実用的だが革命的ではない?
徹底レビュー:新スマホ「HTC U11」、握る力に反応する「エッジ・センス」とは
日本では2017年6月下旬以降に発売が予定されているスマートフォン「HTC U11」を徹底レビュー。最新のチップセットに高性能な背面カメラ、そして側面を握る力に反応する「エッジ・センス」という世界初の技術も実装されている。
HTCは2017年5月16日、新しいスマートフォン「HTC U11」を発表した。“主力モデル一歩手前の主力モデル”スマートフォンである「HTC U Ultra」の2017年3月の発売(日本では未発売)から数カ月たって、“本当の主力モデル”の登場となった。HTCは、HTC U11の発表と同時に、同社のスマートフォンシリーズの表面の仕上げのモダン化に関して、根本的な変化も明らかにした。HTC U11を簡単に説明すると、HTC U Ultraをわずかに小さくしたスマートフォンといえよう。ただしチップセットは最新のQualcomm製であるし、背面カメラの性能はかなり向上して競合他社の現在の最上位モデルに匹敵するほどだ。さらに、HTCの「Uソニック」サウンドも強化されており、「エッジ・センス」という側面が握る(押す)力に反応する世界初のテクノロジーも実装されている。
このテクノロジーは独特で、非常に市場リスクが高いようにさえ見える。しかし、HTC U11を初めて手にしたほとんどのユーザーが注目するのは、その表面の仕上げと本体だろう。外観は、既にリリースされているHTC U UltraモデルおよびHTCの「HTC U Play」(日本では未発売)と比べると、一目で分かる違いはあまりない。HTC U11は、ディスプレイが5.5インチ、本体は金属製の縁が付いたガラス製で非常に美しい多層仕上げだ。この仕上げによって、背面には水があふれるような視覚効果が生まれている。この視覚効果と、既に実績のあるHTCの工業デザインの信頼と信用が相まって、プレミアムクラスの印象を受ける。わずかに湾曲した背面に、流行のガラス製ディスプレイカバー、側面には角ばったところがないHTC U11のデザインは、評価は高いが手の加えられていない金属製のこれまでのHTCの主力モデルのデザインに代わるのに十分な出来栄えだ。実際のところ、モダン化には“犠牲”も伴っている。本体のあちこちに指紋が付着するのだ。そのため、HTC U11のパッケージには、サービスの良いサングラスメーカーのように、指紋拭き取り用のソフトクロスが同梱されている。
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エッジ・センス
HTC U11とHTC U Ultraは、外観はほぼ同じだが、HTC U11にはエッジ・センスが実装されている。これは、側面(左側と右側)を握ると、特定の処理を実行する機能だ。エッジ・センスを使うには、具体的には、ジュースを絞るようにして本体の両側面に同時に力を加える必要がある。そのとき、ディスプレイの左右の縁では圧力レベルが暗い色のリングとして示され、圧力が十分かどうかを確認できるようになっている。エッジ・センスで実行する処理は、スマートフォンの設定でユーザーが指定できる。例えば、側面を押したらすぐにカメラを起動するようにし、さらに、側面を押したときに既にカメラが起動していた場合はシャッターを切るように指定できる。
エッジ・センスの使い方には、ユーザーとメーカーのどちらの観点から見ても、大いに工夫の余地がある。特に、エッジ・センスが直接的な競合製品との差別化を図るために必要な単なる仕掛け以上のものとして成功するなら、望みは大きい。圧力レベル、2回押し、3回押し、状況に応じた握り方の条件付けなど、あらゆることに応じて特定の処理を実行するように指定できる。だが、これまでにないスマートフォン操作方法のため、慣れるまで時間がかかるだろう。
エッジ・センスに関して指摘しておきたいのは、本体側面では、スマートフォンディスプレイのようにタッチを感知しているのではなく、圧力を感知しているということだ。そのため、エッジ・センスはHTC U11向けにHTCが用意している純正スマートフォンケースを装着して使うことができる。さらにいえば、金属などの、スマートフォンの側面に圧力を伝えない硬くて柔軟性に欠ける素材でさえなければ、HTC純正ケースでなくてもエッジ・センスは機能する。エッジ・センスを使ってみた全体的な印象は、エッジ・センスは実用的だが、革命的ではないといった感じだ。
同じことがAIスマートアシスタントにもいえる。HTC U11で利用できるのは、HTC独自の「センス・コンパニオン」、Googleの「Googleアシスタント」、Amazonの「Alexa」の3つ。気が利いているが、やはり革命的というよりも、面白い仕掛けという印象だ。使うとしても、3つのうちの1つだけを選ぶことになるだろう。
チップセットとディスプレイ
ITオタクから見たHTC U11の魅力は、Qualcommの最新チップセット「Snapdragon 835」を採用しており、世界向けの全てのHTC U11モデルで同じチップセットを搭載している点だ。この点は強みとして挙げられることが多い。というのも、Samsung Electronicsの「Galaxy S8」のチップセットは米国市場向けモデルではSnapdragon 835だが、他の市場向けモデルではSamsung製チップセット「Exynos」という残念な例があるからだ。Snapdragon 835に関する大げさな評判は、Qualcomm自身が作り上げた。Snapdragon 835は高根の花で、Snapdragon 835搭載スマートフォンを持つ人は特別に見えるという。他に評判が何もなくとも、Snapdragon 835は多くの総合ベンチマークテストで記録破りの結果を出している。実際、HTC U11の動作はこの上なく滑らかだ。HTC U11は世界中のネットワークで使える上、そのソフトウェア、ハードウェア、バッテリーの連携方法は非常に合理的である。
HTC U11がSnapdragon 835によって得られるメリットで重要なのは、実のところ、Snapdragon搭載HTCスマートフォンの昔からの強みであるこの信頼性であって、ベンチマークで記録破りの速度を出せることではない。ベンチマーク記録はいずれ破られるものだからだ。なお、HTC U11のストレージとRAMの組み合わせは、構成によって、ストレージ64GBとRAM 4GBかストレージ128GBとRAM 6GBのいずれかだ(ただし、国によって構成は異なる)。
HTC U11のディスプレイには、HTC U Ultraと同じQHD(1440×2560ピクセル)解像度の「Super LCD 5」ディスプレイが採用されている。ただし、HTC U Ultraが5.7インチなのに対し、HTC U11は5.5インチしかないので、画素密度はHTC U11の方が高く、534ppiとなっている。この値は、鮮明で品質の高い画像を実現するには十分だ。そのため、AMOLED搭載の主力モデルとは違ってスペクトルの明るい部分の彩度が不十分という事実を別にすれば、不満に思う点はない。つまり、ディスプレイに欠点らしい欠点はない。
カメラとサウンド
一方、カメラについては、HTC U UltraよりもHTC U 11の方が一歩先に進んでおり、高性能な競合他社のモデルのカメラに匹敵するほどになっている。HTC U 11のカメラは、1200万画素UltraPixel 3センサー(1.4μm)、光学手振れ補正(OIS)を備え、最も重要な絞り値は1.7だ。これらの機能が組み合わさり、夜間でさえも、細部まで鮮明でノイズの少ない美しい写真が撮影できるようになっている。さらに、「Uウルトラスピード・オートフォーカス」と呼ばれる機能と「HDRブースト」機能も備えている。前面カメラは、1600万画素センサー搭載で、絞り値は2.0だ。なお、これまでのHTCの上位モデルの前面カメラにも難点はなかった。
Uソニックサウンドも進歩している。HTC U Ultra同様、HTC U11にも3.5ミリオーディオジャックは用意されていない。しかし、わずか数カ月先に発売されたHTC U Ultraとは異なり、HTC U11にはUSB Type-C/3.5ミリ変換アダプターが付属する。HTC U11に付属のヘッドフォンは、アクティブノイズキャンセル機能を備えている上、HTC U Ultraと同様に各ユーザーの耳の構造を音波で読み取り、耳の形に合わせて音を完全にチューニングできる。先述のアダプターにはDACも含まれている。スマートフォンを付属のヘッドフォンだけでなく別の機器にも接続して高品質の音楽を再生したいユーザーは、面白みを感じるだろう。音楽再生はさておき、付属のヘッドフォンには4つのアクティブマイクが組み込まれており、HTCが「音声フォーカス」と呼ぶテクノロジーによる3Dオーディオ録音が可能となっている。機能は名前が示す通りだ。
HTC U11の発売は、日本では2017年6月下旬以降となっている。HTC U11の魅力は、エッジ・センスよりも、モダンな仕上げ、最上級の機能、マルチメディア再生の重視にある。だが、競合他社のモデルにはスマートフォンサイズとディスプレイサイズの比率の違いなど“独自の強み”があるため、HTC U11も1つや2つの隠し玉が必要だ。
HTC愛好家であれば、間違いなくHTC U11に満足するだろう。しかし、かつてないほどアグレッシブな競合他社のモデルと比べると、HTC U11には2017年夏に絶対的な優勢を勝ち取るような多様性の種類はない。
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