Googleも支持、期待の先にあるものとは
大注目の仮想化ソフト「Docker」に乗り遅れないために
Googleをはじめとした多くの企業や多数の開発者に支持され、急成長を遂げている「Docker」が、本格的に企業利用を推し進めるべく商用サービスをリリースした。
米Dockerは、それほど目新しくないテクノロジーをクラウドに結び付ける方法を見つけ、2014年6月9日(米国時間)、エンタープライズ市場に狙いを定め、コンテナ型仮想化ソフトウェアのリリースを発表した。
サンフランシスコで創業した新興企業のDockerは、現在、エンタープライズ市場に対して真剣にアピールする準備をしつつ、商用レベルのソフトウェアとそのサポートを提供している。社名と同じ製品「Docker」がオープンソースソフトウェア(OSS)として初めてリリースされたのは2013年3月。同社は、米Googleを含む多くの業界リーダーがDockerを採用し、支持していることも明らかにした。
Dockerは、間違いなく近年で最も急成長しているIT企業である、と複数の業界関係者は言う。Dockerの幹部は自分たちの会社が急激に伸びることなど期待していなかった。だが、アプリケーションの開発からテストを経て出荷するまで、さらには出荷後のデータセンターやクラウド、さまざまなユーザーのデバイス上でも、一貫した環境を守り続ける製品が広く求められる現実に巻き込まれることとなった。
シリコンバレーの外に出ると、ほとんどの顧客はDockerのコンテナをまだ本稼働させていないが、手厚いサポートやトレーニング、サービスに引かれて、Dockerのコンテナ技術を採用する企業が出てくるかもしれない。
「正しい方向への一歩だ」と、米コンサルティング会社Cloud Technology Partnersの副社長、デビッド・リンシカム氏は述べ、次のように続けた。「Dockerには、開発者コミュニティーだけでなく、巨大で精力的なクラウド事業者も大きな関心を寄せている」
Dockerが提供する無償のパブリックリポジトリでは、他の開発者との共同作業が可能だ。有償の場合は、5つのプライベートリポジトリで月額7ドルから。さらに増やすこともできる。同社は、企業向けサポートの料金を最終決定していないが、オンコールのサポートを含む定額制や、Dockerエンジンが配備されるホストインスタンスの数に応じた料金設定も計画している。
Dockerは(今回の発表から)1カ月半をめどに、サポート料金を発表する予定だ。
Dockerコンテナの人気
Dockerは短期間のうちに高い知名度を得ることができた、と米IT調査会社Neoviseのアナリスト、ポール・バーンズ氏は言う。
「解決策が待たれていた問題が残っていた。本当に難しいのは、特にアプリケーションのライフサイクル全体を通じて、異なるシステム上でも一貫性を維持して動作させることだ」(バーンズ氏)
主要なクラウド業者とLinux販売業者の多くがDockerを支持しているおかげで、Dockerの早期採用は順調に始まっている。Dockerによると、OSS版は275万回以上ダウンロードされ、コントリビューターは450人以上(その内95%はDockerの社員ではない)、さらにDocker対応(Dockerized)アプリの数は1万4000本に上るという。Dockerは、Googleの他、米Amazon Web Services(AWS)、米Red Hat、英Canonical、米IBM、米Rackspace、OpenStack、Cloud Foundryとも協力している。
こうした支持や支援は全て、Dockerが今後、事業者がサービスを提供したり、クラウドベンダーがイメージを作成したりする際の標準として扱われることにつながる、とバーンズ氏は言う。
「Dockerは(開発者や運用スタッフが)多くの作業を行う必要なく、間違いなくIT業界に浸透するように作られている」(バーンズ氏)
DockerはLinux OSに依存しない。MacとWindowsのユーザーもDockerを実行できる。ただし、既存のインフラに小さなLinuxカーネルをインストールする必要がある。
GoogleがDockerを支持
Docker支持を表明した最も新しいIT業界の巨人が、Googleだ。
Googleは2014年6月10日(米国時間)、「Google App Engine」でのDockerイメージのサポートを含め、Dockerに関連した幾つかの取り組みを開始し、「Kubernetes」と呼ばれるオープンソースのコンテナ管理ツールを公開した。
「Dockerはオープンソースコミュニティーに非常に強力に貢献しているとGoogleは考えている。そのためGoogleはDockerのイメージがアプリケーションを手頃な価格でパッケージ化する最良の方法となるように協力している」と、Googleのプロダクトマネジャーで、Dockerを担当するクレイグ・マクラッキー氏は述べた。
Googleは、製品のパッケージ化と実行については、長い間コンテナに依存しており、毎週20億を超えるコンテナインスタンスを立ち上げている。Googleはコンテナの一部をDockerに置き換えることはしないが、Dockerの技術サポートに役立てるためにGoogleが持つ知識を共有するという。
クラウドも、Dockerの採用スピードの速さに重要な役割を果たしている。なぜなら、IT企業はスピードとスケーラビリティを重視しながらも、アプリケーションの移植性の方が重要であることを理解しているからだ。今後、企業がさまざまなニーズを満たすために複数の異なるクラウド事業者を利用するようになった際、クラウドの将来における自分たちの役割は、異種環境への対応であることもDockerの幹部は理解している。
Dockerへの過剰な期待の先にあるもの
Dockerへの関心の波は続いているが、過剰な期待は勢いの持続にはつながらない、とバーンズ氏は言う。
「OpenStackは、過剰に寄せられた期待の全てに必ずしも十分に応えていない。こうした心配は、過熱騒ぎが起こるたびに感じる」(バーンズ氏)
前出Cloud Technology Partnersのリンシカム氏は言う。「ガバナンスとセキュリティもまだ不十分だ。企業での使用に耐え得るハイエンドで高性能なコンテナシステムであるとの確証はまだない」。同氏は、企業がDockerの製品を自社のIT戦略に完全に取り入れる前に、1、2年はテスト期間を置くとみている。
「バージョン1.0のテクノロジーが何のエラーもなく世の中に出るなどあり得ない。そんなことを信じれば、自分にうそをつくことになる」(リンシカム氏)
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