コスト効率が高く、管理作業を削減可能
クラウドの新潮流、先進企業が使いたくなる「サーバレス」の魅力
AWSやAzure、Googleのクラウドサービスで注目を集めるサーバレスオプション。これはクラウドに関する最新のバズワードなのか。先進企業が虜になる理由とは。
Amazon Web Services(以下、Amazon)の「AWS Lambda」やMicrosoftの「Azure Functions」などの新しいサーバレスオプションによって、企業は従来のサーバ管理から距離を置き、柔軟性やコスト効率の向上を実現できる。
サーバレスコンピューティングは、クラウドに関する最新のバズワードだ。これはクラウドユーザーがサーバインスタンスを指定または予約する必要がなく、コンピューティングリソースやコンピューティング機能を利用できることを指す。サーバレスアーキテクチャが人気を集める要因は、コスト効率の高さと管理作業の削減にある。
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サーバレスコンピューティングはFunction as a Serviceとしても知られ、クラウドで仮想化を検討、実装する1つの方法といえる。サーバレス機能の草分け的存在である「Amazon Web Services」(AWS)は、2014年にAWS Lambdaサービスを開始した。本稿執筆時点では、Googleの「Google Cloud Platform」とMicrosoftの「Microsoft Azure」でもサーバレスオプションが利用できるようになっており、それぞれ「Google Cloud Functions」とAzure Functionsとして提供されている。
Googleの「Gmail」のようなクラウドベースのメールサービスの他、「Google Apps」などのファイルストレージスイートが登場したことで、これまでサーバで実行されていた多くの作業が削減される。そう指摘するのはコンサルティング会社Bradford Webの創設者マーク・ブラッドフォード氏だ。
「タスクが軽量化していることで、従来のサーバベースの環境を設定、保守する負担が大きく、投資利益率(ROI)が激減している」とブラッドフォード氏は話す。同じ理屈はクラウドにも当てはまる。サーバの観点から考えてしまうのは、これまでデータセンターを中心に物事を考えてきた影響のようだ。
サーバレスコンピューティングの例
一部の企業は既にサーバレス機能を採用している。米国のクラウドコンサルティング/サービス会社のCorpInfoでリードシニアソリューションアーキテクトを務めるレイト・アル・サドゥーン氏は、最近、自動車の価格や情報を扱うWebサイトがサーバレスコンピューティングを採用するのを支援した。AWSでクリックストリーム(ページ遷移)を処理および保存することがサーバレスコンピューティングを採用した目的だった。同氏のチームは、Amazonの「AWS API Gateway」「Amazon Kinesis Streams」「Amazon Kinesis Firehose」に加えて、AWS Lambdaの機能を利用した。それにより、「Amazon Simple Storage Service」(Amazon S3)と「Amazon Redshift」内でデータのストリーミング、処理、保存を行っている。
「この結果、素晴らしい柔軟性を備え、低コストの環境が実現した」とアル・サドゥーン氏は言う。
これが出発点だった。特徴的なのは、迅速にプロトタイプを作成し、素早く運用環境に移行したことだ。そこからAWS Lambdaで新しい処理ロジックを適用し、セグメンテーションと通知ロジックを適用する全く新しい機能を追加したことでクリックストリームのデータにリアルタイムで対処できるようになった。
「このようなことが全て実現したのはサーバレスのおかげだ。AWS LambdaやKinesisのようなサーバレスコンピューティングを使用することで、チームは仮想マシンやOSのプロビジョニングではなく、機能に集中できる」(アル・サドゥーン氏)
FireEyeでオペレーションエンジニアを務めるジョセフ・コーディッシュ氏もまた、同社でサーバレスコンピューティングを利用している。ネットワークセキュリティソリューションを提供するFireEyeは、サーバレスアプローチに魅力を感じていた。同社では既に非常に多くの機能をAWSに移行していたため、残りの機能をAWSに移行しない理由は1つもなかったとコーディッシュ氏は話す。
FireEyeは当初、AWSのインスタンス上で全ての作業に対応し、オープンソースの「Apache Storm」「Apache Kafka」「Apache ZooKeeper」を実行する業務を行っていた。だが、こうしたサービスを保守するコストがうんざりするほど長期にわたって発生した上、複雑になったことで、運用コストが増大する結果になったとコーディッシュ氏は話す。
コストを削減するため、FireEyeはこうした機能を「Amazon Elastic MapReduce」(Amazon EMR)に移行した。Amazon EMRは、仮想サーバのクラスタ間でタスクを分散する。FireEyeがサーバレスアプローチを試したのはそのときだ。機能の取り込み、変換、読み込みを行うAWS LambdaジョブをAmazon EMRの「最前線」に配置した。最終的に、同社の主要分析機能は完全にサーバレスになった。
「分析に伴うコストが大幅に削減できた」と話すコーディッシュ氏は、最初からサーバレスを目指していたわけではなく、要件にも組み込まれていなかったという。結果的にそうなったにすぎない。
サーバレスコンピューティングの新しいユースケースには、画像処理、バッチ処理、タスク管理、ワークフロー、通知などがある。
「最も重要なのは、サーバレスアーキテクチャに適したユースケースなら、ソフトウェアの運用のために、コスト効率に優れた信頼の置けるプラットフォームを実現できることだ。インフラが負担になる懸念はほとんどない」とアル・サドゥーン氏は話す。
「これによりチームの足かせがなくなるため、業務にイノベーションを起こし、他の追随を許さない速度で作業を繰り返すことができる。これは競争上の強みになる」(同氏)
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