データ保護の最適解「バックアップアプライアンス」の選定と比較【第5回】
【徹底比較】統合型バックアップアプライアンスを比較、主要5製品の特徴は?(2/2 ページ)
各製品の特徴
各製品の特筆すべき点について下記に記述する。
Arcserve UDP Appliance
「Arcserve UDP Appliance」はその名の通り、Arcserve UDPをアプライアンス化した製品である。似た製品名の「Arcserve Backup」ではないので、製品のサポート状況を確認する際は注意してほしい。Arcserve UDPはシステムバックアップ製品「Arcserve D2D」が基になっており、仮想マシンはVADPバックアップ、物理サーバはボリューム単位のバックアップになる。アプリケーションはWindows環境の場合のみバックアップ対象にできる。
現行モデルの「Arcserve UDP 7300 Appliance」は容量が12TBで固定であり、容量を増やしたい場合は複数台並べる形になる。ただしHDDはRAID 5のため可用性が十分とはいえず、重要なデータは2台以上のアプライアンスに複製することを推奨する。保守費用込みで比較的安価に価格設定されているので、Windowsを中心とした中小規模環境であれば、コストを抑えて構築できるだろう。米国のWebサイトでは拡張可能な次期モデルの情報が公開されている。日本市場にも近いうちに投入される可能性がある。
Avamar
以前は物理アプライアンスの複数台構成が多かった「Avamar」だが、現在は仮想アプライアンスである「Avamar Virtual Edition」と「Data Domain」の組み合わせを推奨している。Dell EMCは最近、複数台の仮想アプライアンスを統合管理できるツール「Multisystem Management」をリリースした。パブリッククラウドへの対応も積極的であり、「Microsoft Azure」にAvamar Virtual Editionを配置し、オンプレミスのAvamarからレプリケーションすることが可能だ。
Avamarのカバー範囲の広さと、Data Domainの高速な重複排除処理の連係によって、大規模環境を高速にバックアップすることができる。しかしバックアップデータから仮想マシンを起動するインスタントアクセスを利用したり、クラウドストレージをバックアップデータの保存先にしたりするためにはData Domainとの連係が必須となる。2つの製品を組み合わせることになるので、バージョンの互換性の確認など煩雑さは否めない。1つのアプライアンス製品になることを望む。
Barracuda Backup
「Barracuda Backup」は複数のモデルがあるが、モデルによって電源やRAIDなどの冗長構成が異なるので注意されたい。またモデルごとにバックアップ保存先の容量が固定されており、容量を増やすためにシェルフを追加することはできない。そのため保存先の容量を追加したい場合は、別筐体を追加する必要がある。
バックアップデータの遠隔地保管のために、Barracuda Backupアプライアンスから、Barracuda Networksの国内クラウドにバックアップデータを複製することができる。しかもモデル390以上には、1TB分のクラウド使用権が付属している。
Barracuda Backupは重複排除バックアップ/レプリケーションが可能だが、ベンダーはバックアップ対象容量の2倍の容量のアプライアンスを用意することを推奨している。AvamarやData Domain、「NetBackup」がバックアップ対象と同程度の容量を確保することをベンダー指針としていることに比べると、Barracuda Backupは重複排除が効きづらいと受け取れる。対応アプリケーションも少ない。小規模なWindows環境向けと捉えるのがよいだろう。
NetBackup Appliance
「NetBackup Appliance」は、国内でも実績の豊富なバックアップソフトNetBackupのアプライアンス製品である。物理/仮想環境、各種OS、データベース、アプリケーションに対応し、永久増分バックアップのカバー範囲も広い。大規模環境向けに、仮想基盤の負荷を軽減するための負荷分散機能や、仮想マシンの増減を自動で検知し、バックアップ対象の仮想マシンを自動で更新する機能を有する。
提供形態が豊富で「物理アプライアンス」「仮想アプライアンス」「ソフトウェア」をそろえる。それぞれの統合管理や相互でのレプリケーションも可能だ。クラウドストレージへの複製、テープ装置/他社ストレージの接続など、構成の自由度も高い。現在、パブリッククラウド上で使用する場合、仮想マシンにNBUソフトウェアをインストールする必要がある。今後、仮想アプライアンスがパブリッククラウドに対応することが望まれる。
