千葉県発、公立工業高校のIT活用【後編】
現役高校生が校内無線LANを構築? 9.7インチiPad Pro導入の千葉県立千葉工業高校(2/2 ページ)
校内無線LANを現役高校生が配線工事
9.7インチiPad Pro導入の一方で、千葉工業高校は「工業高校ならでは」ともいえる取り組みも進めている。その最たる例が、生徒による無線LAN環境の構築だ。同校電気科の「コンピューター技術研究部」に在籍する現役の高校生が、無線LANアクセスポイントの設置や配線工事を進めてきた。
「工事担任者DD三種」とよばれる国家資格を有する生徒の立会いの下、コンピューター技術研究部の部員が配線工事をする形を取る。2015年に着手した敷設工事では、校内に無線LANアクセスポイントを9台設置し、理数工学科の1年生が使用する校舎をほぼ網羅しているという。
有線LANの接続端子を持たないiPadシリーズの導入校であれば、茨城県古河市のように全端末をセルラーモデルにでもしない限りは、無線LAN環境の構築は事実上必須といえる。タブレット活用の成否を左右する重要なインフラの構築を生徒が担っているわけだ。自らのスキルを生かして、他の生徒に役立つ環境を構築することは、生徒にとって貴重な経験となるはずだ。
Apple Store銀座のフィールドトリップにも参加
千葉工業高校では理数工学科の生徒だけでなく、BYODを実施していない他の学科に対しても、「ものづくり」の現場を支える人材の担い手として意識を高めるための取り組みを進めている。その一環として2016年に初めて参加したのが、Appleが実店舗の「Apple Store」で子ども向けに実施している「フィールドトリップ」という学習体験プログラムだ。千葉工業高校の生徒は2016年5月、Apple Store銀座で開催したフィールドトリップに参加した。
フィールドトリップでは主に、Apple StoreのスタッフからiPadを用いたプレゼンテーションの作成や効果的なプレゼンテーションの方法が学べるのが特徴だ。加えて千葉工業高校ではAppleのものづくりに対する姿勢やこだわり、リサイクルまで考えた製造方法などを店員にインタビューしながら、簡単なプレゼンテーションにまとめる活動に取り組んだ。
その後、生徒はApple Store銀座内のシアタールームで、自分たちが作成したプレゼンテーションを披露。学校では味わえない雰囲気の中で発表する体験を通して、新たな気付きを得たようだった。
千葉工業高校のBYODの取り組みは、まだ始まったばかりだ。これから活用を本格化していくにつれて、さまざまな課題に取り組んでいくことが求められるだろう。それでも「『iPadを使った学習は楽しそう』という生徒の思いに答えていきたい」と片岡教諭は意気込む。工業高校が持つ専門性とタブレットの活用が、どのような化学反応を見せるのか。今後に期待したい。
執筆者紹介
神谷加代(かみや かよ)
教育ITライター。「教育×IT」をキーワードに教育機関で進むタブレット導入事例やIT活用、子ども向けプログラミング教育、EdTech関連の話題などを、Webメディア、書籍、雑誌などで執筆。著書に『iPad教育活用 7つの秘訣』(共著、ウイネット)、『こどもプログラミング読本――「未来をつくる力」を育てる』(共著、技術評論社)、『子どもにプログラミングを学ばせるべき6つの理由 「21世紀型スキル」で社会を生き抜く』(共著、インプレス)。
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