定番、売れ筋製品は?
iPhone、Android管理に使いたい「EMM製品」を機能別に整理した(2/2 ページ)
認証
モバイルデバイスのエンドユーザーを認証する効率的な方法には、一度のログインで複数のシステムを利用可能にする「シングルサインオン」(SSO)と、SSOを含むID/アクセス管理機能をサービスとして提供する「Identity and Access Management as a Service」(IDaaS)の2つがある。
オンプレミスのSSO製品の多くは、Microsoftのディレクトリサービス「Active Directory」の認証を基盤とする。その場合、モバイルデバイスから仮想プライベートネットワーク(VPN)を介して社内LANへ接続して、Active Directory認証をパスする必要があることが多い。iOS搭載デバイス用のVPNクライアントとしては、Cisco Systemsの「Cisco AnyConnect Secure Mobility Client」が広く利用されている。だがID/パスワードだけでなくVPN接続が必要なことから、エンドユーザーにとっては複雑になる。
IDaaSは、ベンダーが認証構造の構築やホスト、管理を担う。IDaaSは一般的に安価とはいえない。GoogleのG Suiteをはじめ、IDaaSを1機能として用意するオンラインサービスもある。そのためOktaやMicrosoft、Centrifyといった主要なIDaaSベンダーは、実装を容易にしたり、多要素認証機能を提供したり、認証対象のデバイスを充実させたりといった付加価値の提供に力を入れる。
厳重なセキュリティを必要とする企業は、BlackBerryの同名スマートフォンが相変わらず有力な選択肢になる。同社は最近、EMMベンダーのGood Technologyを買収した。
モバイルアプリケーション開発
企業向けのモバイルアプリケーション開発には、Webアプリケーションとネイティブアプリケーション、そして両者の性質を併せ持つハイブリッドアプリケーションという、3つの異なる配信モデルがある。
モバイルデバイス向けのWebアプリケーションの構築で一般的に利用される技術が「HTML5」だ。開発アプローチは従来のWebサイトと全く変わらない。難しいのは、さまざまな画面サイズのモバイルデバイスで、HTML5を正しく表示するコードを作成することだ。こうした問題に対処するには、以下のようなレスポンシブWebフレームワークを使用する。
- Bootstrap
- AngularJS
- React
- SproutCore
- jQuery Mobile
上記のフレームワークは、どれも無料で使用できる。管理者はどれか1つを選択して標準化することで、開発コストの抑制につなげることができる。
ハイブリッドアプリケーションの開発方法は2種類ある。1つは、簡易ブラウザを備えたネイティブアプリケーションを開発し、そこでHTML5ベースのWebアプリケーションを実行する方法。もう1つは、モバイルアプリケーション開発ツールと従来のプログラミング言語を使って、複数のOSで稼働するクロスプラットフォームアプリケーションを構築する方法だ。
前者の開発にはオープンソースの「Apache Cordova」、後者にはMicrosoft傘下にあるXamarinの同名ツールと「C#」の組み合わせがよく利用される。ハイブリッドアプリケーション開発は、アプリケーションのプロトタイプを短期間で構築できるメリットがある。アプリケーションの規模が大きくなると、前者のアプローチではパフォーマンスの問題が生じる可能性がある。Apache Cordova、Xamarinともに利用は無料だ。
多数のiOSデバイスやAndroidデバイス向けにモバイルアプリケーションを開発する場合は、AppleやGoogleが推奨する言語やツールを用いるのが最も効率的だ。開発チームは、開発用スイート製品である「統合開発環境」(IDE)を使ってテストやコードを管理することになる。iOSでは「Xcode」、Androidでは「Android Studio」が標準のIDEだ。どちらのIDEも無料で使用できる。
このようなツールは無料または安価な場合が多い。ただし最終決定を下す際、企業は現在の開発チームのスキルセットを把握し、そのスキルセットに合った適切なツールを採用しなければならない。
バージョン管理と継続的インテグレーション
モバイルアプリケーションを対象とするバージョン管理と継続的インテグレーション(注1)は、一般的なアプリケーション開発とそれほど違いがない。アプリケーションのバージョン管理ツールには、GitHubの同名ツールやAtlassianの「Bitbucket」、Microsoftの「Visual Studio Online」などがある。新興企業の場合は、比較的な安価なBitbucketがお薦めだ。また「Jenkins」などの継続的インテグレーションツールは、大半がオープンソースソフトウェア(OSS)として提供されている。
※注1 ソフトウェア開発における品質向上の仕組みの1つ。コンパイルやテストなどの処理を定期的に繰り返すことで、バグの早期発見を可能にする。
統計、分析、レポート
ここまでに紹介したツールの大半は、動作状況が確認できる独自のダッシュボードとレポートツールを備える。EMMは今なお発展中の概念であり、複数のEMM製品を集中管理するレポートツールは、まだ利用できない。現状では、場合によっては管理者がMDM製品やIDaaS、継続的インテグレーションツールなどのレポートを次々と切り替えながら、各EMM製品群の動作を検証する必要がある。
変化が速い現在のデジタル環境にEMMを実装するには、広範囲にわたって増え続ける要求への対処が不可欠だ。それはスマートフォンやタブレットだけにとどまらない。クライアントPC、インターネットに接続するデバイス(IoTデバイス)などの価格は下がり続けており、活用はさらに進むと考えられる。課題になるのは、しっかりとしたセキュリティを土台に構築されたテクノロジーを採用し、従業員のニーズを満たすことだ。
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