身代金を支払ってもデータは回復しない
偽ランサムウェアまで登場、仁義なきサイバー犯罪はどこまで“進化”する?(2/2 ページ)
“本物のランサムウェア”とどう見分けるか
セキュリティ企業のFlashpointのサイバークライム情報アナリストであるビタリ・クレメズ氏も同じ見解だが、「平均的なユーザーが本当のランサムウェアと偽物を見分けるのは難しいだろう」と話す。
「ランサムウェアを装ったRanscamは技術レベルの低い未熟なスレットアクターが手っ取り早く金もうけすることを狙った短期的な攻撃のように思える。この種の攻撃は容易に被害者に感染することが可能であり、攻撃者が安全で確実な復号機能を提供したり、指揮統制インフラを維持したりする必要はない」とクレメズ氏はTechTargetの取材で語った。
「偽のランサムウェアがメディアで広く取り上げられ、ユーザーが偽のランサムウェアのランディングページに気付き始めたら、Ranscam攻撃の威力が弱まるだろう。残念ながら、復号アルゴリズムを検出するのに必要な技術的スキルやランサムウェアのスキームに関する正しい知識がない平均的なエンドユーザーにとっては、偽のランサムウェアを識別するのは困難だろう」(クレメズ氏)
Ranscamをランサムウェアと呼ぶのが正しいのかどうかについては、専門家の間でも意見が分かれている。Cisco Talosのセキュリティ調査エンジニアのアール・カーター氏およびDigital Shadowsの共同創設者のジェームズ・チャッペル最高技術責任者(CTO)は、ランサムウェアという用語は適切だと主張する。Ranscamが身代金を表示し、支払いを要求するからだ。これに対し、(ISC)2(国際情報システムセキュリティ認証コンソーシアム)で製品開発戦略を担当するフィリップ・カシーサ氏およびPalo Alto Networksのグランツベイグ氏によると、「身代金」という言い方は、支払った後に何かが戻ってくるような印象を与えるが、Ranscamはファイルを削除するので、何も戻ってこないという。
Ranscamを新種のランサムウェアと呼ぶかどうかについては意見が分かれているが、Ranscamのリスクを軽減する最善の手段はランサムウェアの場合と同じだという点では専門家の意見が一致する。すなわち、フィッシング教育を進めること、そして定期的にデータをバックアップすることだ。
「最善の保険は、自分のデータのオフラインバックアップを定期的に更新することだ」とチャッペル氏は語る。
グランツベイグ氏は、不審なメールに注意することも重要だとアドバイスする。
「こうした脅威に対する防護手段は基本的に同じだ。知らない人からのメールは開かないこと。添付ファイルは、その中身がはっきり分かっている場合でなければ開かないこと。信頼できないWebサイトを見にいかないことだ。個人的には、ユーザーが広告ブロック用プラグインをWebブラウザにインストールすることをお勧めする。ランサムウェアの多くは、マルバタイジング(不正広告)の一部として配布されるからだ」とグランツベイグ氏は話す。
ブラマギン氏とマーサー氏によると、包括的なバックアップ対策は、ランサムウェアの個々のリスクを減らすのに役立つだけでなく、身代金を支払う犠牲者が少なくなることでセキュリティの改善にもつながるという。
両氏は「企業がランサムウェアの作成者にお金を払うというのは、ランサムエアの拡散に貢献することにほかならない」と述べる。スレットアクターたちの両級に応じることで彼らが攻撃能力を高め、将来の犠牲者を増やすのに必要な資金を提供することになるからだ。また、攻撃者にお金を払う企業は、最初の攻撃のソースを完全に駆逐できなかった場合、将来的に再び攻撃のターゲットになる。また、身代金を払ってくれる企業だと見なされるため、さらに頻繁に狙われる恐れがある。感染に成功すればお金を払ってくれる可能性が高い企業であることをスレットアクターたちに知られるからだ。
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