SMB向けNASシステムの選択肢が拡大(後編)
加速する中堅・中小企業のNAS導入 その最大の要因は
中堅・中小企業の間でNASの導入が加速している。その理由は機能の充実や容量、価格面だけでなく、企業が求めているストレージ要件に合致し始めた点にあるようだ。
前回の「中堅・中小企業向けNAS市場が活況化した理由」に引き続き、市場が活況を呈してきた中堅・中小企業(SMB)向けNAS(Network Attached Storage)の魅力に迫る。
ReadyNASシステムを導入した銀行
米CheckSpring銀行で技術運用担当副社長を務めるジョシュア・ガルシア氏の場合、機種選択の決め手となったのは価格だった。同氏は既存の「EMC CLARiiON」が容量の限界と使用寿命に近づいたために、NASマシンの購入に向けて選定作業を開始した。最初に候補に上った製品は価格が高くて予算内に収まらなかったため、他の選択肢を検討することにしたという。「そのときに知ったのが米NetGearの『ReadyNAS 3200』(以下、ReadyNAS)だった。価格が半分なのに必要な機能を全て備えていたので、すぐに購入を承認できた。妥協したのは、読み書き速度がやや劣るという部分だけだった」と同氏は話す。
ガルシア氏によると、NASユニット1台分として想定していた価格とほぼ同じ費用で2台のNetGear製品を購入でき、1台は本社に、もう1台はディザスタリカバリサイトに配備したという。
価格という魅力に加え、ReadyNASはマルチプロトコルのサポート、内蔵バックアップ機能、「Active Directory」との連係など、ガルシア氏が必要とする機能を備えていた。「ReadyNASは、日常的な環境で利用するFTPなど全ての標準プロトコルに加え、当社でまだ使ったことがないプロトコルもサポートしている」と同氏は語る。「NetGearがReadyNAS Replicateをリリースしたことも、大きなプラスとなった。ディザスタリカバリをめぐる問題の多くがこれで解決されたからだ」
「当社は主にWindowsシステムを利用しているが、仮想マシン用にはLinuxが最も適していると考えている。ReadyNASでは両方の環境に対応できた。VMwareのストレージにはNFSの共有機能を使い、当社の共有ドライブにはCIFSを使っている」と同氏は説明する。NFSデータストアは高可用性を実現するため、仮想インスタンスがダウンしてもすぐに復元できるという(関連記事:データセンターのディザスタリカバリで仮想化が果たす役割)。
同銀行が導入したReadyNAS 3200に弱点があるとすれば、それは利用が激しい環境での読み書き速度が遅いことだ。「12前後の仮想マシンインスタンスを運用しているので、そろそろアップグレードする必要がある」とガルシア氏は話す。同氏によると、1年間は満足できる状態で運用できたが、現行製品よりも8~10倍高速な「ReadyNAS 4200」にアップグレードしたいと考えているという。「現行システムでも導入予定のシステムでも、容量の増加には容易に対応できる。ストレージを新たに追加すれば、自動的に再構成してくれるからだ」と同氏は話す。
「現在、3台のReadyNASデバイスを社内に配備しているが、さらに追加するつもりだ」(ガルシア氏)
NASシステムの広範な機能
多くのユーザーにとってNASシステムは広範な役割を果たす。米Renal Careでシステム管理主任を務めるダービン・マルーゲン氏は、既存のSAN(Storage Area Network)を補完するためにNASソリューションを採用した。同氏は数カ月前、米QuantumのNAS製品「DXi6520」を採用した。「ダラスの本社とペンシルベニア州キャンプヒルのリモートオフィスでバックアップ用として使っている他、バックアップデータをディザスタリカバリサイトに複製するのにも利用している」と同氏は語る。こういった基本タスクに加え、NASシステムは一部のユーザーにファイルストレージ機能を提供している。「EMCのSANシステムを新たに購入する計画だが、それまでの間、このNASシステムがストレージのクッションの役割を果たしてくれる」と同氏は付け加える。
マルーゲン氏によると、容量と価格だけでなく、使いやすいインタフェースと設定の容易さにも驚いたという。「導入初日から運用を始めることができた」と同氏は話す。
一方、カリフォルニア州のベンチュラ統一学区(訳注:地域行政組織)に勤務するテッド・マロス氏は、NASの配備規模を拡大した経験について語る。同学区で管理する30カ所の拠点は1万8000人の生徒にサービスを提供しており、これらの拠点は光ファイバー回線で結ばれている。同組織は2005年、米Kinko'sの元本社ビルを同学区用の2つのデータセンター用として購入した。「同じビルの中にある2つのサイトの空調設備、防火設備、電源は互いに別系統になっている」とマロス氏は説明する。
同学区は現在、100台の物理サーバ上で合計160サーバを運用している。光ファイバーによる高速通信が可能なので各学校の建物には物理サーバがほとんど配備されておらず、全てのシステムが光ファイバーを通じてデータセンターにつながれている。
以前、ある学校でRAIDの障害が原因でほぼ全てのデータが失われたことが、マロス氏がSANを採用するきっかけとなったのだが、GridstoreのNAS技術を利用すれば、複数の場所に分散した多数のディスクをNASシステムの一部にできることも同氏は知った(関連記事:「RAID後」の世界──ワイドストライピング/イレージャーコーディング)。
このアプローチは、非常に低いコストで驚異的な冗長性を実現するように思えたという。「SANをバックアップする手段が必要だと考えていたが、すぐに導入できる手段がGridstoreのNAS製品だったというわけだ」と同氏は話す。
マロス氏はさらに、追加ストレージのコストも低くなると期待している。寄贈されたPCをNASシステムに組み込むことができるからだ。「GridstoreのNASを利用すれば、オンラインストレージのメリットを享受でき、しかもSANの速度低下を招く心配がない」と同氏は付け加える。
Storage Switzerlandのアナリスト、ジョージ・クランプ氏によると、SMB市場が面白くなってきたという。電子メールなど多数の重要な業務システムでSaaS(Software as a Service)機能を採用する一方で、クラウドに置きたくないデータ用に豊富な容量のローカルストレージを用意する企業が増えてきたからだ。SMB向けNASの普及を促しているもう1つの要因が、巨大なCADファイルやビデオデータを持っている企業でストレージ要求が急速に増大していることだ(関連記事:ゼタバイト時代の企業ストレージ環境とは)。
「こうしたニーズに訴求するのが、データ量の急増に対応できるGridstoreのNAS製品だ。Data RoboticsのDroboも同様の魅力を持っている」とクランプ氏は語る。
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