広がるプロバイダーのコントロール領域
サーバレスやコンテナで、クラウドの「責任共有モデル」はどう変わる?(2/2 ページ)
新しいクラウドサービスと新たな問題
初期のクラウドのセキュリティに対する懸念事項の多くは解消されている。だが、高水準のサービスがIT部門に業務機会をもたらしていることにより、新たな問題が浮上している。オンプレミスとクラウドはどちらも、モノのインターネット(IoT)センサーとコンテナによって課題が突き付けられている。
新たなセキュリティの懸念材料となり得る新種テクノロジーの1つに、サーバレスコンピューティングと呼ばれるものがある。このFaaS(Function as a Service)という新たな波の代表格が「AWS Lambda」だ。FaaSでは、ユーザー側で行う意思決定の基礎的な部分の大半が抽象化される。Lambdaは「Amazon Simple Storage Service」(Amazon S3)をデータの記録に利用している。またワークロードの監視には「AWS CloudTrail」を使用することができる。だが、Lambda関数では、OSやネットワークスタックなど、一般的にセキュリティ制御が提供される領域にアクセスできない。
「このような環境における強力なセキュリティの在り方についての解明は始まったばかりである。だがこの領域ですぐに使えるソリューションはない」とトレンドマイクロのナンニコハブン氏は言う。
Lambdaは新たな疑問を投げ掛けるだけでなく、古くからある幾つかの疑問を解消する可能性も秘めている。一部の企業は、自動応答や自動修正にLambdaを使用するようになっている。
米国のクラウドセキュリティプロバイダーThreat StackでCTOを務めるサム・ビスビー氏は次のように話す。「アラートを受け取った場合やオートスケーラーを実行している場合に、インスタンスを変更または終了したり、ユーザーアクセスを無効にしたりするためにLambda関数を利用するケースはますます増えることになる。自動化によって混乱が増えたときこそ、その問題に本当の意味で対処する良い機会だ」
また大半の企業では、社内全体で使用しているIT製品とサービスの中にパブリッククラウドが含まれている。このような戦略は開発チームごとにサイロ化されるのが一般的だが、包括的なセキュリティのフレームワークを作ると全く新しい課題が生まれることになる。
「AWSに詳しいセキュリティの専門家を見つけるのが難しいなら、AWSとAzureの両方に精通し、こうした設定やサービスについて非常に細かいところまで詳しく説明できるセキュリティの専門家は、この世に存在しないだろう。さまざまなクラウドプロバイダーのサービスを利用している状況で管理を計画するのは、非常に厄介な作業になる」(ビスビー氏)
ユーザーとセキュリティの専門家は、プロバイダーがインフラの可視性を高めることが重要だと口をそろえて言う。規制の厳しい業界や重要なワークロードがクラウドに移行されるようになっている状況では、その取り組みが特に大切になる。
ディープパケットインスペクション(DPI)と未加工データを活用することで、単純なコンプライアンスポリシーの強制よりも高いレベルにクラウドのセキュリティを押し上げられる可能性を指摘する意見もある。こうしたフォレンジック機能とクラウドプラットフォームのスケーリング機能を活用することで、ユーザーは問題の検出にかかる時間を削減できるようになる。また、問題の範囲を完全に把握した上で、その問題に対応することが誰にでも可能になる。
「従来、こうした機能をネットワークのセキュリティに利用すると非常にコストが高く付いた。だがクラウドではオンデマンドでリソースを取り入れてスケールアウトし、大量のデータを簡単に扱うことができる。そのため、クラウドが触媒の役割を果たして、こうした機能が実現する。それがワークロードのセキュリティにおける新たな基準を作ることになるだろう」とスティーブン氏は語る。
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