ITの課題別にメリットを解説
基礎から知る、初めてのデスクトップ仮想化
サーバとストレージの仮想化は導入済みだが、デスクトップ仮想化は考えていなかったという人へ。デスクトップ仮想化に詳しいDell Wyseのジェフ・マクノート氏が、デスクトップ仮想化の基礎知識を簡単に説明する。
近年、サーバやストレージの仮想化が進んでいるが、デスクトップ仮想化には二の足を踏んでいる企業が多い。先行投資や実装、パフォーマンスおよびセキュリティ上のリスクなどが懸念材料となっているからだ。しかし、実際にデスクトップ仮想化を取り入れた企業は、セキュリティ保護の強化、メンテナンスコストの削減、柔軟性、生産性の向上など、長期的なメリットを享受している例が多い。
デスクトップ仮想化は、幾つかの重要な点でサーバやストレージの仮想化とは異なる。サーバの仮想化では、1台の物理サーバ内で複数のコンピューティング機能を利用できるよう分割している。ストレージの仮想化は、複数のストレージサービスから物理ストレージをプーリングする。デスクトップ仮想化の場合、複数のユーザーが1台のデスクトップを使用するわけではない。デスクトップ仮想化とは、PCのHDDの中身をサーバに移すことだ。サーバがデスクトップをホストすることで、クライアントPC、タブレット、スマートフォンなどさまざまなデバイスから、場所や時間を問わず、自分のコンテンツにアクセスできるようになる。
アプリケーションおよびデータをローカルのデスクトップではなくサーバ側に一元的に格納できるので、セキュリティの強化およびメンテナンス効率の向上にも貢献する。
デスクトップ仮想化で選択する3つのクライアントデバイス
エンドユーザーはデスクトップ仮想化において、一連のクライアントデバイスから自分に合ったものを利用することができる。基本的には、仮想デスクトップ環境向けに最適化された3種類のクライアントから選択することになる。
エンドユーザーはデスクトップ仮想化において、一連のクライアントデバイスから自分に合ったものを利用することができる。基本的には、仮想デスクトップ環境に最適化された3種類のクライアントから選択することになる。
1つ目は仮想PC方式に対応した従来のシンクライアントで、キーボード、マウス、モニターに接続されているステートレスデバイスだ。ディスクは搭載されていない。シンクライアントの場合、処理はサーバ上で行われるため、サーバへの安定した常時接続が必要となる。
2つ目は、Windowsをストリーミングする「OSストリーミング方式」に対応した「クラウドPC」である(内蔵ストレージはない)。OSおよびアプリケーションをローカルで実行することによって、小規模なデータセンターであってもPCエクスペリエンスの提供を可能にする。ローカル、リモート、支店にとって理想的なパフォーマンス、イメージ管理、セキュリティを提供する。
3つ目はデスクトップ仮想化(仮想PC方式)で使うことを前提に専用OSを搭載し、汎用PCのあらゆる機能を最低限まで削減した「ゼロクライアント」と呼ばれるクライアントだ。デスクトップ仮想化に機能を最適化し、ほぼ全ての処理をサーバ側で実行する仕組みとすることで、優れたユーザーエクスペリエンス、セキュリティ、バックエンドサポートを提供する。
デスクトップ仮想化導入のメリット
基本的な説明を終えたところで、今度は、組織が直面する問題に照らしながらデスクトップ仮想化の主なメリットを見ていこう。
Windowsの移行
通常、Windows XPからWindows 7/8へ移行する際には、全てのデスクトップを個別に構成する必要がある。つまり、全ての従業員にとって長時間のダウンタイムが発生するか、あるいはコストの掛かる新しいクライアントデバイスが必要になるということだ。
こうした状況にならないためにはデスクトップ仮想化が有効だ。データセンター側に各従業員のデスクトップ環境を配備することで、短時間で各従業員がWindows 7/8環境を利用できるようになる。
パフォーマンスの向上
デスクトップ仮想化の導入に合わせて、新しいクライアントデバイスの導入も検討したい。最新のコンピューティングテクノロジーが組み込まれているクライアントデバイスは、コンパクトかつパフォーマンスが犠牲になることがない。特に、クアッドコアプロセッサを搭載するシンクライアントを使用すれば、従来のデスクトップの消費電力が100ワット以上あるのに対し、20ワット以下に抑えられる。
セキュリティの必要性
金融、政府、医療、教育、小売りなどの業界では全て、個人情報の保護が必要だ。デスクトップ仮想化によって、個人情報をさまざまなクライアントデバイスに分散するのではなく、データセンターで一元的にデータ保管できるため、セキュリティの管理が容易になる。
個人所有機器の持ち込み(BYOD)
多くの企業がBYODへの対応を求められている。BYODの厄介な問題の1つは、企業データが個人の所有機器からアクセスされ、保存されることにある。デスクトップ仮想化では、アプリやデータが個人のクライアントPC、タブレットまたはスマートフォンに表示されるだけで、データはデバイスに残らない。
全てを企業内データセンターに移行
アプリケーションやコンテンツだけでなく、クライアントデバイス管理と仮想デスクトップテクノロジーも企業内データセンターに移すことができる。デスクトップエクスペリエンス全体を「サービスとして」提供できる。
デスクトップ仮想化は、導入までに十分な考慮を要するが、企業のステークホルダーに多くのメリットをもたらす。デスクトップ仮想化によってIT部門は時間のかかる管理作業から解放され、セキュリティ上の懸念も軽減されるため、メンテナンスよりもビジネス価値を高めることに集中することができる。エンドユーザーは、自分で選んだクライアントデバイスを用いて、どこからでも自分のデスクトップに接続できるため、業務の生産性および柔軟性を向上させることができるだろう。
ジェフ・マクノート(Jeff McNaught)
Dell Wyse マーケティングおよび戦略最高責任者兼顧客対応責任者
ITT、Netexpress、TandyおよびCromemcoに勤務した後、1987年にWyseへ加わる。クラウドクライアントコンピューティング、グリーンIT、デスクトップ仮想化およびクラウドコンピューティングの活動に携わる。企業向けに生産・販売されたシンクライアントWyseシンクライアントの共同開発者。ペパーダイン大学MBA取得。
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