アプリのクラッシュデータ送信が悪用
「Windowsエラー報告」でPC情報が流出 まさかの展開に防御策は?
Windowsエラー報告のクラッシュデータは、攻撃者によって標的型攻撃に悪用される可能性があることが明らかになった。ユーザーになすすべはあるのか。
Windowsのクラッシュデータ報告が標的型攻撃に利用できることが発覚した今、グループポリシーで緩和対策を実装することに意味はあるだろうか?
ソフトウェアベンダーの多くは、自社のプログラムが機能を停止した場合、クラッシュデータを収集する機能を組み込んでいる。初期のWindowsは、プログラムがクラッシュするとしばしば“死のブルースクリーン(BSOD: Blue Screen of Death)”で停止してしまったものだが、今はほとんどのアプリケーションがそうした状況をもっと効果的に処理するようになっている。大抵、何らかの問題が生じたことをユーザーに伝えた後、アプリケーションは再起動する。
外部送信される情報とは?
将来のバージョンで類似の問題を根絶するため、プログラムの中にはクラッシュデータの詳細をベンダーに報告するオプションを用意しているものも少なくない。そうした詳細はクラッシュ時に動作環境の情報とともに取り込まれ、テクニカルサポートスタッフがプログラムエラーを診断するときに役立てられる。
米MicrosoftのWindowsエラー報告(WER)は、「ワトソン博士」(Dr. Watson)と呼ばれるアプリケーションデバッガを利用している。これはWindowsのデフォルト機能の1つだ。
米Websenseのセキュリティ情報分析機関、Websense Security Labsによると、Microsoft製品だけでなく、実は驚くほど多くのアプリケーションが、非常にセンシティブなこの情報を暗号化もせずクリアテキスト(平文)で転送しているという。
転送しているものには、マシンの型式やBIOSバージョン、ID、インストールされたアプリケーションなどの情報も含まれている。こうしたデータは、ハッカーがターゲットとするマシンに侵入可能な脆弱性を見つけて新たなゼロデイ攻撃を仕掛けるときに、悪用される危険性がある。
では、攻撃者はいつ、どのようにして、こうした情報を手に入れるのだろうか。
独誌Der Spiegelによると、「TAO」(Tailored Access Operations)と呼ばれる米国家安全保障局(NSA)のハッカー精鋭部隊が、インターネットのトラフィックからWindowsクラッシュデータを入手するために、NSAの「XKeyscore」というスパイツールを使っているという。悪意を持ったハッカーたちが今後そうした手法を模倣することは、火を見るよりも明らかだ。
クラッシュ報告は、ベンダーが自社製品の安定性やセキュリティを改善していく上で重要な役割を果たす。だからといって、ユーザーのシステムをリスクに晒すべきではない。企業はグループポリシー経由の自動クラッシュ報告をオフにした方がよいと考える。クラッシュ報告を送れば、ベンダーのソフトウェアの修正、改善に役立つかもしれないが、基本的には自由形式のアプリケーションテストにすぎないのだ。
クラッシュデータを暗号化しないことは、しばしばアプリケーションのテレメトリー(遠隔測定)になぞらえられる。極めて愚かで危険な慣習であることは間違いない。たとえデータを転送前に暗号化しても、貴重な帯域幅を消費するだけであり、アプリケーションの再起動を遅くするだろう。また、データがベンダーに転送された後、それがどのように処理され、どの程度の安全性が保証されるかは、知るすべもない。
インターネットやアプリケーションを改善するために情報を共有することは、もちろん重要だ。だがそれが、ネットワークやユーザーにとって大きな脅威になるのであれば、話は別である。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣 -
製品資料
[サイボウズ株式会社] AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
4
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
5
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
-
6
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
7
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
8
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
9
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
10
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー