悪意のあるアプリケーションとおさらば
「Androidはキケン」とまだ思っている? マルウェア感染を困難にする分厚い“壁”
Android端末に悪意のあるアプリケーションをインストールさせる方法として「Google Play」を迂回させるケースが有る。しかしGoogleはユーザー容易にインストールしないための対策を講じている。
世の中には、Googleの「Android」に感染するマルウェア「Androidマルウェア」の脅威について報じるニュースの見出しがあふれている。銀行を狙うトロイの木馬についてのニュースもあれば、スマートフォンを勝手に「root化」(アクセス特権を取得すること)したり、通信内容を傍受したり、データを盗んだりするマルウェアについてのニュースもある。実際、Androidマルウェアについて伝える仰々しい見出しの多さから、「Androidはセキュリティが非常に弱く、悪意あるアプリケーションであふれている」と考える人もいるだろう。だが大半のGoogleユーザーにとって、これは真実ではない。
北米や欧州、日本、オーストラリアのユーザーが使用するAndroidデバイスの大半は、アプリケーションの検索とインストールにほぼ確実にGoogleの公式アプリケーションストア「Google Play」を使っているはずだ。ときに悪意のあるアプリケーションがGoogle Playで見つかることもあるが、大抵はGoogle Playを使っていない。悪意のあるアプリケーションをインストールするリスクについてメディアが報じるころに、Googleは既に該当するアプリケーションをGoogle Playから削除している場合が少なくない。
Googleのデータによると、2015年にユーザーがGoogle Playからインストールしようとしたアプリケーションのうち、有害であることが判明したのは全体の0.16%だった。さらに、Androidユーザーが1カ月間にインストールするアプリケーションの本数が、平均わずか1本であることが多くの調査で明らかになっている。基本的には、よほどアンラッキーでない限り、Google Playに登録された約240万本のアプリケーションから悪意あるアプリケーションをインストールすることはないといえるだろう。
場所をGoogle Play以外に移すと、確かにリスクは高まる。ただしその場合でも、悪意あるアプリケーションをインストールするためには、1つ手順を踏む必要がある。Androidマルウェアの大半はアプリケーションストアを介さない「サイドローディング」を通じてデバイスに到達する。つまり、Google Play以外の場所からユーザーが主体的にインストールする必要があるということだ。そしてこの手順は簡単ではない。
アプリケーションをサイドローディングできるようにするためには、まず「設定」から「セキュリティ」を選び、「デバイス管理」の「提供元不明のアプリケーション」にチェックを入れる。すると、「提供元不明のアプリケーションから携帯端末や個人データが攻撃を受ける可能性が高くなる」という内容の警告がポップアップ表示されるので、そこで「OK」をタップする。
これで悪意あるアプリケーションをデバイスにインストールする準備は整う。マルウェアは多くの場合、人気アプリケーションの海賊版に潜み、非公式のダウンロードサイトで提供する。つまり有料アプリケーションを無料で手に入れようとすると、うっかりマルウェアを入手してしまう可能性があるということだ。ただし、ユーザーが悪意あるアプリケーションをインストールしようとすると、Googleのセキュリティ機能「アプリケーションの確認」が作動する。この機能は、ユーザーがGoogle Play以外の提供元からアプリケーションをインストールしようとすると、警告を表示するというものだ。ここで仮にユーザーがインストールを認めたとしても、この機能は、その後もデバイス管理者として登録したアプリケーションを削除したり、デバイスのセキュリティを侵害するアプリケーションを無効にしたりできる。
当然ながら、以上の説明はGoogleのアプリケーションとサービスを搭載するAndroidデバイスを想定している。ロシアや中国、インドなどではGoogleのアプリケーションとサービスを搭載しないデバイスが多数販売されているため、こうした地域はAndroidマルウェアがはるかに広く拡散している。
だがユーザーをだましてマルウェアをダウンロードさせる必要がある場合、マルウェアがAndroidデバイスに到達するまでのプロセスは簡単ではない。まずユーザーに悪意あるアプリケーションをダウンロードしようと思わせる必要がある。次にそのアプリケーションの在りかをデバイスで見つけてもらう必要がある。そのためには、デバイスにデフォルトで常に表示されているとは限らないファイルエクスプローラアプリケーションが必要となる場合もある。ユーザーがアプリケーションを見つけ、いざインストールしようとすると、今度は「提供元不明のアプリケーション」の設定を変更しなければインストールできない旨を警告される。この設定を変更し、警告が表示されないようにしてから、再度アプリケーションのインストールを試みると、恐らくまた別の警告が表示される。この警告を消せば、インストールは完了する。
使用しているAndroidのバージョンによっても異なるが、多くの場合はこの段階で、インストール時にアプリケーションが要求してくるアクセス権限(パーミッション)を承認したことになる。起動したアプリケーションがデバイスの情報にアクセスすることを認めたということだ。ただしこうした手順を全て踏んだ後でも、「アプリケーションの確認」機能が作動し、ユーザーの代わりにアプリケーションを削除する可能性がある。あるいはGoogleが提供する「SafetyNet API」が、悪意あるコードをダウンロードするためにコマンド&コントロール(C&C)サーバに接続しようとしているアプリケーションを検知し、そうしたアプリケーションを起動できないようにする可能性もある。
メディアは最新の“危険”なAndroidマルウェアに関する見出しの掲載を急ぐあまり、こうした複雑な手順にはほとんど言及しない。だがお忘れなく。悪意あるアプリケーションはあなたのデバイスに魔法のように現れるわけではない。Google Playに登録された信頼できるアプリケーションだけを使い、サイドローディングをしないようにしていれば、悪意あるアプリケーションに感染する可能性は限りなくゼロに近い。
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