「この勝負は見ものだ」
「NVMe SSD」が高速ストレージの主流に、注目ベンダーはどう動く?
Tier 0は「高速」で「プロプライエタリ」だったが、「NVMe」(Nonvolatile Memory Express)が今後の主流となり、この2つ目の形容詞を変えようとしている。NVMeはPCIe SSDの標準プログラミングインタフェースだ。
私は超高性能ストレージビジネスに興味を持っている。1980年代にデジタル特殊効果システムを高速化するために、固定ヘッド型磁気ディスクドライブを使って以来ずっとだ。裕福な顧客が価値の高い問題を迅速に解決するのに役立つ技術には、常に需要がある。
DRAM SSDが固定ヘッド型磁気ディスクに取って代わって以来、Tier 0ストレージは高速かつプロプライエタリで、その機能は極めて高速なデータの保存やアクセスにほぼ限られていた。
だが、新世代のTier 0ストレージに使われる技術である「NVMe」(Nonvolatile Memory Express)プロトコルによって、それが変わろうとしている。
前世代のTier 0ストレージでは、ベンダーはFlash Translation Layer(FTL:フラッシュ変換レイヤー)で独自の工夫を凝らす必要があった。Violin Memory、Fusion-io(現SanDisk)、Texas Memory Systems(TMS、現IBM)はFPGAやASICを開発し、フラッシュでHDDをエミュレートしなければならなかった。
FTLがSSDでコモディティ化された後、Pure StorageやSolidFire(現NetApp)のようなベンダーはソフトウェアに注力した。ソフトウェアの開発ペースの速さを生かし、こうしたベンダーはエンタープライズ機能セットと、潜在顧客の90%を満足させることが可能なパフォーマンスを併せ持つ製品を実現した。Tier 1ストレージシステムは、数十万IOPSや1ミリ秒未満のレイテンシというパフォーマンスを期待されるようになった。
だが、Tier 0とTier 1にはまだパフォーマンスの差があったものの、ユーザーは、スナップショットやデータ重複排除といった機能がないTier 0ストレージに飽き足りなくなった。こうした動向を背景に、Violinは経営破綻を余儀なくされ、TMSはIBMの傘下に入った。IBMは独自のFTLとアレイソフトウェアをうまく組み合わせた製品を提供している。
現在、高いパフォーマンスが要求される分野では、NVMe製品が主流になろうとしている。NVMeは、PCIe(PCI Express)SSDの標準プログラミングインタフェースだ。大手コンポーネントベンダーは、次の大きな波としてNVMeを推進している。ノートPCのM.2スロット対応デバイスや、アドインカード、U.2スロット対応のホットスワッパブルドライブなどが、次世代ストレージシステムとしてラインアップされている。
併せて読みたいお薦め記事
NVMeのインタフェースとしての可能性
NVMe複合新技術の可能性を知る
次のステップはネットワーキング
次のフェーズでは、こうした低レイテンシのNVMe SSDが共有されるようになるだろう。ここ1~2年にApeiron Data Systems、Mangstor、E8 Storage、Exceleroといった新興企業が登場している。これらのベンダーは、ネットワーク経由で機能するNVMeをベースにした製品を開発している。そのIOPSは数十万、レイテンシは1~200マイクロ秒だ。これらは共有ストレージだが、ViolinやTMSの製品のように、データサービスはあまり充実していない。
こうした製品が市場に投入されるとともに、「NVMe over Fabrics」(NVMe-oF)規格も登場してきた。NVMe-oFは、低レイテンシの「Remote Direct Memory Access」(RDMA)ネットワークを介してNVMeのコマンドセットを拡張する。RDMAネットワークには、「InfiniBand、RDMA over Converged Ethernet」(RoCE)を使用する100ギガビットイーサネット、「Internet Wide Area RDMA Protocol」(iWARP)などの方式がある。Intelは低オーバーヘッドのNVMe-oFドライバを開発し、Storage Performance Development Kitに含めている。
こうしたコモディティ化に伴い、新興のTier 0ストレージベンダーにとっては、かつてのViolinやTMSの場合よりもさらにチャンスが狭まりそうだ。
既にDell EMCは「DSSD」の販売中止を余儀なくされた。DSSDは、新興ベンダーから買収した技術に基づく製品だ。この動きは、優れたカスタムハードウェア製品も、コモディティ化による代替品の登場で競争力を失う恐れがあることを示す好例だ。
Pure Storageの新しい「FlashArray//X」は、20基のNVMeフラッシュモジュールを使用するが、iSCSIやFibre Channel LUNも提供している。Tegileの現行システムは4つのU.2スロットを備えており、同社の検証を経てU.2デュアルポートSSDが用意されたら、それらのスロットに装着し、パフォーマンスティアストレージとして機能させることができる。
新興Tier 0ストレージベンダーが、スナップショットなど基本的なデータサービスを提供するのが先か、Pure StorageやTegileなどが2~400マイクロ秒のレイテンシを提供するのが先かの勝負だ。新興Tier 0ベンダーは先を越された場合、潜在顧客が少数に限られてしまう。
いずれにしても、この勝負は見ものだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「Microsoft 365のセキュリティ運用」に関するアンケート
-
4
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
5
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
6
「Salesforceのテスト自動化ツール」に関するアンケート
-
7
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
8
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
9
AIで人を減らした企業がもう心変わり 「AIブーメラン現象」の実態
-
10
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー