「Microsoft Azure」の仮想マシンが最大の改善幅
2015年の主要クラウド稼働率調査――トップはAWS、最下位は?(2/2 ページ)
クラウドの可用性を高めるには
AWSの稼働率向上策
それでもクラウドベンダーは混乱を回避するためにはどんな苦労も惜しまない。AWSが2015年10月に開催した年次イベント「re:Invent」では、設計の改善やエネルギー利用の効率化など、クラウドの稼働率を向上させるためにAWSがどれだけのことをしているのかについて、同社インフラ担当副社長のジェリー・ハンター氏が熱く語った。同社はサービス停止の可能性を極力減らすべく、独自のサーバやネットワーク機器、データセンター機器を開発したり、自動化を強化して人的エラーの削減と信頼性の向上を図ったりもしているという。
AWSのデータセンターには専用のネットワークが用意され、各データセンターからは物理的に分離された2本の光ファイバーパスが外部へと伸びている。さらにAWSは独自のインターネットバックボーンを構築し、Webパフォーマンスと監視機能の強化を図っている。
「親会社であるAmazonの配送センターからインプットを得て、ハードウェア供給網を強化することで、潜在的な法的責任を低減し、戦略的優位性へと変えた。業務プロセスとワークフローの改善方法も学んだ」とハンター氏は語る。
調査会社IDCのアナリスト、メラニー・ポージー氏によれば、数年前はベンダーごとにかなりのバラツキがあったが、今では主要クラウドはどこもプロセスの工業化と自動化を果たし、ベンダー間の差は縮まっているという。顧客もプライマリのデータセンターで障害が発生した場合に備え、ユーザーやプロセスを別のリージョンにリダイレクトできるよう、冗長性を強化している。
顧客の知識も豊富に
AWSを使用するIT担当者は、ダウンタイムに対する自衛策についての知識が徐々に豊富になっているだけでなく、可用性を理由にクラウドを非難する人たちには取り合わないようになっている。
例えば、2015年9月にAWSで大規模障害が発生した後、最も厄介だったのは、この障害を「クラウドコンピューティングが本質的にオンプレミスよりもリスクが高いこと」の証拠ととらえた人たちの声だったという。あるユーザーは、高速道路で起きたたった1件の事故を根拠に「高速道路は概して一般道よりも危険」と結論付けるようなものだと指摘する。
「サービスがダウンすれば不便だし、メディアからも注目される。それにもかかわらず、クラウドサービスを使うのを止めようと思うほどにAWSのダウンタイムにへきえきしている企業顧客や一般ユーザーはなかなか見つからないだろう」。AWSの専門家で米TechTargetの寄稿者であるジェフ・カプラン氏は2015年9月の障害の直後にそう述べている。
Gartnerのヒルゲンドルフ氏は、先を見越した対策として、自然災害やどこか1つリージョンがダウンした場合に備え、できれば複数のアベイラビリティゾーンと複数のリージョンを利用することを奨励している。さらに一歩踏み込むのであれば、カスケード型のソフトウェアバグや証明書の期限切れなどに対処できるよう複数のベンダーを利用するのが最善の策だという。
「要は、サービスを利用できないという可能性が低い事態に備えるために、どれだけのコストを負担するつもりがあるかということだ」とヒルゲンドルフ氏は語る。
もっと受け身の対策としては、AWSのモニタリングサービス「CloudWatch」などを使って管理と監視を実行するという方法もある。ただし、この方法が役に立つのはクラウドサービスが停止した場合というより、特定のアプリケーションが停止した場合だ。
「サービスの停止について顧客から聞く話の大半は、『アプリケーションが変になった。何か設定を間違えたのだろう』や『開発者が設定を変更してからというもの、全ておかしくなってしまった』といったものだ」とヒルゲンドルフ氏は語る。
さらにAWSの「AWS CloudTrail」のようなログ記録機能を使えば、API呼び出しや各種の変更を記録し、障害の根本原因を解析できる。
「クラウドサービスはいつダウンしてもおかしくない。だが今やユーザーには各種のツールが豊富に用意されている。となると、多くの場合、責任は恐らく顧客にある」とヒルゲンドルフ氏は語る。
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