臨床現場でのタブレット端末活用が拡大
2013年の医療ITはiPad対応電子カルテとBYODセキュリティ対策に注目
2012年は医療の現場でタブレット端末の採用が急拡大した。その傾向は2013年も続くのだろうか。米国の医療従事者150人への調査結果を基に、2013年の医療ITを占う。
米医療ITベンダーCDW Healthcareの販売担当責任者ジョナサン・カール氏によれば、2012年に医療の現場でタブレット端末の採用が急拡大したことから判断すると、2013年には「診療の現場でより頻繁にタブレット端末が使われることになりそうだ」という。ただし、その用途は必ずしも患者のカルテとは限らないようだ。
CDWが最近150人の医療従事者を対象に行った調査では、タブレット端末を用いた電子カルテ(EHR)の閲覧や編集、データ入力などは、まだ一般的ではないことが明らかとなった。iPad対応電子カルテのメリットをベンダー各社が宣伝しているにもかかわらずだ。カール氏によれば、医療従事者は基本的な業務アプリケーションへのアクセスにタブレット端末を使用しており、EHRシステムを利用するにしても用途の大半は臨床データの閲覧だという。
「医療従事者は患者との間では、主に教育や情報提供のためのツールとしてタブレット端末を使い、自分用にはメールやWebサイトの閲覧、ファイルストレージなどを主に使っている」とカール氏は言う。
この他、調査からは以下のことも明らかになった。
- 回答者の59%は「タブレット端末の所有者は雇用主ではなく自分」と答えている
- 医療従事者の中には、「コラボレーションの促進とワークフローの改善につながる」との理由から、業務にタブレット端末を使えることを喜んでいる者もいる。ただし、多くの医療従事者が気に入っているのは、「タブレット端末を使えば、どこにいても情報を閲覧できる」というところだ。ノートPCやデスクトップワークステーションでは、そうはいかない
- タブレット端末の他に使用している端末としては、回答者の66%が「デスクトップ端末」を挙げ、57%が「ノートPC」、45%が「スマートフォン」を挙げている。「もっぱらタブレット端末で仕事をしている」と答えた回答者は1%にとどまった
- 回答者は、タブレット端末を1日に平均2.4時間使っており、そのおかげで、1日に1.2時間分の生産性向上を実現できている
こうした種々雑多な端末の中で、スマートフォンはどのように位置付けられているのだろうか。CDWのデータによれば、スマートフォンとタブレット端末の用途はほとんど重複していないようだ。スマートフォンは通常、ナースコールや緊急通報など、ワークフロー内の特定のタスクに使われる。一方、タブレット端末は画像やテキストデータの閲覧の他、他の医療従事者との間で意見や助言を交わしたり、薬に関する質問やフォローアップにも使われている。
「タッチスクリーンタブレットのような軽量タブレット端末は単なるインタフェースであり、まだ診療そのものにはそれほど多用されていない。それよりも、教育向けに使われている」とカール氏は言う。
今回の調査結果や、現場での顧客との会話の内容から判断して、カール氏は2013年にはタブレット端末の使用が拡大すると予想している。同氏によれば、米連邦政府が定めた「Meaningful Use」(医療ITの有意義な利用)プログラムの存在が診療現場でのEHRの使用を促すことが予想される。さらに、タブレット端末の使用は効率改善にもつながるという。例えば、データにアクセスするためにワークステーションに戻る手間を省けるといった具合だ。ただし同氏は、タブレット端末でのデータ入力はそれほど進まないと考えている。EHRシステムはまだ、タブレット端末で便利に使いこなせるレベルには達していないからだ。
「医療従事者はまだ、タブレット端末をより効率的に使う方法を学んでいるところだ。全米のCIOやITディレクターから話を聞いたところでは、『タブレット端末を締め出すわけにはいかない。それならば、タブレット端末をもっと便利に活用できる方法を見つけるしかない』というのが、大方の考えのようだ。実際にタブレット端末の使用を認めると同時に、より効率的に活用するためのクリエイティブな方法も徐々に編み出されつつある」とカール氏は言う。
プライバシーポリシーやセキュリティの問題が解消されてBYOD(私物端末の業務利用)環境がより実行しやすいものとなり、インタフェースが改善されていくにつれ、タブレット端末は診療ワークフローのより深部に入り込んでいくはずだ。いったんそうなれば、臨床現場に「タブレット端末活用の新たな波」が押し寄せることになるだろう、とカール氏は予想する(関連記事:病院でのiPad利用で求められる9つのセキュリティ対策)。
Meaningful Useプログラムのステージ2には、放射線画像の共有に関する要件が含まれていることから、医療供給者が今後、タブレット端末専用のビュワーアプリを使って、レントゲン写真やCTスキャン、MRIなどの画像を患者に見せるようになり、タブレット端末の使用が拡大するとも予想されている。
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