3台に1台はコンピュータ処理をしていない“ゾンビ”
会社を食いつくす“ゾンビサーバ”の恐怖、AOLは1万5000台を撤去(2/2 ページ)
AOLサーバ撤去プロジェクトの成功と課題
AOLのプロジェクトによって同社のデータセンター占有面積が変化し、莫大な経費削減につながった。そう語るのは、Uptime Instituteのコンテンツ/出版部門のディレクターを務めるマット・スタンズベリー氏だ。
「サーバを撤去する動機付けは十分にあった」(スタンズベリー氏)
AOLのIT担当者は各事業部門に特定アプリケーションの必要性の有無、つまりそうしたアプリケーションの使用を止められるかどうかを尋ねた。IT責任者からの標準的な返事は「必要と見なされないアプリケーションの使用は停止する」というものだった。
「このように強制的な働き掛けを行わなければ現状維持が求められるだけだ」(ラプレイン氏)
AOLには20~25%のCPU稼働率を達成するという目標がある。同氏によると、現在の稼働率は12%だという。
これは標準的な数値だ。米McKinsey and Companyは同社の報告書の中で、企業のデータセンターの標準的なサーバのCPU稼働率は、平年では最大コンピュータ処理量の5~15%だと記している。
ラプレイン氏はIT担当者に対して、従業員が必要だと主張していることを評価するのではなく、サーバの稼働率を計測することを推奨している。
「現在は感情ではなくデータに基づいて決断を下せるようになっている」(ラプレイン氏)
AOLではデータセンターの閉鎖とサーバの撤去は、「ブラックボックス化および一元管理されたIT」から「テクノロジービジネスマネジメント(TBM)」に移行する3カ年計画の一環として行われている。そして、TBMによって全事業部門に対してITコストの透明化を図っている。
データセンター運用担当者は長いことPUEを重視してきたとスタンズベリー氏は言う。だがUptime Instituteは10年近く前からサーバの稼働率を向上させることを推奨している。サーバが放置される理由には、さまざまなものがあるだろう。だが、Uptime Instituteは企業にそうしたゾンビサーバの使用を中止するように呼びかけている。
注目度は低いものの他にもサーバ撤去による影響はある。例えば、ある大手医療プロバイダーは、データセンターからゾンビサーバを撤去するプロジェクトに着手し、総額8000万ドルのデータセンター建設を免れた。
Uptime Institute主催のServer Roundupコンテストの一環として、特大サイズのロデオベルトバックルがフォーチュン500社のCEOに授与されるという創造性に対する表彰が行われ、ゾンビサーバ撤去によるコスト削減額を試算するオンライン計算機も作成されている。このような状況により、データセンターからゾンビサーバを撤去するメリットへの関心は高まるばかりだ。
ただし、ゾンビサーバを撤去した後も戦いは終わらないとラプレイン氏は言う。今後サーバを購入する際には妥当性を示すことが重要になる。購入を正当化することで、余計な経費を削減し、企業の人的資源の活用も促進できる。
AOLのプロジェクトは、サーバ稼働率の測定と評価を担当する「稼働率の専門家」の誕生にもつながった。稼働率の専門家は、サーバの必要性について継続的に疑問を投げかけ、サーバの撤去に取り組み続けていく。
AOLはサーバ稼働率を追跡する構成管理データベース(CMDB)も利用している。ラプレイン氏はサーバに関する判断を下すためにCMDBのデータを継続利用することを考えている。
ここに至るまでに最も困難だったのは各事業部門との継続的なやりとりだ。
「これが机上の空論ではないことを説明するのが難しかった」とラプレイン氏は振り返る。IT担当者は、このプロジェクトが単なる空言ではないことと、最終的な期限を2014年末に設定していることを明確にし続ける必要があったと同氏は付け加えた。
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