Windows「Nano Server」とはここが違う
未来のOSは超軽量でさくさく、注目集める「ユニカーネル」を使うには?
「ユニカーネル」では、OSをコンパクトにして無駄を省くことで、アプリケーションのパフォーマンスとセキュリティが向上することを目的としている。だが、この新技術が全てのアプリケーションに適しているわけではない。
OSをコンパクトにする「ユニカーネル」とは、特定のOS機能をアプリケーションの中に直接コンパイルする手法だ。コンピューティングリソースの節約、パフォーマンスの向上、セキュリティの改善といったメリットを提供する。
標準的なエンタープライズクラスのOSは非常に巨大で膨大な機能を組み込んでいるが、実際のアプリケーションが必要とするのは、これらの機能のごく一部にすぎない。使わない機能は貴重なコンピューティングリソースを消費するが、こうした無駄をなくせば、仮想マシン(VM)を追加して、“浮いた”リソースを有効に活用できるはずだ。
従来型のOSは、ユーザーインタフェースの提供、システムを構成するハードウェアの検出と調整、ハードウェアによるアプリケーションの起動とサポートといった機能を備える。これらのコンポーネントはDLL(Dynamic Link Library)および各種ドライバと連係して、アプリケーションがリソースを消費する前に、大量のシステムメモリ、CPUの動作クロックおよびストレージ領域を必要とする複雑なOSプラットフォームを構築する。仮想化環境では、各VMが個々のOSインスタンスとともに動作するため、必要とするリソースが大幅に増加する。
「Windows Server 2016」で用意する「Nano Server」バージョンのような軽量型OSは、インストールする機能を大幅に削減している。具体的には、グラフィカルユーザーインタフェース、32ビット互換性、「Windowsインストーラ」のサポートなどのエレメントを省略した。
ユニカーネルのコンセプトもOSをコンパクトにするが、コンパクトにするためのアプローチは、Nano Serverのような軽量型OSと異なる。開発者はアプリケーションの動作に必要なユニカーネルコンポーネントをアプリケーションと共にコンパイルする。ユニカーネルライブラリはアプリケーションの要求と直接合致し、余分な機能は備えない。
データセンターにおける未来のOS
Windows 2016 Nano Serverなどの従来型OSと比べた場合、ユニカーネルOSのアドバンテージとして、動作に必要なリソースの減少、パフォーマンスの向上、柔軟な動作環境、セキュリティの改善などが挙げられる。
ユニカーネルは必要最小限のリソースしか使用しないため、データセンターのリソースを解放して、同じITインフラ上でより多くのVMとワークロードをホスティングできる。「ClickOS」などのユニカーネルOSの場合、標準的なVMに必要なメモリは約5Mバイトと少なく、これに対してWindows Server 2016は最低でも512Mバイトのメモリを必要とする。ユニカーネルのシステムメモリ要求は、アプリケーションとともにコンパイルするユニカーネルライブラリの数によって異なる。
OSに割り当てるリソースが少なくて済むことでアプリケーションのパフォーマンスも向上する可能性がある。そもそも、コンパクトで軽いOSは、従来型OSのフル機能版と比べて起動時間がはるかに短い。ユニカーネルの開発を進めているThe Xen ProjectのMirage OSでは、ユニカーネルOSは起動時間を1秒以内に短縮できる可能性があるという。OSの軽量化により、VMの移行やデータ保護といったプロセスにかかる時間も短縮できる。
ユニカーネルで動作するアプリケーションは基本的に、VM上あるいはベースとなる物理ハードウェア上に固定イメージを作成する。これは、仮想化したデータセンター環境や物理データセンター環境だけでなく、両者が混在するハイブリッドデータセンターの柔軟な運用にも対応する。
ユニカーネルはセキュリティ面でもメリットがある。OSのエレメントが少ないので攻撃対象が少なくなるのに加え、ライブラリコンポーネントをアプリケーションとともにコンパイルすることで、アプリケーションとOSコンポーネントのどちらも内部を変更できない固定イメージが作成できる。これはアップデートとパッチ適用に対応することが当然だった従来型のOSと根本的に異なる。
ユニカーネル、ハイパーバイザー、仮想化
標準的なVMでは、完全なOSおよび独立したアプリケーションが動作するのに対し、ユニカーネルでは、ハイパーバイザー上に置いたVM内で、非常にコンパクトで軽いOSとアプリケーションが動作する。だが、ユニカーネルがハイパーバイザーに依存する部分はこれだけではない。
通常はOSが提供する機能の一部をハイパーバイザーに依存することが多い。ユニカーネルベースのVM配備では通常、ベースとなる「VMware ESXi」「Microsoft Hyper-V」「Xen」「KVM」などのハイパーバイザーのサービスを利用する。
ユニカーネルはコンテナと異なるが、ユニカーネルの特徴はコンテナベースの仮想化と類似している。コンテナでは、全てのアプリケーションが共通のOSカーネルを共有する。ユニカーネルの場合、データセンターは個々のOSをホスティングする小型のVMを多数配備することにより、各VMを素早く起動できるというメリットがある。ユニカーネルはいずれ、マイクロサービス型アプリケーションの配備方式として有力な選択肢になる可能性がある。
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