AWS Lambdaによる技術進化
近い将来に消えるかもしれない“IT運用職”、サーバレスの「NoOps」が拡大(1/2 ページ)
自動化と抽象化、クラウドサービスへのアウトソースによって、IT運用の必要性がなくなる――。「NoOps」と呼ばれる、こうした概念は何年も前から存在しているが、技術進化によって現実味が増してきた。
IT運用者にとっては、まずクラウドコンピューティングが脅威となり、次にPaaS(Platform as a Service)が脅威となった。そして今、最新の脅威として、「サーバレスコンピューティング」が台頭しているとの見方がある。
自動化と抽象化とクラウドサービス事業者へのアウトソースによって、IT運用の必要性は完全に排除できる。「NoOps」と関係者が呼ぶこうした概念は何年も前から存在しているが、IT運用という「職種」はまだ絶滅していない。だがもう時間の問題なのだろうか。
2016年5月下旬に開催された「ServerlessConf」カンファレンスに出席した業界関係者やプレゼンターによれば、その答えは「イエス」のようだ。
建築許可データなどの不動産情報サービスを提供するBuildFax最高技術責任者(CTO)のジョー・エミソン氏によれば、同社は既にNoOps環境を構築しているという。BuildFaxでは可能な業務処理を全てSaaS(Software as a Service)事業者にアウトソースし、数十万人のユーザーをサポートするWebサイトをわずか2人の社内開発者で構築している。
エミソン氏は、BuildFaxのアプリケーション開発方針に関するプレゼンテーションを行い、「企業ITの運用業務が減っていくのは興味深い。IT運用は物事の進捗を遅らせる複雑で面倒な業務だ」と語った。
エミソン氏は元エンジニアだが、現在は「製品をユーザーにより迅速に提供すること」に注力している。その目標を達成する最もコスト効率の高い効果的な方法は、バックエンドサービスをアウトソースすることだという。
ただ、そうした紋切型の見解に異を唱える出席者もいた。「サーバレスコンピューティングによって解消できる問題もあれば、新たに浮上する問題もある」と語るのは、テレビ番組向けアプリを開発するSmall Town Heroes共同創業者兼CTOで、「DevOpsDays」カンファレンスの発起人でもあるパトリック・デュボア氏だ。
「サーバレスコンピューティングの台頭に伴い、IT運用はサーバの管理からサービスの管理に変化していくだろう」とデュポア氏は指摘する。彼の業務では、ストレージに対する転送など技術的な意味でサービスとのインタフェース役を担う場合もあれば、ハードウェアベンダーとの契約交渉などサービス提供業者との仲介役を担う場合もあるということだ。
まだその段階に達していないIT運用担当者は今後もこれまでと同じ業務を続けることになるが、その多くは大手のクラウドサービス事業者との仕事になるだろうとデュボア氏は指摘する。
クラウド型メールアーカイブサービスを手掛けるSonian CTOのグレッグ・アーネット氏もデュポア氏の意見に同調して「サーバレスコンピューティングによって、DevOpsチームは業務の進め方を変えざるを得なくなるだろう」と述べている。ただ、アーネット氏はNoOpsが実現するにはまだ早いと考えている。
「まだ当分、一部機能の処理には仮想マシンが必要となるだろう」とアーネット氏は語る。例えばオープンソース全文検索エンジン「Elasticsearch」のようなアプリを、Amazon Web Services(AWS)のイベント駆動型アプリケーション実行環境「Lambda」の関数として実行するつもりはない。「そうしたアプリの管理にはDevOpsが必要となるだろう。Lambdaでさえ、何らかの設定操作を伴う管理を必要とするはずだ」(アーネット氏)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[日本オラクル株式会社] ピンチをチャンスに変えたEPR製品は? 先行企業の導入事例3選 -
技術文書・技術解説
[日本オラクル株式会社] 無自覚なリスク 秘伝Excelファイルが監査の壁、不正・ミスの温床となる理由 -
製品資料
[日本オラクル株式会社] 戦略的経理の第一歩 失敗のない「脱Excel」を実現する秘訣とは? -
技術文書・技術解説
[日本オラクル株式会社] いまさら聞けないオンプレERPとクラウドERPの違い 最適な製品をどう見極める? -
事例
[株式会社ビザスク] 連結売上高が約2倍に成長、富士フイルムが実践した新規事業創出の戦略とは?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
2
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
3
慶應義塾が「Notion」を選んだ理由 AI導入の盲点になる“情報のサイロ化”
-
4
「ノートPC派」は損をしている? Dellと考える“自作PC”のメリット
-
5
「0.3秒のスピード顔認証」の入退室管理が社員に好評 事例に学ぶオフィス改革
-
6
IT製品の導入に関するアンケート「PC&デバイス」編
-
7
生データを隠してデータ連携 KDDIが4000万人の顧客情報を安全に分析できた理由
-
8
エンジニアの生産性はどう測る? マネジメントに不可欠な可視化の実現方法とは
-
9
「また同じ説明か」 消費者の半数が離脱するAIチャットbotの“記憶喪失”
-
10
アラート疲れと手動対応を解消 EDR、SIEM、SOAR統合で注意すべきポイント4選
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
DX/AI投資の壁を突破、現代の最高財務責任者が直面する課題と克服のヒント
-
2
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
3
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
4
バックアップは“取っているから大丈夫”なのか? ランサムウェア時代の備え方
-
5
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
6
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
7
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
8
5分で分かる Microsoft 365のデータ損失に備えるためのバックアップの仕組み
-
9
ネットワーク遅延の原因、「パケットロス」の基礎知識と効果的な解決策
-
10
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー