機能とセキュリティの両面で比較
Dropbox対Google Drive、企業に適したファイル共有サービスは?
自社が採用すべきはDropboxかGoogle Driveか。それぞれ企業で利用した場合のメリットとデメリットを比較した。
エンドユーザーに提供するストレージ容量を増やしたい場合、あるいはクラウドファイル共有を活用したい場合、特定のサービスを標準とすることについて考える必要がある。
クラウド分野で有力なストレージプロバイダーの座を狙う事業者は何十社とある。中でも筆頭の2社が米Dropboxと米Googleだ。自社が採用すべきはDropboxかGoogle Driveか。これを検討するには、それぞれを企業で利用した場合のメリットとデメリットを比較検討することになる。
Dropboxは当初から筆頭の座にあり、今では1億ユーザーが毎日10億のファイルを保存する。料金はストレージ容量18Gバイトまで無料で、最大500Gバイトまで利用できる手頃な価格の有料オプションがある。「Dropbox Pro」と「Dropbox for Teams」のアカウントではさらに大容量のストレージを利用でき、IT管理者向けのコントロールオプションもある。文書はバージョンの管理ができ、ファイルやフォルダを簡単に共有できるオプションもある。
一方、Google Driveは比較的新規の参入だが、単なるファイル共有サービスではなく、かつて「Google Docs」と呼ばれていたサービスを取り込んでいる。SaaS(Software as a Service)型業務アプリケーションとGmailを統合することで、Googleはファイルの保存と共有、コラボレーションが可能な行き届いたサービスを提供している。ストレージ料金は5Gバイトまでが無料で、有料オプションではアカウント当たり最大で16Tバイトまで利用できる。共有は、特にユーザーがGmailに連絡先を設定している場合は非常に簡単だ。ユーザーは、Google+の共有の仕組みと同様のドロップダウンメニューで、オーナー権限(「自分がオーナー」または「自分がオーナーではないアイテム」)、共同編集者、表示方法などを設定できる。
問題は、Googleのプラットフォームが一方通行になりかねないことだ。もしもユーザーがMicrosoft Officeを使っていて、ファイルをそのままの形で保存しておきたい場合、Google Docsを利用しない手もある。Google DocsはWordとExcel形式のファイルをインポートできるが、Docsで編集したものを元の形式に戻すことはできない。従業員がDocsとOfficeの間を行き来して、互換性のないフォントとMicrosoft Officeスイートの複雑なスタイルに対処しようとし、頭を抱えることにもなりかねない。
半面、もしも使いやすさを追求するならば、Docsのストレージは優れた選択肢になるかもしれない。Googleは同社の製品全体を通じた統合を強化し続けている。Google Driveを使えばGmailで10Gバイトのファイルを添付でき、Google Driveから直接Webサイトへのコンテンツ掲載もできる。
Dropboxの競争上の強みであるファイル共有は、ファイルをローカルで実行するアプリケーションと関連付けている多くのユーザーにとって、依然として大きな魅力だ。Dropboxはサードパーティーとの十分な互換性を維持しており、それが多くのWebアプリやモバイルアプリ向けストレージユーティリティとしての人気につながっている。「Dropbox Folder Sync」などのブラウザアドオン、WebサイトからファイルをアップロードするWebフロントエンド「JotForm」、そして「FileStork」で簡単にファイルをリクエストできる機能などは、Dropboxの使いやすいAPIの実例だ。
Googleにサードパーティーのオプションが欠如しているわけではない。しかしAPIはChromeウェブストアが配信するWebアプリ向けのものしか存在しない。SlideRocketなどの人気WebアプリでもGoogle Driveの利用は可能だが、連係は特定の使用事例に限られる。
両サービスともブラウザ経由のWebアクセスを提供し、クライアントも充実している。WindowsとMac向けのデスクトップクライアントはユーザーのファイルシステムに直結し、ローカルのHDDとの間でファイルを同期できる。また、両方とも使いやすいモバイルアプリがある。Google DriveはAndroidとAppleのiOS(iPhoneとiPadの特定バージョン)に対応。DropboxはAndroid、iOSおよびBlackBerryに対応している。Google Driveはファイルをローカルに置いてオフラインでも利用でき、Dropboxは携帯端末から写真を自動的にアップロードできる機能を提供している。
DropboxとGoogle Driveのセキュリティ対策比較
どのようなクラウドサービスであれ、セキュリティは大きな懸念材料だ。ファイルサービスが不正侵入の経路になることもある。Dropboxは過去に攻撃の被害に遭っている。最も特筆すべき事件として、2011年にDropboxの変更が原因で、全てのアカウントがどんなパスワードでもアクセスできる状態になった。この状態は4時間続き、比較的対処は早かったものの、これが発端となり、セキュリティ暗号鍵を顧客ではなくDropboxが持っている事実が発覚した。
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さらに、何者かがDropboxの従業員のアカウントを乗っ取り、ユーザーの電子メールアドレス一覧を入手したこともあった。それ以外のDropboxアカウントは不正侵入を受けなかったが、メールアドレスが流出したユーザーは迷惑メールの被害に遭った。Dropboxは全ユーザーのパスワードをリセットし、新たに2要素認証を採用にした。このサービスは2012年8月に開始され、ユーザーはパスワードに加えて、メールで送信されたコードを入力する必要がある。メールオプションの代わりに、制限時間のあるワンタイムパスワードの生成ツールを利用できるオプションもある。これはGoogle Authenticatorや、Amazon Web ServicesのMulti-Factor Authentication(AWS MFA)と同様のコード生成ツールとなる。
Google Driveについては、これまでに不正侵入の報告はない。しかしGoogle Driveで利用するGoogleアカウントは、従業員がGmailやGoogle+などのGoogleサービスで使っている可能性が高く、従ってGoogle Driveはハッキングの標的になりやすい。Gmailのアカウントは、ユーザーが脆弱なパスワードを使ったり、メールアカウントに関連付けたサイトで同じパスワードを使い回したりすることから、ハッキングに遭いやすい。Google Driveのユーザーは、Google Authenticatorの2要素認証を利用することもできる。
両社とも、法人向けのバージョンを提供している。Googleの「Google Apps for Business」はGoogle Driveの全機能を網羅しながら、チーム内での文書共有やコラボレーションを容易にするため、同じドメインの電子メールを利用できる。Dropboxにはチーム向けの「Dropbox for Teams」があり、Active Directoryの統合、リンクのアクセス制御、端末のセキュリティ管理などを通じてコントロールを強化できる。
両サービスとも強みがあるが、強みを持つ機能は異なる。Google DocsやGmail、ChromeやAndroidなどを利用するGoogleのヘビーユーザーであれば、ファイル共有サービスもGoogle Driveが有力候補になるだろう。一方、さまざまなコンピュータが混在する環境で、数多くのローカルアプリケーションを使用中で、一方通行のGoogle Docsに依存することを望まない場合、Dropboxの方が適しているだろう。いずれにしても、自社の選んだサービスが提供するセキュリティ対策は、全て講じておくことを忘れてはいけない。
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