS-x79Proは「TS-879Pro」「TS-1079Pro」の2機種がある。拡張インタフェースが設定されており、標準のギガビットイーサネット(GbE)2基に加えて、10GbEカードも追加可能だ。
ラックマウント型シリーズは、「Intel Xeon」と誤り検出・訂正機能を持つECCメモリを搭載するTS-ECx79U-RPと、通常のメモリを搭載するTS-x79U-RP(Intel Core i3)、TS-x69U-RP(Intel Atom)の違いがある。
予算や目的に応じてHDDを選択
QNAP TurboNASシリーズでは基本的にHDDは別売りで、別途調達して予算や目的に応じて組み入れる。また、ホットスペアでボリューム容量の拡張が可能だ。例えば、NASを稼働させたままボリューム容量を拡張できる「オンラインRAID容量拡張」や、RAIDレベルの移行する「オンラインRAIDマイグレーション」などの運用が可能だ(関連記事:時代遅れのRAID認識を改めよう)。最新のHDDを柔軟に選択できるのは企業にとってメリットは多いだろう。「テックウインドはHDDも販売しているので、QNAP NASにあらかじめ組み込んだ状態で出荷することも可能」(野嵜氏)
また、QNAP TurboNASシリーズではソフトウェアチューニングを細かく実施することでNASに求められている高いパフォーマンスを実現できる。OSに独自のLinuxを採用し、ファームウェアを定期的にアップデートすることで動作改善や機能追加を継続的に行っている。そのため、長期間活用しても技術が陳腐化せず使い続けられ、トータルコストも削減できるというわけだ。
QNAP TurboNASシリーズは、2010年に行ったファームウェアのアップデートでiSCSIに対応し、ブロックストレージも扱えるようになった。また、VMware vSphereやCitrix XenServer、Microsoft Hyper-Vなど各種仮想化ベンダーの認証を取得し、サーバ仮想環境におけるIP-SANとして利用できる。さらに、Mac OSにも対応し、OS X以降のTimeMachine BackUpも可能だ。
加えて、iSCSI LUN(論理ユニット番号)単位のリモートバックアップやスナップショット、rsyncによるリアルタイムリモートレプリケーションなどが可能だ。その他、USBによるDASへのバックアップ、Amazon S3やElephantDrive、Symformなどのクラウドストレージへのバックアップといった多様なバックアップ手法をサポートしている。
各種サーバ機能も利用可能
価格の目安としては、タワー型モデル「TS-469Pro」で8万円台。ラックマウント型の最上位機種「TS-EC1679U-RP」は50万円台となる(いずれもHDD別売り)。野嵜氏は「ブロックストレージを扱えるNASとしては、導入コストを抑えられる。テスト環境や開発環境の仮想化ストレージとして活用されるケースが多い」という。また、各種のソフトウェアの導入や削除、依存関係を管理するパッケージ管理システム「ipkg」(Itsy Package Management System)を応用した「QPKG」によって、Linux上で多くのソフトウェアパッケージが稼働できるように設計されている。
QNAP TurboNASは、ファイルサーバやWebサーバ、FTPサーバ、バックアップサーバ、動画配信サーバなどの機能を搭載している。SMBを中心に大企業の部門単位での導入や大学、放送局、研究機関などで幅広く利用されている。NVRの技術を応用してIPカメラを利用したネットワークビデオレコーダーとしても利用可能。飲食店や倉庫の監視端末として利用する例も多いという。
継続的なサポートがユーザーに支持されている
QNAPのセールス&マーケティング プロダクトマネージャー 葉 玲希氏は、「定期的なファームウェア更新を行うことで、ハードウェアに依存することなく機能を追加できる。また、導入後も継続的にサポートする姿勢がユーザーに支持されている」と話す。木村氏は「製品の貸し出しを行った多くの企業から高度な管理機能を提供している点が高い評価を受けている」という。ネットワークやサーバの専門知識は不要で、SMBのIT管理者でもNASに必要なユーザー/フォルダ設定などを簡単に実施できる。
QNAP TurboNASでは、Windows Active Directory(AD)またはLDAPディレクトリサービスを有効化することで、管理者はAD/LDAPベースのディレクトリサーバからアカウントを取り出し、ユーザーをグループ化して一元管理したり、共有フォルダの中のサブフォルダに対してQNAP Turbo NASへのアクセス権を容易に割り当てられる。アクセス権制御については、Windows ACL(アクセス制御リスト)機能が多数のユーザーに対して共有フォルダ権限設定を容易に提供するため、管理者の負担は少ない。また、QNAP NAS本体のハードウェア障害時に交換を行うサービス「デリバリー保守サービス」に加えて、訪問修理を行うオンサイト保守サービスを2012年8月から開始している(最大5年間の保守期間をオプションで提供している)。
QNAPの目的はNASの市場に多様な選択肢を提供すること
QNAPはスケールアップ性能を強化した製品を開発中で、128Tバイトまで拡張可能なラックマウント型NASを2013年前半にリリースする計画だ。また、SAS HDD対応モデルのリリースも予定している。イェ氏は「QNAPの目的は、ユーザーに多様な選択肢を与えること。今後もコンシューマーやSMBのニーズに合わせて最適なNAS製品を提供していきたい」と語った。
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