今後、NetBackupが管理しているバックアップデータを活用して、付加価値を生み出すための製品/新クラウドサービスの国内投入を控えているという。
Rubrik
「Rubrik」は、2015年5月にリリースされた新興ベンダーのバックアップアプライアンスである。シンプルなGUI(グラフィカルユーザーインタフェース)を搭載。スケールアウト型のアーキテクチャで、どのノードに障害が発生してもバックアップ運用を継続することができる。イレージャーコーディングを採用し容量効率を高めた。クラウドストレージにバックアップデータをアーカイブすることも可能だ。
ただし現在はVMware環境専用のシステムバックアップ製品であり、多様なアプリケーションが稼働する環境や物理環境のバックアップには不向きである。物理サーバ用のエージェントもリリースし始めているが、今のところ対応範囲は狭い。またコピーデータ管理にも対応とのことだが、バックアップデータから仮想マシンを起動可能にするだけにとどまるので、それを「コピーデータ管理」といえるかは微妙だ。
国内での実績が増え、ノウハウがたまるまでは、中小規模での使用を推奨する。またマニュアル、サポートマトリックスが非公開なので、製品について詳しく知りたい場合は、ベンダーに問い合わせる必要がある。
各製品とその位置付けを整理すると、下記のようになる(表2)。
| 製品名 | 位置付け |
|---|---|
| ・Arcserve UDP Appliance ・Barracuda Backup |
Windowを中心とした中小規模環境。物理環境、VMware、Hyper-Vに対応 |
| ・Avamar ・NetBackup Appliance |
Windows、Linux、UNIX、物理環境、VMware、Hyper-V、各種アプリケーションの保護に対応。小中~大規模環境まで幅広く対応 |
| ・Rubrik | 小中~大規模環境のVMware環境に特化したシステムバックアップ用途(機能拡張が進み、国内実績が増えれば、今後位置付けは変わる可能性がある) |
コラム:伸びるバックアップアプライアンス市場
バックアップアプライアンスの市場は好調だ。IDCのレポートによると、2015年第3四半期と2016年第3四半期の総出荷容量は920ペタバイトで、前年同期より12.1%伸びている。レポート内にはベンダー名のみ記載されているが、各社のバックアップアプライアンスの製品名を下記に記載するので参考にしてほしい。
【Dell Technologies(Dell EMC)】Avamar(統合型)、Data Domain(ターゲット型)
【Symantec/Veritas Technologies】NetBackup Appliance(統合型)
【IBM】ProtecTIER(ターゲット型)
【Hewlett Packard Enterprise(HPE)】StoreOnce(ターゲット型)
【Quantum】DXi(ターゲット型)
カバー範囲と拡張性が製品選定の鍵
これまで5回にわたって「ターゲット型アプライアンス」「統合型アプライアンス」それぞれの特徴と選択する際の要件を紹介し、製品選定ポイントの解説と製品比較をした。ここまでお読みいただいた読者には、バックアップアプライアンスについて深く理解していただけたと思う。ベンダーの製品紹介やインターネットの情報を見る際に、ターゲット型と統合型のどちらを指しているかが分かるようになったはずである。製品は常に進化しているので、実案件で比較する場合はベンダーに最新情報を確認してほしい。
製品数を減らし、構築・運用・保守をシンプルにすることが、統合型アプライアンスを導入することの主な目的であると前述した。そのため複数のバックアップアプライアンスやバックアップソフトを併用することは目的に反する。統合型アプライアンスを選定する際は、バックアップ対象(物理/仮想環境や各種OS、DB、アプリケーション)と環境(オンプレミス、プライベート/パブリッククラウド)のカバー範囲が広いもの、追加/拡張性が高いものを選択することを推奨する。スタートアップや新興企業ではない「一般的な企業」には従来の物理環境が残っているはずであり、UNIXを含む多様なOSやデータベース、アプリケーションで構成される既存システムの保護を避けることはできない。だからこそ、多くの企業にとっては、バックアップ対象、適用環境のカバー範囲は広い統合型アプライアンスを選択した方がよいといえるだろう。次回の最終回では、バックアップ製品のこれまでの進化と今後の未来像についてお伝えする。
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