「危険な個人向けサービス」払拭を狙う
知られていないDropboxとBoxの進化、ビジネス向け機能を次々に投入
米Boxと米Dropboxが、相次いで企業向け機能の強化を発表している。個人での利用から人気の高まるクラウドストレージサービスだが、企業での導入が今後の成長のカギを握る。
米Boxと米Dropboxの両社は最近、企業向けクラウドストレージサービスの強化に乗り出している。この動きは、クラウドのファイル共有/ストレージ製品が安全性に欠ける個人向けプラットフォームだと考えるIT担当者の見方を変える可能性がある。
相次ぐクラウドストレージの企業向け機能強化
Boxは11月中旬、法律分野に特化したテクノロジーエコシステムを発表した。新たに22のモバイルおよびWeb法律プラットフォームと提携し、時間管理や請求処理、訴訟手続きと事案の管理、法廷情報管理などのアプリケーションを提供する。
同社はこれまでにも、教育や医療、金融など、業界特化型のプラットフォームをリリースしており、今回の機能強化もそれに続くものである。
Boxの競合企業となるDropboxも、企業利用の促進を狙い「Dropbox for Business」を刷新した。ビジネス向けでは、1000Gバイトの初期ストレージ容量、ファイルの復元とバージョン管理、256ビットAES暗号化、リモートワイプ、2段階の検証などの機能が利用できる。
今回は新たに単一のデバイスで、ビジネス用と個人用のDropboxアカウントを切り替える機能が提供される。ビジネス向けDropboxの年間使用料は795ドルで、14日間の無料トライアル版が利用できる。
Dropboxのセキュリティに対する認識は変わるのか
Dropboxが企業向けツールとして苦戦してきた主な原因は、セキュリティに対する懸念だ。
個人向けDropboxの業務利用は、IT担当者にとって悪夢のようなシナリオだと考えられていた。しかし、ビジネス向けDropboxには、企業で必要な管理ツールが複数導入されているようだ。
「Dropboxは、IT担当者が抱くイメージを払拭する必要があった。これらのツールは、Dropboxが正しい方向に進む上で重要な一歩だ」と米シアトルのエンタープライズモビリティコンサルティング会社Paladorのモバイルアナリスト、ベンジャミン・ロビンス氏は話す。
ロビンス氏は次のように述べた。「IT担当者が好むかどうかに関わらず、BoxとDropboxは、企業内の至るところで使われている。実際のところ、IT担当者の多くは、Dropboxのことを良く思っていないだろう。これは、古くからある“指揮統制”という考え方に起因する感情だ」
「企業は、セキュリティやアプリケーション、BYOD(私物端末の業務利用)などで、(公私の)混合状況を容認している。Dropboxの個人/企業向けアカウントの切り替え機能は、現状にマッチしている」とロビンス氏は話す。
米マサチューセッツ州ミルフォードの調査会社、Enterprise Strategy Groupのアナリスト、クリスティン・カオ氏は次のように述べる。「ビジネス向けDropboxに追加された新機能のうち、最も重要なのは個人用Dropboxアカウントとの統合である。しかしながら、Dropboxは依然として、同社最大のユーザー基盤である個人ユーザーに焦点を合わせているのが実情だ」
カオ氏は次のように続ける。「Dropboxは企業向けITツールのレベルには達していない。IT担当者が望むセキュリティや監査機能が提供されるようになるまでには、まだ時間がかかるだろう」
Boxが法律分野向けのサービスを強化
カナダ・トロントに拠点を置くConstellation Researchで副社長兼主席アナリストを務めるアラン・リポフスキー氏は「Boxの新たな法律分野向けサービスには2つの重要な要素がある」と話す。
1つ目の要素は、Boxが法律コミュニティーのために作ったエコシステムは、コラボレーション、ファイル共有、エンタープライズクラウドアプリケーションの統合スイートの領域において、他を圧倒していることだ。「使用しているツールに組み込まれるため、ユーザーがBoxを意識する必要はない」とリポフスキー氏は付け加える。
2つ目の要素は、米American Bar Association(ABA)との提携を含む、Boxの市場参入戦略だ。Boxは同社のサービスがABAの優待プログラムの1つに選ばれたとしている。ABA会員は、Boxに登録すると50Gバイトの無料ストレージを利用できる。
「これは非常に賢明な戦略であり、ABA会員をBoxユーザーとして囲い込むことに見事に成功した」とリポフスキー氏は述べている。
オハイオ州デイトンを拠点とした法律事務所を経営するチャド・バートン氏は、オハイオ州、ノースカロライナ州、ワシントンD.C.の弁護士と共にバーチャルオフィスを採用している。2011年にはBoxに移行し、法律実務管理サービス「Clio」との統合を「より包括的な書類管理の手法だ」と喜んだ。
ペーパーレスの訴訟手続きを追及しているバートン氏は次のように述べる。「モビリティの観点で、これは重要だ。Boxは、われわれの組織の基盤であり、Boxのおかげで今の経営方法を実現できている」
以前、同氏の事務所では、Dropboxを使用していた。しかし、事務所の状況に合わせてうまくサービスの拡張ができなかった。また、セキュリティにも懸念があり、機密保持が重要な弁護士という専門職では許容できないものだったという。
「現在、Boxで提供されているサービスに関しては、不安を覚えることはない」とバートン氏は話す。
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