コツはステップ・バイ・ステップ
企業のクラウド移行は“じわり”と進めたほうがいい(2/2 ページ)
ワークロードの要件もクラウドサービスの移行計画に影響する。
休暇シーズンに合わせた消費者向けのセールや毎月の給与処理といった、リソースの使用負荷が定期的にピークに達して、すぐ元の状態に戻るアプリケーションは、パブリッククラウドサービスに移行する候補として適切だろう。このようなアプリケーションをクラウドに移行すると、待機状態になることが多いハードウェアを購入するのではなく、企業は必要なときにだけ追加の容量を購入できる。
他に移行できる候補として、企業がワークロードの設定と設定解除を繰り返し行うアプリケーション開発やテストが挙げられる。クラウドに移行すると、構成情報を全て手動で入力する負担を軽減できる。RightScaleの調査では、テスト環境と開発環境を、最も一般的なクラウドシステムの用途(85%)としてランク付けしている。
企業によるIT関連投資が増えるにつれて、ストレージの容量も大幅に増える。IDCでは、2015年に生成するデータ量が7.2Zバイトであるとし、2020年には40Zバイトを超えると予測している(1Zバイトは、1兆Gバイトに相当する)。
かつてないほどの急激なリソースの使用ピークが訪れた場合にどうすればよいだろうか。ストレージの容量が拡大するということは、データセンターで利用できるリソースの容量を増やす必要があることを意味する。ストレージ容量の増大とシステムで必要になる追加の床面積を考えれば、パブリッククラウドは魅力的な代替案となる。
ビジネスプロセスをクラウドに適用する
経営上の問題もクラウドの移行計画に影響する。変更は困難で、ソフトとハードのコストが掛かる。企業は既存のビジネスプロセスの調査と多くの場合は変更に時間をかけることを余儀なくされる。また、新しいシステムの管理方法を従業員に教育する必要もある。
パブリッククラウドについて、企業は法務部門とIT部門の助言に基づいてサービスレベルの契約を作成する。従業員がデータセンターにおけるシステムの稼働方法に満足しているという理由だけで、企業はクラウドに移行することなく、データセンターのシステムの運用を継続する可能性もある。
監視と管理
IT部門がクラウドコンピューティングを多少なりとも採用したら、データセンターでシステムパフォーマンスを管理するのと同じように、クラウドでシステムパフォーマンスを管理するためのツールが必要になる。従来のベンダーが提供しているCA Technologiesの「CA Unified Infrastructure Management」などのツールを使用すると、ユーザーはパブリッククラウドサービスを監視できる。例えば、Amazonの「Amazon Web Services」やSalesForceのサービスだ。クラウドベンダーもツールを提供しており、Rackspaceの「Cloud Monitoring」を使用して、実際にサードパーティー製のソリューションを監視できる。多くの新興企業も市場に参入している。2008年に設立したAppDynamicsは、パフォーマンス管理ソリューションの開発を行うために10億ドル以上の資金を調達している。
問題はあるものの、企業はクラウドを採用している。2015年にはクラウドITインフラ(サーバ、ストレージ、イーサネットスイッチ)への合計投資額が3340億ドルに達するとIDCは予測している。一方、クラウド以外のITインフラに対する投資額は、横ばいの670億ドルを維持すると予測している。
企業がクラウドへの道を歩むにつれて、選択肢の幅は際限なく増えていくことを実感するだろう。「今後4~5年以内に、開発者コミュニティーの数は3倍、新しいクラウドベースのソリューションの数は10倍になるとIDCは予測している」と同社で上級副社長と主任アナリストを兼任するフランク・ジェンス氏は述べる。
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